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大分遅れました。
久々に超高難易度で超精密な超絶技巧の様な魔力操作をやったので久々に味わう達成感が半端ない。才原には言っていなかったが、実は他人の身体にああやって魔力を侵入させるのは滅茶苦茶危険な行為なのだ。異世界にも他人の身体に自分の魔力を流し込むと発狂するなど、精神が壊れるなどということが起こっていて(下手したら死ぬ)、それは常識なのだ。拷問によく使われる方法ではある。(その場合は精神が壊れないくらいに人の精神を弱らせられるくらいに魔力制御がうまい人がやる。といっても、向こう人間はそうとは考えていないようだが)異世界の人達は異物を自分の身体が受け入れられないからだ。という結論に至っていて、それを至極当たり前のように言っていた。が、実はこれは違うのだ。他人の身体に魔力を流し込むと大抵の人の精神が壊れるのが何でなのかというと、皆がやっていることはキャパ以上のものを詰め込もうとしているようなものだからだ。何万もするうっすいワイングラスよりも脆い容器に入っていると思ってくれればいい。ワイングラスは高ければ高いほどガラスの厚みが薄くなっていくらしい。コンとどこかにぶつけただけで割れるくらいに脆い。そして、その魔力の容器の周りには頑丈で堅固なしっかりとした壁がある。実際に物質的にはないのだが、これはアストラル体にある機能なので、魔力でしか干渉できないのだ。そして、疑問がわくことだろう。何で堅固な壁だけにしないのかと。どういうことかというと、魔力量の多い人ほど魔力の容器が脆くて魔力が少ない人ほど魔力の容器が強い。{まぁ、強いって言っても普通の薄めのガラスのコップの強度だ)魔力の容器が脆いほど魔力の生産量が高く、伸びしろがある。強度があるほど、伸びないらしい。どういった原理でこうなっているのかは知らないが私の専門外のことなので調べる気はない。しかし、ここまで調べたのは事実私なのだが。専門家でもないのに(魔力の容器の専門家などいないが)ここまで詳しいのは一度気まぐれに人の身体に魔力を流してみたからだ。相手は戦闘もしない一般人だったので気付いていなかったが。その時に器の様なものがあると思ったのだ。堅固な壁の存在を知ったのは、拷問で見た時だ。拷問後の人の身体に魔力を流してみると、壁が無くなっていたのだ。私は驚いた。そして、誰にも喋るまいと決意した。そして、魔力を扱えていない人の魔力を引き出すことができることも分かったのだ。同時にこれは危険な力だと思った。兵士の大半は魔力を扱えていない。まず使えない。皆魔力がないと思っている。そんなことがあるはずはないのだ。異世界の生物には何かしら魔力を持っているからだ。以前話したように、神が管理するかの如く魔力には色があるのだから。魔法使いは魔力を感じることができるが、それは垂れ流している人だったり、一度は使ったことがある人に限る。そして、皆それを過信しているのだ。過信し過ぎているからこそ真実を知らなかった。いや、知れない。この方法を使えば魔法を使える人が激増し、戦争に使われただろう。新たに大きな力、勇者が現れたことによって潰れたも同然の国を幾つも見てきた。あんなに国が潰れたことなど歴史上そんなになかっただろう。おっと、話が脱線してしまっていた。この話は置いておいて、魔力の容器の話に戻ろう。魔力の容器は物質界には存在しない。何処にあるのかというと、別の次元にある。これは比喩などではなく事実だ。別の次元はまたの名を『神界』ともいう。神が管理しているのだから当たり前だ。日々膨大な量の魔力の容器が増えて、膨大な量の魔力の容器が消えていく。そう神から聞いている。興味がなかったので見なかったが。さて、これで私のやったことの凄さをわかっていただけただろうか?これで、阿呆な能天気キャラなんて印象もなくなることだろう……多分。
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才原と別れた私は試合会場のド真ん中でおっさんと対峙していた。
「いやー、まさか町田さんがあんなに強いとは思わなかったですね。」
ニコニコとおっさんが身長の低い私を褒める光景はどことなく犯罪臭がする。
「早くしろ。」
私は田中の体術を身に着けるために手加減を最大限にするつもりだ。
私が催促するとおっさんは笑みを浮かべて構える。
「いかせてもらいやすぜ。」
≪あまり喋らせていただけなかったのは少し残念ですが、まぁいいでしょう。それでは、……
レディィィィィ………ファイトッ!≫
カアアァァァァァンンン!!!
