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お久しぶりです。
この際開き直ることにしました。
定期更新は無理としみじみと思ったので気分で更新していくと宣言します。
といっても、もう既に気分で更新しているんですけどね。
さっきの切符が無駄にならなくてよかったぁ。
財力はそこらの一般人とは何ら変わらんからな。
という訳で、何か知らんけど沢田の家に来ました。
はい、普通の年季のはいったアパートだね。高級住宅街ではないのでお金持ちではないことは知ってましたー。あ、期待した?期待した?
怒涛の展開から何故か猫を頂くことになったのだが、大丈夫か?
「勝手に猫を頂いてもいいんですか?」
うん。親御さんの許可なしにはちょっとね?
「あー、大丈夫。興味ない人だから。」
え、これって地雷っすか?
「それで、うちの猫なんだけど、本当はここペット禁止なんだよ。」
だろうね。
「この間大家にバレそうになったし、そろそろ限界。ってことで、やる。」
「わかりました。」
「あっ、偶に猫の様子見に行ってもいいか?」
「構いませんが。」
うち豹と狼と猿いるけど。
カンカンと赤茶に錆びた階段を上る。
手前から三番目の203が沢田宅らしい。
「あ、滅茶苦茶部屋汚ぇから。」
「わかりました。」
私って汚部屋の持ち主専用のフェロモンでも出てんのかな?
ガチャリ
沢田はポケットから出した鍵を差し込みドアを開ける。
お前あんなに派手にボコボコにされていたのに鍵は失くさなかったのか。
という、謎の感心をしながら部屋に入る。
確かに酷いな。
カップ麺のゴミが散乱し蠅が集っている。
やはりどこの安アパートは玄関からすぐにキッチンがあるらしく、そこも家事が起きたようになっている。ここから引っ越すときどうするのだろう?という疑問は残るがそんなことはどうでもいい。
「ごろー!」
猫の名前はごろうらしい。後で漢字を教えてもらおう。
「にゃお゛ん」
雄かな?
部屋の(というよりゴミの隙間)から出てきたのはキジ猫だ。普通の猫だな。
椿と猫の目があった。
すると、ごろうが沢田の肩に飛び乗り(すげぇ)尻尾をぶわりと膨らませる。背中の毛も逆立て椿を威嚇する。というより、沢田を守ろうとしている。
シャー!と椿を威嚇するごろう。
沢田はやっぱりといった風な顔をする。多分沢田にしか懐いていないのだろう。
ふむ、どうしようか。
「やっぱりな。おい、ごろーお前この人に世話してもらうんだぞ?ったく、はぁ、あんたならいけると思ったんだが。」
「んー。見事に威嚇されてます。」
「あぁ、だからあんたが飼うのは無理だな。」
「いえ、秘策があります。」
「まじか。」
「やってみます?」
「やってくれ。」
妙にキラキラとした目で見てくるな。
「秘策なので、沢田さんは部屋から出てください。見ないでください。これが条件でも?」
「わかった。じゃ、待ってるわ。」
んな、あっさり決めんのかよ。
でも、雰囲気的に私以外の人にも引き取ってもらおうとしたが、無理だったって雰囲気だったしな。
事実、椿は知らないが沢田は友人にも引き取らないか聞いたが誰にも懐くことなく、どうしようもない状態だった。そんな中、椿の様な変な人に会い、こいつならいけるかもと思いダメもとで会わせたが、やっぱり無理かと意気消沈していると椿が秘策があると言うではないか。これは期待せずにはいられないではないか。
ガチャリ
と、玄関の扉が閉まる音がすると椿は結界を張った。
そして、
「《召喚》」
小さなボロアパートにSランクの化け物が舞い降りた。
*******
《主!帰りが遅いので心配しておりました!》
「ありがと。」
《ん?何ですか?この下郎は。我が主に牙を向けるなど笑止千万。主、この私が仕留めて見せましょう。》
「おおっと。雪子さんや、それはちょおっと早まり過ぎじゃない?それと、この子私の眷属になる予定なんだから。殺さないでくれ。」
《な!》
「ま、驚くのもわかるけど、これは決定事項ね。名前はごろう。雄で何歳かは聞いてない。」
雪子が固まる。
そして、ごろうは雪子の姿を見、圧倒的強者の力を感じ、尻尾を足の間に巻き込んで完全降伏の状態だ。
「雪子に面倒見てもらおうかと思ったんだけど。後、説得?に協力してほしいなぁなんて。」
《主の命ならば従いましょう。》
「で、念話って通じると思う?」
《大丈夫でしょう。そこらの野良より賢いです。》
「よしじゃあ、私が念話するから。フォローお願い。」
同じ猫科動物として、上下関係が築けると思ったんだが。
《やっほー。ごろう。》
ごろうの身体がびくぅ!となる。
《な!ななななんだぁ!!》
お、イケんな。
《あー、吃驚させてごめんな?私は人間の椿です。こちらが、》
《崇高なる椿様の忠実なる僕の雪子です。》
長いなおい。まぁ、雪子の主が誰か知らないごろうに、敢えて私の名前で自己紹介するあたりちょっと優しかったり?
