34話 タク リン「夜の山」
キキイ
「ひゃっ」
「着いたぞ」
「あっ もう」
「高速も使ったからな」
「ありがとうございました」
高速? いつの間に…
「いいってことよ」
「それで…あの…」
「なんだ?」
「この片道のタクシーチケットで本当に」
「あぁ大丈夫だ 高速代も問題ない」
「ほっ」
「でも良かったな」
「えっ?」
何がだろう?
「早く会いに行ってやれ」
「あっ はい
リンちゃん見つけてみせます!」
「ん? 見つけるって?」
「ここまで ありがとうございました」
「ああ じゃあな」ブロロン
「ふぅ…着いた」
ここが行方不明になったとこだと思うけど
今は21時30分 20時過ぎに家出たよね
それでタクシー待って 意外に早く着いたのかな?
高速代もタクシーチケットで払えたし
私の寿命使ったみたいだけど…
ピロン♪ リン
『バナナおいしい もう1本』
お腹すいてたんだね
「あっ」
すごいパトカーの数 どうしよう…うーん
警察に言ったほうが良かったかな?
よく目撃情報とか探してるし…でもなあ
なんて説明したらいいか分かんないし
警察の人と話すの なんか怖いし
とりあえず隠れて…夜で暗いからバレないかな?
「あの人たち…」
山から下りてきてる 休憩?
ピロン♪ リン
『ねぇねぇ おばけのおねえちゃん』
『どうしたの?』
『バナナの皮どうする?』
バナナの皮?
『そこらへんに捨てておけば』
いいかな? ダメかな?
『うん ぽいっ』
『今どこにいるの?』
『今? 川!』
川…川…あっ あっちに川ある
『他には?』
『木いっぱい!』
木いっぱい…川の下は…田んぼ?
木あまりないような…上の方かな?
とりあえず行ってみよ
『お姉ちゃんが迎えに行くからね
そこから動かないで待ってて』
『うん! もぐもぐ』
まだバナナ食べてるんだ
「うわー…」
夜の山怖すぎる…真っ暗だよ…
なんで私ここにいるんだろ…
なんか勢いで来ちゃったし
タクシーは山の近くで降りたけど
ここにいるか分からないし 違ってたどうしよう…
「でも…」
心配だったもんね
見つけてあげなくちゃと思って
ここにいたらいいけど…いなかったら私…
どうやって帰れば? またタクシー呼んで
その前に山から降りないといけないし
逆に私が遭難しちゃいそうだよ
このまま深夜の山で一人過ごすとか…
「むりむり」
少しだけ周り探して また考えるとして
せめてなぁ もう少し分かりやすい目印あったら
でもだよ? リンちゃんもし見つけたとしても
それはそれで どうしたらいいんだろう?
警察の人に見つけましたって言うの?
それにもし今 警察の人に見つかったら…
女の子が心配で来ましたとか?
でも こんな夜に一人で…怪しすぎるよね…
ぐにゃ
「ひぃ…」
何か踏んだ…なに…? なんなの?
やだ やめてよ…こわいって…ぶるっ
…リンちゃんじゃないよね?
「…りんちゃーん…」
…リンちゃんじゃないかな?
怖くて大きな声出せないよ…
でも…一応確認だけ…うぅ…見たくない…
スマホのライト一瞬だけ…ん? これって…
「バナナの…皮?」




