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≪半数がコスプレをしてきているようですが、これは真面目なれっきとした武闘大会です。カクさん、これに対しての意見は、≫
≪いやー、多分着たら強くなるって思ったんじゃないっすか?さっきから結構そういう声を出してますし、ちょっと、露出狂な人もいますけど。大丈夫じゃあないっすか。≫
≪カクさぁあぁぁんんん!!!!≫
何とも無責任な発言且つ的を得ているので突っ込めない。なるほど、そういう思考回路なのか。
≪それでは、レディーーー………ファイトッ!!!!!≫
カァァァァァァァンンン!!
と勢いよく鳴らされたコングを合図に選手たちが動き出す。
多分、このブロックは雑魚と阿呆の掃きだめなのだと思う。だって、全員持ってきた武器を使わず普通に喧嘩をしているから。やっぱり阿呆だ。隣の才原を見ると、遠い目をしている。
「大丈夫か。」
「大丈……夫じゃねえな。」
「ってか、全員コング鳴った途端に武器捨てたよね。やっぱ阿呆だよね。」
「多分、武器を扱ったことがねぇんだと思うぜ。」
「まじかよ。」
「俺もそんな感想を抱いている。」
そんなAブロックはすぐに決着がついた。
名前は憶えていないが、ボロボロだったな。多分すぐに脱落するだろう。
次はBブロック。
出場者を見ると、ジャージやら道場着やら動きやすい服装をした人が多かった。手に持っているものも使い古している感じがする。
「これは、普通だな。期待しておく。」
「そうだな。」
≪えー、Aブロックは論外な試合模様でしたが、Bブロックには期待をしていいと私は思います!≫
≪どうしてっすか?≫
≪なんとBブロックには”鬼人”が出てきます!≫
≪おおお!”鬼人”っすか!なら、期待大っすね!じゃあ、知らない人のために説明させていただくっす。”鬼人”は桜木組期待のルーキーっす。社長が拾ってきたらしいんすけど、それはもう強いって有名っす。戦闘方法は手の内を明かすと殺すって言われているんで無理っすけど、プロフィールをスケが言ってくれるっす。≫
≪はい。入江直人通称”鬼人”。年齢21歳。血液型O型。5年前くらいに桜木組長が拾ってきた期待のルーキーです。特技は喧嘩。趣味も喧嘩。という、戦闘狂じみているプロフィールですが、本人の生活能力は凄まじく、桜木組長の家によく出入りしていて、桜木組長の家庭を支える桜木組長の嫁の様な存在です。”鬼人”の名は喧嘩をしている時に笑った顔が鬼の様だったという殴られた人達がつけたのが由来らしいです。≫
≪よく知ってるっすね。≫
≪私も殴られましたから!はははは!≫
喧嘩って……。こっちはガチの殺し合いだったんだけど。それと、スケ殴られたんだ。弱いな。あと、鬼人のギャップが激しいな。どんな奴なのか気になるな。技術を持ったら凄そうだな。
「もしもし、隣の奥様。入江って方はどなたかしら。」
「何だその口調は。まぁ、いい。入江な。あー、あいつじゃないのか。」
「いや、そこは一緒にふざけようよ。で、入江って………へ?」
ふざけた私が才原に聞くと、才原は呆れながらも指を指した。指を指した先には髪形は男にしては少しサラッとした髪質を首まで伸ばして、センターで別れている茶髪で、優しそうな顔をした糸目の優男だった。身長は目測170半ばで、体重は75㎏前後だな。重めの体重な気がすると思うが、筋肉がめっちゃついているから重いのは当たり前だろう。格好はリネンの襟まで詰めた白いシャツにズボンはベージュの踝より少し上で、よく見ると耳には銀色のピアスがついていて、靴はただの下駄だ。おおよそ試合をしに来た様な格好じゃないけど、この中じゃ強いほうじゃないかな。私には敵わないけど。それと、探査で見たけど、背中に大きな傷と煙草でつけただろう火傷の痕があるから、酷い虐待にあってたんじゃないかな。
「ねぇ。」
「なんだ。」
「入江って子さぁ、虐待にあってたんじゃないの?」
「………なんでわかった?」
「体中のあちこち、特に背中に集中して煙草の火傷痕と大きな傷痕があるから。明らかにそうでしょ?」
「いや、どうやって、ってお前にそれを聞いても無駄なようだな。」
「いや、探査って魔法でやったんだよ。私だけの技術だけど、多分雪子達も見えてるよ。」
「そうか。言うなよ。」
「わかってる。確認だけ。人格が壊れていたら怖いじゃん。」
「お前に怖いとかあったんだな。」
「会ったら面倒だなってくらいに。」
そんな話をこそこそとしているとコングが鳴った。
カァァァァァァァンンン!!