《お前達は一体何者だ?》
気付いた様子のごろう。
それに、ツッコミは無しかい。
《あー、あなたのご主人様はさっきの男の子であってる?》
《そ、その通りだ。あ、ご主人様は俺が守るんだ!》
《あー、はいはい。やっぱりね。で、あなたのご主人様はあなたがここにいると困るみたいでね。》
《なんだとぉ!》
へいへーい。落ち着き給え。
《ここの、えっと、あんたのご主人様の住処にあんたがいると困るみたいで私の家に置いてほしいって話。で、ご主人様をあんたは守りたいんでしょ?だから、私があんたに力をやるって言ってんの。》
《そ、それは…》
《どう?ま、あんたが私の部下になるのかは自由だけど、うちには来てね。あんたのご主人様はかなり困っているよ。大丈夫、様子は見に来るって言ってたから。》
偶にだが。
もしかしたら来ないかもな。と心の中で意地悪を言ってみる。
《力を手に入れたらご主人様の言葉もわかるよ?》
《それは本当か!》
ねぇ、いつまでプレゼンしなきゃいけないの?
こいつ、反応はいいけど全然靡かない取引先みたいだな。
まともな会社に就職したことないから全部妄想だけど。
《ほんとほんと。》
《主が聞いているのだぞ!どうするのか、さっさと答えろ!》
ナイス雪子!
《つ、つつつついて行きます!》
めっちゃビビっとるやんけ。
《じゃあ、ここでは、流石に出来ないからうちの家でやるとして、取り敢えず、私が抱っこしても大人しくしといて。でないと、説得力ないから。》
《わ、解りました。》
《主、私は家でお待ちしております。》
《おー、わかったよ。あんがとね。》
《有難き幸せ。》
そう言って雪子は影に潜り家に帰っていった。
私は大人しくなったごろうを抱っこして結界を解除した。
玄関のドアを開くと玄関の横で蹲っている沢田がいた。
「終わりましたよ。」
「にゃ~」
ガバリと顔を上げた目の前にごろうを抱き上げた私を見て沢田の顔が輝いた。
「どうやったんだ?」
「秘策と言ったじゃないですか。」
「そうだったな。」
「じゃあ、もうこのまま連れて帰ってもいいですか?」
「いいのか?」
「はい。」
「わかった。じゃあ、ちょっと待ってろ。エサとかスーパーの袋に詰めてくる。」
「わかりました。家の前で待ってますね。」
沢田は立ち上がり家の中に入って行き、私は荷物は全部持っているのでごろうを抱っこしたまま靴を履いて外に出る。
ごろうを降ろすとちょっとだけ身だしなみを整えて再度抱く。
《ねぇ、肩に乗れる?》
《え!む、無理です!》
《わかった。じゃあ、家までの辛抱だね。》
《我慢します!》
それから会話は途切れ、少し肌寒い空気が一人と一匹の肌を撫でる。
…
……
………
ガサゴソと玄関のドアの向こう側から音が聞こえるのでもうそろそろ出てくるだろう。
ガチャ
「家まで送る。」
「え、大丈夫ですよ。」
私服に着替えた沢田が出てきた。
黒いスキニージーンズに黒い長袖のシャツ。靴は普通の運動靴なのだが、顔が整っていて背が高いのでまぁまぁ格好良い。全身黒づくめだなおい。私も何も言えないけど。
片手に持っているビニール袋には猫のエサの袋が入っているようで、かなり重そうで、邪魔そうだ。私は身長が低いからビニール袋を普通に持ってしまうと地面と接触するので、ここは沢田に持ってもらった方が楽そうだ。
「様子を見に行くときに家の場所知っとかねぇと。」
あぁ、成程。
「そうですか。じゃあ、お願いします。」
「おう。」
沢田の家の周辺は地元なので流石に熟知している。
沢田のアパートから徒歩10分弱くらいで到着した我が家。
