32話 タク ケイ
急がないと 急がないと
あの子 ちょうちょって…もう!
警察に電話してもイタズラと思われそうだし
これ履歴消えて見せられないし…
「うぅ…」
タクシー代いくらになるのかな…
ピロロン♪
「なに?」
また寿命使わせるの?
リンって子の場所が分かるなら まあ…
『タクシーチケット往復分 寿命1時間』
「これは…」
ーーーーーーーーーーーーー
「お客さん どちらまで?」
えーと…どうしよう…
「とりあえず この辺りまで…」
「ここは…最近行方不明の子がいるって地域」
「はい…ちょっと知り合いで…」
「そうか…それは心配だな」
「はい…あっ それと
このタクシーチケットは使えますか?」
「おっ 珍しい物持ってるな 使えるぞ」
「よかった…」
この寿命で出てきた タクシーチケット
上限無く支払いできると書いてあったし
でも本当に出てきて しかも使えて…
このアプリって…現実なの?
「よしっ 急いでるようだし
最短で最速で飛ばしていくからな」
「えっ?」
「任せておけ 俺は安全運転の優良ドライバーだ」
ギュイン
「ひぃ…」
ほんとなの? 信じていいんだよね?
ピロン♪
メッセージきた さっきの子かな?
あっ そういえば
あの子とメッセージしてるわけで
スマホ持ってるってことだよね?
誰かに電話するように書けばよかったな
もうタクシー乗っちゃったけど
まあいいや 今からでも…あれ? ケイ?
ケイ
『はぁ…どうしましょうか』
知らない人だった
『どうしました?』
『夕ご飯のおかず 何にしようかしら』
夕ご飯? そんなの
『何でも いいですよ』
『なんでもねぇ それが一番困るのよねぇ』
まあ 確かに? 何でもは困るか
ピロン♪
『ねぇ 何がいいかしら?』
いや 私に聞かれても
『冷蔵庫には何が入ってますか?』
『そうねぇ 豚肉とジャガイモと人参玉ねぎ』
『カレー!』
それカレーしかないじゃん!
『カレーねぇ そうね いいかも』
ふぅ なんとかなった
私今おかず考えてる場合じゃないのに
『カレー カレー えーと…カレー粉どこかしら?』
え?
『カレー粉は前に使って 新しく買わなかった?
ねぇ あなた カレー粉知らない?』
『知りません』
よその家の台所事情なんて知らないからね
『どうしましょう 別の料理は…』
もうあれだ!
『肉じゃが!』
『肉じゃがねぇ 先週作ったのよねぇ』
なんなのもう!




