将軍の呟き
「信じられないね……」
絶対の自信を持っていた防壁をいとも簡単に破られ、将軍の顔に乾いた笑みが浮かぶ。しかし呆けたのは一瞬で、周りの部下がパニックを起こす前に指示を飛ばした。
「第一・第二砲台、第二射用意!完了次第撃て!防壁砲台、牽制で構わない、弾が尽きるまで撃ち続けろ!奴を近付けるな!戦車隊は防壁四メートルまで後退!防壁と一緒に吹っ飛ぶぞ!バルド、被害を確認、報告しろ!第三歩兵隊、負傷者の救護へ回れ!」
次々と命令を下し、体制を立て直す。
(これは、かなり厳しいな)
今もこちらが雨霰と放つ銃弾を信じられない速度でかわしていく少年を見ながら、将軍の背中を冷たい汗が伝う。彼の戦闘能力は、将軍の予想の遥か上をいっていた。
「私がこっちで良かったよ。たまにはレイモンド君の言う事も聞くもんだね」
ヴィラがレベッカの元に向かうと予想した将軍は、昨日の段階でレベッカと一緒に居る気だった。しかし「司令官が不在でどうすんだ!」と激高したレイモンドに押し切られ、今ここに居る。もし自分の意見を通していたら、きっと初撃で部下達はパニックに陥り、立て直すことは出来なかっただろう。
最近カルシウム不足の右腕に感謝しつつ、将軍は早めにヴィラの動きを止めることにした。
「テイラー!レイモンドの元へ行き〝切り札〟を取って来い!」
「サー!」と野太い声で返事をしながら建物の中に消えていく部下を見送り、将軍は仕えている王に詫びた。
「すみませんね、陛下。捕まえるのは無理そうです。諦めて下さい」
砂塵舞う中、将軍は懸命に部下に指示を出し続けた。
前の話と一緒にあげればよかった……
とにかく短いのでもう一話!