「近いな。」
「そうですね。じゃ、上がってください。」
「いや、ここまででいい。」
「いえ、暇なのでちょっとお茶に付き合ってください。」
「…わかった。」
何故か渋々頷く沢田。謎だ。
玄関のカギを開け引き戸ガラガラと開ける。
玄関にはクロと雪子とマリアがぐでーんと猛獣姿で出迎えてくれた。
「ただいまー。」
「…」
後ろで沢田が固まっているが無視だ。
腕の中のごろうもカチーンと固まっている。
「沢田さん。この子達は襲わないし、賢いので大丈夫ですよ。」
「…おい。聞いてないぞ。」
「聞かれなかったので。」
まぁ、事前に言ったらごろうをうちにやれなくなると思うしな。
「まぁまぁ兎に角上がってください。」
「おい!」
沢田の手を引っ張って家に入る。
ぴしゃんと引き戸を閉め、鍵をかける。
靴を脱ぐ私の後ろでは沢田が雪子達を見て未だに固まっており、微動だにしない。
怖いのかな?
家に上がると雪子達もゆったりと動き出し、私に擦り寄ってくる。マリアは私の背中に登りしがみつく。雪子達が動き出したことにより、沢田も靴を脱ぎだし私達の後を少し離れてついてくる。
居間につくと私はソファにごろうを降ろし、お茶を淹れてこようとするが、居間に入ってこない沢田が邪魔だ。
「沢田さん。ごろうをリラックスさせる為に一緒にいてあげてください。」
「……わかった。けど、後でちゃんと聞くからな。」
「わかりましたから、どいて下さい。」
沢田はこいつ本当に人見知りなのか?という視線を廊下を歩いていく椿の背中に向ける。
しかし、ごろうの為に腹を括り、少々ぎこちない動きながらもごろうの隣に座る。ごろうは自分のご主人様にすぐさましがみつくようにその膝に避難する。そして、沢田は膝の上に乗ってきたごろうの背を撫でながら現実逃避をする。
お茶といってもお茶ポットとコップを二つお盆に乗せて持っていくだけだ。
居間ではソファに座った沢田が膝の上に乗っかったごろうを撫でてぼーっとしている。雪子とクロは自由に寝転がっており、椿が沢田の対面の床に座るとのそのそと椿の隣に移動し椿に凭れ掛かる。
「えっと、説明しますけど、大丈夫ですか?」
「…っあ、あぁ。いいぞ。」
「えっとですね。この子達がどこから来たとか何故うちにいるとかは話せません。けれど、ごろうに危害を加えないという事だけは約束できます。」
「あー、何処から来たってのは?」
異世界から来ましたって言えるか!
「すみません。話せません。」
そこでマリアが気を利かせ、私の背中から飛び降り、ごろうの元へ行く。どうやら念話で話し合っているらしく、何を喋っているのか全く分からない。ついでに毛繕いをしてあげるのはナイスフォロー。
沢田がビクッとしていたが、ごろうがそこまで緊張していないのを見て落ち着いたようだ。
現在、沢田の膝の上には一匹の雄猫と一匹のSランクの魔物のサルがいる。シュールだ。
「雪子達の事を話さなかったのは、謝ります。ですが、決して危害を加えない事だけは断言できます。」
というか、あんたの猫を猫じゃなくします。
猫も同意済みです。って言いてぇ。めっちゃ面倒。
「はぁ、わかった。なんか訳アリっぽいけど、そこは突っ込まないでおく。それで、ごろうの事なんだが、今日を含めて一週間お試しって感じで預かってくれ。勿論毎日見に来る。」
おー、なんて寛容。
「わかりました。ありがとうございます。」
取り敢えず、何とかなったか。
ふー
力が一気に抜ける。
どうやら、緊張していたようだ。
…
…
…
そろそろ15時か。
沢田はどうするのだろうか?