「「「うおおおお!!!!」」」
すると、数人がかりで入江に飛び掛かる。
さっきまでニコニコとしていた顔がスッと無表情になり、糸目だった目も開きめっちゃ怖い。顔だけ。
飛んできた人の端の人の顔が掴まれ思いっきり横に薙ぐ。そうすると、想像通り人が横に飛んだ。錐揉みする程じゃなかったけど飛んだ。野次の方には幸い突っ込まなかったけど、すげぇ腕力だな。周りでは入江を取り囲みながらじりじりと後退している。怖いんだろうなぁ。
「うわぁぁぁぁ!!」
一人耐えきれなくなったようで逃げ出すと、それを入江が逃がさないと後頭部を右手で鷲掴みにし倒れたところから背後から馬乗りになる。そして、握力に力を入れ、気絶した。気絶した男は回収され敗退した。立ち上がり二ヤリと笑う。ううう、こぇぇぇ。
そこからは怒涛の攻めの態勢で走りまわる。顔面を殴った時に飛んできた鼻血か口を切った時の血が飛んできて、ピッと服と顔にかかる。ホラーだな。ニヤリと笑った口からは尖った八重歯が覗くのもまた恐怖心を煽るな。
「なんだよ。あの豹変具合。おっそろしいな。」
そう感想を零す椿に才原は驚く。
「怖いのか?」
「顔がな。強さは脅威じゃないけど。責めて、地球を壊せるくらいじゃないと。」
「脅威のレベルが違うな。」
「いや、あんたも鍛えればそれくらいは数百年後にはできるんじゃない?」
「気の長い話だな。」
「でないと、できないし、私はそういう機会と環境があったからそれくらいはできるんじゃない?本気を出せば。パンチではできないけど。魔法ならばなんとか。」
「お前が脅威だな。」
「そうだね。話してて落ち込むわー。で、あの子の性格って大丈夫?」
「ちとばかし、修に依存しているな。」
「多分それちとばかしとかのレベルじゃなくて、病的にじゃない?」
「正解だ。」
「だろうな。」
あれか、恩義を感じてなんたらかんたら~ってやつだろ。
Bブロックからは叫び声しか聞こえてこない。酷いな。それと、やっぱり生き残った奴は入江だった。でも、二人いるらしいけど。もう一人は難を避け続けたのか、土だらけな影の薄そうな男だった。気の弱そうな奴だなぁ。という感想しか持てない。
「もう一人の人さぁ影薄いよね。」
「……まぁな。」
「怖いよね。」
「…」
何に対しての怖いなのかわからないが、誰かに対してそういった感想を持っているのは確からしい。椿はパラメーターで強さを測れるわけじゃない。その人の仕草や雰囲気や態度で判断する。あとは勘等だ。椿の脅威になることはないが、強いだろうなぁ~程度の人はちらほらと発見できる。それは、いくら隠すのがうまくとも魔物並みの感覚を持つ椿には誤魔化せていなかったりする。
「ってか、入江って人のインパクトが強いね。あと、スイッチがoffのときのニコニコ笑顔に戻った瞬間の格好がもう怖い。ホラーだね。スプラッタには慣れている筈なんだけどな~。」
「俺もたまに怖い。」
「お、弱気発言か。」
「いや、あいつの豹変ぶりがな。普通に恐ろしいだろ?たまに変な圧力があるしな。」
「…まじかよ。益々会いたくねぇな。」
