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あと二日と迫っていたが、大して準備をすることもなく何処に行くとも言われることもなく社員旅行当日を迎えた。
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「おはようございます。まず、基本的なことを言います。言ったことを破った者は罰します。では、まず目的もわからない社員旅行ですが、社内では喧嘩暴力又はちょっかいなど出さないで下さい。静かに迅速に行動することを推奨します。あぁ、勿論禁煙ですよ?では、良い思い出を作りましょう。以上です。」
私は注意事項を言って挨拶を終えると、そそくさと雪子達の乗っている軽トラの助手席に乗った。
「町田さん。挨拶ご苦労様です。」
「おはようございます。大したことはありません。それより、今日の行き先は知っていますか?」
「いや、どうも山本さんと若しか知らねぇらしいです。」
運転席に乗っていた田中のおっさんに挨拶をし返すと行き先を聞いたが、やっぱり知らないらしい。国内旅行なのは社長の態度でわかる。目に見えてウキウキしていないからな。そして、あの大会を何処でやるのだろう?出案者だが、聞いていないとはこれ如何に。
「そうですか。」
私が返事をし返すと田中さんの携帯が鳴った。
「はい。田中です。若ですか。はい。了解しました。」
盗み聞きすると、社長はあそこに行くと言っていた。あそこって?ドコ?
「何処に行くか聞きました?」
「そうですね。町田さんは初めてですね。俺らも泊まるのは初めてのところですね。」
え、どこ?
《雪子達はわかる?》
《多分あそこじゃないでしょうか?》
《うーん。あそこじゃない?》
《え、どこ?何で知ってるの?》
《後の楽しみにとっておいたほうがいいのではないのでしょうか?それに、20分もかからずに着きますよ。》
《うん。そうだねー。マリアもたのしみー。で、マリアも勝負したいー。》
《結局教えてくんないんだよな。あと、勝負は駄目。》
《はーい。》
ちょっと、雪子まで落ち込まないで。今度亜空間で勝負しよ?ね?
「町田さん?どうかしましたか?」
「いや、ちょっと宿泊先が気になるかなーっと。」
「そうですか。あそこは立派ですから、期待しといて下せぇ。」
「はぁ、そうですか。じゃあ、期待しています。」
じゃあ、字数稼ぎに軽トラに乗っているメンバーを紹介しますか。まず雪子、クロ、密かに久遠、マリア。で、社員のペットたち。今日は猫も乗っている。といっても、やっぱり二匹程度だけどな。また、権三郎は仲間外れです。呼ぶのめんどいしな。犬4匹と猫が二匹。犬は小型犬しかいないから重量的にも楽。猫は二匹とも大人でどちらもメスだ。雪子は配下がいてちょっと機嫌がいい。マリアは密かに久遠と遊んでいる。真似っこ遊びをしているそうだ。(雪子情報)だが、恐ろしく技術の高い遊びだけどな。多分Sランクでもできるやつが数種類程度の中の2パーセントくらいだから、私もできないし、種族が特定されるので、超々難易度のクッソ高い遊びだから、遊びにならん。うちの子恐ろしい子。
そして、案の定トラックの荷台は静かだ。時折猫の鳴き声が聞こえてくるぐらいかな。マットを適当に敷いているし、雪子とクロにしっかり見張っとけと言っているので大丈夫だ。コケることもないだろう。
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さてさて、本当に会社から20分足らずで着いたのは、『桜組』とででんと筆で渋く書かれた看板がこれまたででんとでっかな御屋敷のでっかな門の横にかけられてあるところについた。なーんかやたらと長い塀だなーとは思っていたが、まさかの本家様登場っすね。そして、私達の会社を経営する『桜木組』の上の上つまりは、親元っすね。何度も言うようですが、超々上の上司の家っす。そして、うちの桜木組組長の実家っす。もう、ちょっと吃驚し過ぎてスッス口調になったじゃねぇかよ。まぁ、いいや。とにかくここの台所が広そうなので期待しています。まぁ、立派な洋館よりかは平和な気がする。銃とかドスとか刀がわんさかあるけどな。対応は楽勝。なので、気楽にいきましょうー。
「大きいお屋敷ですね。犬とかどこに放しましょうか?あぁ、そうだ。言い忘れていたことがありました。」
