新しいクラス
始まった。始業式である。
特筆すべきものは何もなかった。校長の挨拶が長かったのと、生徒会長が女の人で凄く可愛い眼鏡っ子だったってとこくらいか。
後ろの子も可愛かった。翔が見てもそう言うのだろうか?あいつは結構口悪いからな。友達ができるかも心配になるわ本当に。
僕は1年1組だった。杏奈は2組。翔は…2組か。
僕だけ、僕only。いや、lonely?スペルも意味も判らないが、そんなところだろう。
悲しいかな、僕にはコミュニケーション能力というものが備わっていないんだ。周りに話しかけてくれる人がいればギリギリ返せる程度は持ち合わせているのだが。
あいにくというか、ここのクラスはおとなし目の子が多いようだ。休み時間だって言うのに誰も席を立って親睦を深めようとしない。まぁ、僕もその皆の内に含まれているので何か言う権利は無いのだが。
あー。退屈だー。
シーンってしてるぞシーンって。漫画だったら完全に大きな文字で書かれてるだろうね。重いわー。空気が重いわー。
…行動を起こすべきだよね、これ。
さすがに休み時間なのに皆が5分も黙ってたら、仲良くなるものも仲良くなれないもんね。まずは後ろにいる女の子から頑張ってみようか。
そこまで考えてふと、ここで思う。
僕は、女の子と友達になれるのかな?
今は確かに女の子の身体だけども。心の中は男なわけで。
心の中は男だけど、今は身体が女の子なわけで。
つまり、女の子と話ができるほどファッションとかに詳しくなれたわけではないし、かといって男と話していたらなんか、その、いろいろとマズイ気がするし。
いや、確かに昨日は女の子相手に苦労しましたけど。それは気心が知れた仲だからなわけで。初対面の人とあの絡みはできないわけで。
うーん…
と、とりあえず、話しかけてみますか。
くるりと後ろを振り返る。そこにいたのは、髪を二つに分けてサイドに流し、幼さが残る顔立ちをした女の子だった。僕と同じくらいの身長だろう。なんだか似たような匂いがする。なんでかな?
あ…
そんなことよりも、相違点を見つけた。
胸の大きさだ。
僕の胸が手のひらサイズと言うなら、彼女の胸は、なんだろう、爆弾?
いや、別に僕の胸を手のひらサイズと例えなくても、彼女の胸は爆弾だっただろう。大きい。中学生にしてはだが、とても大きい。
思いついた!丼を胸に当てて服を着たみたいな感じだ!
それなのに。出る所は出ているのに。制服の上からでも分かるくらいに出ているのに。ウエストが綺麗にくびれてるなんて…っ!
自分のお腹を触り、思わず泣きそうになる。完全に当てつけになるが、胸を揉んでやりたい。お腹も触らせてほしい。参考にさせてくれ。
まぁ、これから聞いていけばいいか。
そう一息ついて女の子に話しかける。
「ねぇ。どこの小学校だったの?」
静かな教室に、新学期ならではの挨拶が響く。
なんだか、自分だけこの空間のなにかを乱している気がして恥ずかしい。
「あ、その、えっと、白銀学園です…」
彼女は消え入りそうな声で答えてくれた。良かった。返してもらえないかと思ったよ。
「そうなのー?白銀学園って、お金持ちさんが沢山通っているところだよねー?」
「あっ、はい。あ、いえ、その、すみません…」
そういうとシュンとして俯いてしまう少女。
…
……
………
なにこの可愛い生き物。どうしよう。いじめたくなっちゃう。
そんな邪まな事を考えていると、女の子はパっとこちらを向いた。
突然の行動にビクっと身体が反応する。
「ど、どうしたの…?」
すると少女は、なんの迷いも無く彼女自身が抱いていたであろう疑問をぶつけてきた。
「あの、どこかでお会いしませんでしたか?」