弱気発言をした才原をここぞとばかりに揶揄おうとして横を見ると、才原は遠い目をしていて目が光を失っていた。流石の才原も怖いようだ。優しい笑顔の人が怒ると怖いってよく言うしね。迫力あるからな~、それに、私もちょっと怖い。
「で、次がCブロックね。時間はー、意外とまだ大丈夫だね。それにしても、皆野次馬根性が凄いね。何かを叫んだりしないけど、ずっと見てるし。」
「お前もな。」
「ほんとだ。」
腕時計を取り出し、確認すると1時間程しか経っていなかった。
「意外と時間がかからなかったね。観戦しながら御飯食べよ?腹が減ってはなんとやらってね。」
「そうだな。どうする。」
「マリアあたりに頼むわ。」
「いいのか?」
「いいのいいの。飽き飽きしてそうだしね。ほら、そこでぐでんとしてるでしょ。暇なんだよ。」
「……そうだな。」
時間は11時46分だった。荷物は離れの方に置いてきたので、飽き飽きしていたマリア達にとってはいい気分転換になるだろう。確かお昼休憩の時間は特に決まっていなくて、予選が終わったらするだそうだ。じゃあ、Cブロックが終わればお昼休憩に入ったも同然だな。と椿は考えていた。多少は力を見るが、それでも多少なのでその後は瞬殺だ。一応デバフ系の魔法をガンガンにかけるがそれくらいは造作もない。
《おーい。誰かコンビニで買ってきたやつ持ってきてー。》
《マリアが行くー。》
《全員で行って参ります。》
《オーケー。ありがとうね。》
才原も聞いているので、言う必要は全くない。というか、雪子も我慢できないくらいなんだ。やっぱり酷いんだなぁー。あー、でも、お笑い系ではいけると思うよ。
視界の端では雪子達が動き出すとどよめいている烏合の衆があたふたしている。勿論ガン無視で進んでいるけど。それを無視しながらCブロック出場選手が集まったようだ。うん、皆普通の格好だな。安心したわー。やっぱりAブロックは阿呆の集まりだったんだな。
≪さー、Cブロックの出場選手が集まった様です。皆さん!Cブロックにはな・な・なんと!!桜木組の幹部が勢揃いです!幹部の田中颯太、柏木仙太郎、黛義信。通称”三王”と呼ばれるこの三人ですが、桜木組・組長の知己らしいです。どこで知り合ったのかは内緒の様です。》
《そうだったんすか。知己だってのは知ってたんすけど、どこで知り合ったとか聞いた時いつもはぐらかすんで気になっていたんすよね。それに、”三王”は強いっすからね。個々人でも強いっすけど、やっぱり連携が上手いことで有名っす。個人の力を試す機会っすから今回の大会で優劣がわかるんじゃないっすか?でも、顔に似合わない華麗な連携をするって有名なんで、見たことがない俺はちょっと残念っすね。》
《しかし、本戦に参戦できるチケット得るのは2名まで!これは勝負の行方が気になりますねぇ~。では!レディィィィィ……ファイトッ!!!!》
カァァァァァァァンンン!!
コングが鳴る。
って、ちょいと待て。
え、何?あのおっさん幹部だったの!?雑魚感半端ないんですけど!!しかも、幹部にさん付けされている私の位置づけって結構高めじゃあないんですか???それと、幹部が勢揃いって、山本さんは幹部じゃなかったの!?側近と幹部は別もんってか!