「ん?町田さん。どうかしましたか?」
「あ、田中さんから流していただけますか?この情報。」
「その情報によりますぜ。」
「私の家族又はその配下に手を出したら制裁です。という情報を流してくださいね。まぁ、個人個人で対応はできなくもありませんけど。」
椿はぼそっと最後に重要な情報を田中に聞こえない絶妙な声量で言った。
「いいですけど、俺は関係ないですぜ。情報を流しただけですからね。」
「わかっています。他人の家のルールには従いますが、これだけは譲れませんからねぇ。」
「そうですね。俺も家族には流石に手を出されたくはありませんから。」
そして
《雪子、知ってたんだよね。》
《はい。》
《もしかしなくとも、全ての情報を掌握とか》
《完璧です。》
おーまいがー
うちの家族のスペックが今更だけどやべえ。
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「えー、取り敢えず。ただいま。そして、一人だけ女性社員がいるので母さんに対応を任せます。」
「いえ、自分のことは自分で出来ますし、道にも迷いません。森の中を道しるべなく歩ける自信が私にはあります。それよりも、雪子達を早く自由にさせてあげたいのですが?そこに案内をお願いします。」
「……わかった。」
社長の言ったことを全面拒否し、私は雪子達を優先させた。本当は本人たちの自由にさせてあげたいんだけどな。
玄関でそういったやり取りをおっとりとした着物の可愛らしいおばさんの前で繰り広げる。
「あらあら、いらっしゃい。椿ちゃんだっけ、話は聞いているから上がんなさい。舎弟さん達は自由に上がってください。で、雪子ちゃん達はどこにいらっしゃるのかしら?」
「まだ、軽トラの荷台に乗っています。」
「そうね。じゃあ、椿ちゃんが迎えに行く?それとも舎弟さんたちが?」
「いえ、私が行きます。それと、その後どちらに向かえばよろしいでしょうか。」
「じゃあ、椿ちゃんから見てお座敷の左側をずぅっとまわっていったら舎弟さんがいらっしゃるから、その方に説明を受けて頂戴。」
「ご丁寧にありがとうございます。では、また後程。」
「またねー。」
と、社長のお母さんは手を振ってくれた。私はそれに会釈で返し、石畳の上を歩いた。
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「雪子達ー。迎えに来たよ。」
《主。私達は何処へ行けばいいですか?》
「私が連れていくことになっているから大丈夫。迷ったとしても、中庭にいる人に向かって行けばいいから。」
《そうですか。……皆さん降りてくださいね。》
「がう。」
雪子が合図すると続々と順番通りに降りてきた。ただ、犬は雪子が一匹を尻尾でクロが口で私が二匹を降ろしてあげた。マリアは私にしがみつき久遠は腕に回収して、雪子とクロは点呼?をとる。それから私を先頭に雪子、猫二匹、犬四匹、クロ。という相談していたらしい隊列を組んで進んでいく。途中で外の廊下を歩く舎弟たちに唖然とした顔で見られたが無視を決めこんだ。
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細かい砂利がある中をサクサク進んでいると、案内であろう男の人がこちらを驚いた顔でみていた。
「町田さんですか?」
「はい。町田です。どちらにいけば?」
「あ、あぁ、はい。こちらです。」
そして、男に屋敷の立ち入り禁止やらの決まり事を説明されながら椿一行は奥へどんどん進んでいった。途中から、あれ?ここって……みたいなとこに来た。母屋らしき大きなお屋敷から長い渡殿を渡ったところにある離れに案内された。
そこは、砂利ではなく地面が土だった。細かな石はなく、綺麗に整理されたところだった。
「ここです。町田さんにもここで泊っていただきます。うちは男が多いので、邪な考えをする馬鹿な奴もいるので。安全のために。」
「お気遣いありがとうございます。」
「いえ、では俺はこれで。」
名無しの権兵衛さんはさっさと退場した。
「雪子。」
「がう。」
「聞いてたよね。」
「がう。」
「頼んだよ。」
「がう!」
私とマリアと久遠チーム略して椿チームとクロと犬四匹と雪子と猫二匹チーム略して雪子チームに別れた私達は、荷物の整理をして、母屋に向かった。
本家登場っす。