あ、そう言えば昨日作った蒸しケーキがあったな。
「あの、蒸しケーキ、いり、ますか?」
「食べる。」
そうか。よかったよかった。
「じゃあ、持ってきますね。」
立ち上がりキッチンに向かう。
私が立ち上がると同時に雪子とクロも私についてくる。マリアはそのままだ。どうやら、ごろうと喋っているらしい。良い子~。
キッチンに入ると雪子が話しかけてきた。
《主、宜しかったのですか?》
《何が?》
マジで何が?
私は雪子みたいな深い考えを持つような脳みそしてないからわかんねぇ。
ガチャガチャと食器棚から小皿を取り出す。
大皿に適当に盛ってそれを食べる分だけ小皿に取るって感じかな?
《私達の姿をそのまま晒しても宜しかったのですか、という事です。》
あー、まー、確かに雪子とクロはアウトだわな。
マリアは微妙だけど、あり得るしな。流石に狼と豹はないよな。いや、クロはギリ犬かな?狼犬っているし。あ、でも日本では飼えないけど。
この間、猛獣を日本で飼えるか調べたんだけど、法律ではギリOKなんだけど、広大な土地と財力がいるらしくて、あんまり現実的には無理らしい。うちは不思議パワーで誤魔化してるけど。それ以上に会話が出来るくらいの知力と理性があるのでイレギュラー中のイレギュラーだな。
《でも、これからうちに頻繁に来ると思うから姿は晒しておいた方が良いんじゃないかな?》
《この世界にはネットという、情報収集にはかなり便利なものがあります。調べられたら私達では誤魔化しがあまり効かないのでは?》
《まー、確かに人の認識、精神を弄る禁術は使えないけど、そん時は奥の手を使えばいいよ。》
《主は警戒心が無さすぎます。》
《まぁ、こっちの世界というか日本は日和見思考の国民性だからねぇ。私もどんどん元の考えに染まってるのかも。》
《私が調査した中では口だけの臆病者が多い国民性に思います。私の世界でもそんな奴は人間共の中には大量にいた覚えがあります。しかし、情報だけはこちらの世界が圧倒的に勝っています。口だけの奴らでも侮れないのでは?》
《まぁね~。流石に私でも地球の情報戦に個人で勝てるとは思ってない。強くなったといえど、得意分野ではないからね。》
《では、どうするのですか?》
《そんな時は土地ごと太平洋のド真ん中あたりに島でも創って雲隠れだね。ま、スーパーとかに買い物には行くけど。》
《…》
なんとも豪快な主である。
お盆に蒸しケーキを山盛りにした皿と小皿を乗せて居間に向かう。
居間では沢田がマリアに癒されているところだ。良かったよ。どうやら意外と触り心地の良いマリアのモフモフに癒されたようだ。
椿が居間に入ると沢田は慌てて何でもないフリをし始めた。
その様子はまるでエロ本を読んでいたのを見られた男子中学生の様だ。
別に恥ずかしいことじゃないのに?
「味はプレーンとチョコと柚子とオレンジとあります。」
「ん。センキュー。」
ごろうを膝から降ろし、(マリアは自主的に降りる)蒸しケーキに豪快にかぶりついた。
「うま。」
よかったぁ。
やっぱり誰かに食べてもらえるのは嬉しいな。いかん。ニヨニヨしてしまう。
「食べねぇの?」
「今日の分はもう食べたんで大丈夫です。」
「ってか、多くね?」
まぁ、確かにちょっとしたピラミッドになっているくらいだしな。あぁ、でもこれには訳があるんだよ。
ピンポーン
「はーい!」
《マリアいってくる~!》
知らない人でもないのでマリアが開けてくれるようだ。私より先にマリアがかなりの速さで玄関に飛んでいく。
ガラガラ
「いらっしゃい。」
居間からちょろっと顔を出す。
「来たぞ。」
マリアを綺麗な着物にへばりつかせて居間に登場したのは才原だ。




