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不思議な病気のある世界  作者: 永山次郎
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幼なじみ『翔side』


 女性の買い物は大変なんだな…

 翔は今日1日を通して心の底からそう思った。


 実際に大変なのは買い物を楽しむ女性陣ではなく、荷物持ちとして派遣された男性陣なのだが。

 そして、この大変な買い物に終始笑顔で対応できるようになれば一人前の男といえるのだ。今日の翔のように疲れた顔をして話に加わっていたら、自分の評判を落としてしまう可能性大である。


 そのことにこの年で気づいた翔は天才というべきだろう。その称号に恥じない青年に育ちそうだ。将来が楽しみといったところか。


 早めに馴れねば。そう固く心に誓う翔。

 まずは筋トレか。基礎体力も必要だな。荷物の持てる量が増えればかなりの戦力になるだろう。葵も誘って一緒にやるとしようか。


 それから、コミュニケーション能力。最低限の会話すら出来なければ、荷物持ちのみだとしても誘いづらくなるに決まっている。買い物は楽しくしたいだろうから。これは幼なじみの杏奈あんなと普通に話せるからクリアだろう。

 いやでも、他の女の子とも話せるようになった方が良いのか?しかし、さほど仲が良くない人間を買い物に誘うのだろうか?そもそも、俺は女の子の買い物に誘われるのか?

 など、頭の中で話がずれていくが、家への歩みは止めない。


 ここで、俺と葵と杏奈の3人で買い物に行ったところを想像してみる。

 女性服専門店に入り、女顔の葵を着せ替え人形にする笑顔の杏奈が想像できた。

 しかも、嫌がりながらもワンピースなんかを着せられて恥ずかしそうに顔を赤く染める葵も容易にできた。思った通り似合っているのは言わなくても分かるだろう。


 ニマニマしつつ、頭の中で話を整理する。

 とりあえず筋トレだな。してても損はないだろう。

 あとは、初対面の人と話を出来るようにしておこう。これも将来役に立つだろうから、両方とも葵を誘ってやることにするか。


 と、葵の都合をガン無視した予定を決めたところで家についた。

 しかし、すぐには入れない。なぜか。

 家の門の前に真新しい制服を着た女の子が立っているからである。


 …誰だ?姉ちゃんの友達か?

 それにしては背が小さすぎる。年下の友達という路線で考えよう。

 俺の推理では、

 『新しい制服が届いた。→俺の姉ちゃんに見せたい。→着替えた。→俺の家の前についた。今からインターホンを鳴らす。』

 となる。それならば納得もいく。


 とりあえず、声をかけておくか。

 先ほどコミュニケーションを積極的にとるという目標をたてたところだ。姉ちゃんの友達なら大丈夫だろう。というか、本当に姉ちゃんの友達なのか…?


 …当たり障りのない質問から始めるか。


 「あのー…どちら様ですか?」


 そう声をかけると、女の子は振り向いた。


 息を飲むほどの美少女がそこにいた。


 白い肌。

 澄んだ瞳。

 整った眉。

 綺麗な鼻筋。

 柔らかそうな唇。

 黒くて艶のある長い髪はポニーテールにしている。

 全体的に細く、小動物を思わせる可愛い動作。

 その動きにあわせてポニーテールとスカートがフワフワしている。


 確信した。この子は姉ちゃんの友達じゃないな。

 可愛い物好きの姉ちゃんが、こんなに可愛い子を家に連れ込まないわけがない。今までに何人犠牲になったことか。

 じゃあ、誰なんだ?何しに俺の家の前に?

 困惑していると女の子が

 「よっ」と手を挙げながら俺に挨拶してきた。

 綺麗な声だった。いや、可愛い声か。それも、自分は可愛いんだと思っているぶりっ子が出すような可愛い(笑)声ではない。

 何というか、可愛い声だ。伝わるだろうか。


 ていうか、よって何だよ。初対面じゃねぇの?

 こんなに可愛い子を俺が忘れるだろうか?否、忘れるわけがない。じゃあ、何で彼女は俺を知っている口調で話しかけてきた?


 ますます困惑する俺に、女の子は、爆弾を放り投げてきた。


 「私だよ私!鈴木葵!」


 …えっ?

 状況が全くわからない。

 俺の知ってる鈴木葵は男だ。風呂場で見せ合いっこしたことだってある男だ。断定できる。俺の方が大きかった。


 話を元に戻そうか。閑話休題ってやつだな。


 …他に鈴木葵という名前の人物が思い当たらない。


 うーん…

 面倒くさそう…

 ため息をつく。そして、その先を促すことにした。


 こじれた話は止めてくれよ?

 そう思いながら翔は、鈴木葵と名乗る女の子が話し出すのを待つことにした。


 評価していただきありがとうございます!これからも精進します!


 あと、誤字等の指摘もお待ちしております。

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