私は自然体に構える。おっさんは先手必勝とばかりに突っ込んできた。私は一般人並みの力に調整して、ひねりを入れたパンチを繰り出してみた。おっさんはジャッキーチェンみたいに私の腕に自分の腕を絡める。私は自由な左手でおっさんの肩を掴み、両脚をおっさんの首に巻き付ける。おっさんは動じることなく、そのまま仰向けに倒れた。私は服が汚れるのが嫌なので脚を解いておっさんの身体を踏み台にして跳躍する。おっさんはくるりと回転してうつ伏せに倒れるかと思ったが手をついて難を逃れる。腕立て伏せの様な姿勢から勢いよく起き上がる。私はその姿を後ろから見ている。手を出す隙は沢山あったが、おっさんがなかなかいい動きをするので感心しているのだ。
パンパンと手の土をはらったおっさんは前傾姿勢で私に向かって走ってくる、というか突進してくる。一瞬猪みたいだと思ったのは内緒だ。私はおっさんが私にぶつかる時に後ろに向かって飛んだ。そのままおっさんと私が錐揉みしながら飛んでいく。しかし、そのまま飛んで行ってしまうと場外で負けてしまう。それは困るので私はヒールで踏ん張った。そして、おっさんの背中の服を掴んで横に投げた。おっさんはただでは起きない様で、手をついてバック転をして着地した。
おっさん、体操選手でも行けたんじゃない?
なんで金融ヤクザをしているのか謎だ。勢いを殺すために四つん這いになって踏ん張るおっさん。
おお!その動きかっけぇ!採用!
「ふっ!」
今度は私がおっさんに向かって突進する。おっさんは私の身体をいなした、かと思ったが、私の襟首をつかんでそのまま地面にたたきつける。私は大してダメージを受けていないが、ここはダメージを受けている風に装おう。
「がはっ!」
ゲホゲホと咳き込む私を見ておっさんが怪訝な顔をする。
あぁ、そういうこと。私の人外の様な動きなどからこの程度のことでダメージを受けているのが信じられないってこと。演出としてニヤリと笑ってやると、おっさんはやはりといった顔をした。
私はブリッジをするかのように手を顔の横についてそのまま勢いよく逆立ちをするように脚をおっさんの胴めがけて蹴り上げる。そして、見事にクリーンヒットしたかの様に思えたが、おっさんは私の靴を掴んでいた。そして、私の靴を脱がしながら背負い投げをした。私の靴はおっさんの手から場外にポイ捨てされている。私はバランスが流石に悪いのでもう片方の靴を脱ぎ素足になった。
そして、構えた。おっさんも構えて私に向かって拳をぶつけてきた。私はそれにこたえていく。たまに蹴りが来るがそんなもの足の裏でガードだ。おっさんはそのまま押し込もうとしたが、直ぐにあきらめた。多分力が足りないと気づいたからだろう。そして、今気づいたのだが、大勢でないとジャッキーチェンのようなアクションは出来ないらしい。残念だ。だが、これで終わりにしよう。私は田中の足払いのような蹴りをわざと受けて、横転する私は左の拳をおっさんの脇腹に内臓を傷つけないくらいの威力で軽く殴った。
「ガ…ァ…」
おっさんはずるりと意識を失った。私は殴った反動で起き上がっており手をパンパンと払った。
≪終了~~~~~!!!!!≫
私は司会進行がうざかったので実は試合前にコメントを少なくしろとおど……じゃなくて、言っておいたのだ。
まぁ、無事に大会が終わって良かったよ。
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その後準々決勝を行った。
その結果がこれだ。
一位町田椿
二位田中颯太
三位柏木仙太郎
四位山田大和
四位以下の結果はどうでもいいらしいので、試合はしないそうだ。
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「御厄介になりました。」
私は才原組長に丁寧にお辞儀をしながら言った。
「いや、こちらも楽しませてもらった。また来ると良い。」
「ありがとうございます。」
《お前がそんな丁寧だとムズムズするな。》
《そう?》
といっても、その表面下ではこんな言い合いをしているわけだが。
何故こんな挨拶をしているのかというと、社員旅行から自宅に帰るため全員が門前に集合しているため、そのため人目があるので仕方なくだ。
「では、またお会いしましょう。おやすみなさい。」
「ああ。そうだな。おやすみ。」
私は行きと同じ軽トラに従魔達とその舎弟達と一緒に乗った。隣には案の定おっさんがいた。負けたのに何故か嬉しそうな笑顔を浮かべるおっさんの顔面の凶悪さは幼稚園児にみせると泣かれるレベルだ。
荷物を持って軽トラに乗り込む。才原は孫の桜木修と話をしているようだ。ってか、桜木修のこと忘れてたわ。全然目立たなかったからな。山本さんの方が私の中では目立っているくらいだ。
「町田さん。強かったんですねぇ。」
「そうですね。」
「いやー、雰囲気と口調が変わるところもなんだか格好良かったですよ。」
「あれは、……恥ずかしいと思っております。」
実際めっちゃくちゃ恥ずかしい。中二病かと思うわ。痛すぎて最初泣いたわ。剣の師匠は私が戦闘後に泣き始めてオドオドしてたけど、結局肩をポンと叩かれた。しかも労りの目で。その行動は私の心の傷を更に抉ったことに師匠は気付かなかったけど。
「そうですかねぇ?」
……あぁ、この人漫画読まない人だな。
「まぁ、そうなんです。」
「何であんなに、いや、これは野暮ってもんですね。」
「そうですね。私も田中さんに聞いてみたかったのですが、やめておきましょう。」
それから私達は一言も話さず自宅に無事帰宅したのだった。




