表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バルコニー  作者: ソラ
14/28

第14章:元に戻る笑顔

夕方、部屋に差し込む光がやわらかく、空気はどこか穏やかだった。


レイさんは、いつものように夕飯の準備をしていた。

今日はハンバーグ。香ばしい匂いが部屋に広がっていく。


時間は、ちょうどベランダに出るタイミング。


煙草を一本くわえ、ライターに火をつけた瞬間——


「レイさ〜ん!」


元気な声が壁の向こうから響いた。


その声に、レイさんの口元が自然と緩む。


「……やっと戻ってきたな、そのテンション。」


「うん。ちょっとリハビリしてたの。『元気な自分』になる練習。」


「随分うるさい練習だな。」


「ひど!でも、なんかね……今日は気分がいい。」


「それは何より。」


「で、今日のメニューは?」


「ハンバーグ。ソースはデミグラス。」


「ずるい!おいしそう!」


「……なあ。」


「ん?」


「……今日の夜、俺がそっちに行くのは、ありか?」


一瞬、沈黙。


「……え?」


「飯、持っていく。食べさせに。そっちで一緒に食おうかと思って。」


アオイさんの返事が、少しだけ遅れる。


「……べ、別に……いいけど……迷惑じゃないなら……」


レイさんは、ゆっくりと煙を吐いたあと、こう言った。


「俺がいつ“迷惑”だって言った?」


「……言ってないけど……」


「それに……俺は、お前が好きだって、言っただろ。」


その言葉に、アオイさんは一瞬で言葉を失った。


沈黙の中、風の音だけが通り過ぎていく。


「……う、うん……覚えてる……けど……」


アオイさんは視線をそらし、頬を真っ赤に染めながら、小さく呟いた。


「ずるいよ、急にそういうこと言うの……」


「ずるいか?」


「うん、ずるい。」


でも、その声には——確かに笑いが混ざっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