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絶望と、微かな希望


 


 「――嘘、だろ……?」


 突然やってきた衝撃に建物ごと巻き込まれ、その瓦礫の山から這いずり出たキキの目の前に広がっていたのは、地獄だった。


 建物は全て崩壊。コンクリートを砕き、地面すら深く抉った衝撃は、同時に沢山の命を奪ったようだ。


 キキのように動ける者は稀で、その動ける者たちも生気を奪われたように呆然と立ち尽くしている。


 背後で同じように眼鏡が瓦礫から這いずり出たことを感じながら、キキは背を向け瓦礫の中を走りだした。この状態で〝使徒〟だのなんだのと攻撃してくるほど、向こうも馬鹿ではないはずだ。何せ、人類滅亡の危機である。いや、それを認めたくなくて、今キキは全力で否定する材料を探していた。


 (頼む、頼む……どうか、無事でいてくれ!)


 藁にも縋るような思いで、キキは黄金色の髪の少女を探す。彼女が無事なら、あの光の柱は審判者の力の暴走、というふうに解釈できる。だからどうか、と柄にもなく神に祈りながら探すキキは、そう時間を掛けずに彼女を見つけることができた。


 何かで守られたように元の地面の高さを保つ場所に、レベッカは横たわっていた。こんな事が出来るのは審判者だけだ。二人が出会えたらしいことにキキは安堵したが、近付くにつれ、その表情は強張っていった。


 華やかだった歌姫の衣装は無残に焼け焦げ、黄金色の髪は泥にまみれて彼女の顔に張り付いている。明らかに何かしらの攻撃に巻き込まれた痕の残るレベッカは、息を、していなかった。


 「……おいおい……そんな手の込んだ冗談、頼んでねぇよ」


 口がカラカラに乾き、軽口にもいつもの冴えがない。キキは、みっともない位震える手で彼女に触れた。


 (……まだ、温かい……)


 そこに微かな希望を見出したキキは、意を決するとレベッカを仰向けにする。上着を脱いで、レベッカの頭の下に入れ気道を確保すると、心臓マッサージを開始した。


 (悪いな、俺、諦め悪いからさ。あんたはもう嫌かもしんないけど、もう少しだけ、付き合ってくれ)


 レベッカを一人で行かせるんじゃなかったとか、潜入人数を増やすべきだったとか、そんな後悔を胸の内に仕舞い込んで、キキは回数を数えることに集中した。











短いのでもう一話!




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