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雪子たち(クロを除く)のお陰でいつもより仕事は早く済んだ。その代わりに強面な社員さん達は顔を青くして遠巻きにそれを見ていた。まぁ、一応魔物だから(しかも全員幻獣)アレルギーとか全くないし、そんな心配はなかったけど、心理的に無理だったみたい。で、昼休み社長から集まれとのこと。事前に聞いていた通りに各フロアに行って雪子達を紹介をしていく。皆私に救いの視線を向けてきたけど。
そして、最後の紹介の場。
「えー、今日の朝から気になっていたと思う。この子達の紹介といくつかの説明をしていく。」
「がう。」
雪子がひと吠えすると「ひぃ!」「ひぃ!」「俺は遺書を書かねば」とふらふらしている人が数人いる。
「えー、では町田、紹介を。」
「はい。えー、皆さん。驚いたと思いますが、噛みませんし、襲いもしません。そして、させません。で、紹介をしていきます。黒豹の雪子です。この子が一番賢いです。人の言葉もある程度理解します。人間に接するようにしていただいても構いません。あと、人の名前も憶えています。」
「豹つった。」「猛獣じゃん。」「ライオンと大して変わんねぇじゃん。」「何で大型の猫なんだ?」「もう無理。俺死んだ。かぁちゃん産んでくれてありがとう。」「遺書。」
という嘆きが聞こえてくる。
「で、お次にこちらは黒…じゃなくて、白狼のクロです。この子は素直な子です。この子も人の言葉を理解します。」
「クゥーン」
よし。クロは成功。雪子はこの声無理だからな。
「また大型。」「おお俺は何度殺されるんだ?」「遺書。」「俺、触ってみようかな。」「お前、それは無理だろ。」「白狼。かっけー。」「狼って飼っていいの?」
お、好感触だな。
「では、最後の紹介です。私にしがみついているニホンザル(仮)のマリアです。この子が二番目に賢いです。そして、人の言葉を理解します。普通のサルより手先は器用です。」
「キキィー!」
「サルならいける。」「俺も」「可愛いな。」「うちのマスコットか?」「町田さんスゲェっす。」「町田姐さん。」「尊敬します。」
何か後半聞き捨てならねぇ言葉が聞こえたけどまぁいいや。あ、言い忘れてた。
「あ、あとですね。この子達が悪さをしたらどんどん言ってください。制裁を致しますから。以上です。」
「がうぅ。」
「きぃ」
「くぅーん。」
私がそういうと三匹は目に見えて縮こまった。
「町田姐さん。」「猛獣使いはいた。」「すげぇ」「俺、町田さんにだけは逆らわねぇ。ぜってぇに。」「俺も。」
ある意味簡単なヒエラルキーができあがった。それと、遺書の人声が聞こえないぞ。あれ?なんかマリアを見て拝んでいるぞ。え、あいつの実家の神社が猿を祀っていたらしい。よかったな。神がかったSランクのサルがここにいるぞ。下手したら、Sランク以上かもな。ははは。
「キィ?」
私は念話でマリアにこう言った。
《良かったな、マリア。舎弟一人確保だぞ。》
《そうですね。マリア。鍛えてあげなさい。》
《わーい!》
《いや、鍛えなくてもいいから。ただ、仕事は真面目にしろと言ってな。》
《はーい!》
いや、鍛えるとか色々可笑しいしバレるから。
「だそうだ。あ、それとうちの会社は、躾ができてもできていなくとも、ペット同伴可な会社になったから。でも、こっちで勝手に躾しちまうかもだからな。まぁ、うちの会社にペット飼っている奴なんて滅多にいないけどな。あと、どうしてこいつらを連れてきたかというと、再来週に社員旅行があるからだ。詳細はまた後日連絡する。以上解散!」
と、社長は軽く重要なことをさらりと言い、退室した。
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社員たちが更に混乱した後、椿は雪子達に信奉者ができたことに頭を抱えていた。それは何故かというと、雪子の信奉者は緊張でコケかけたところを尻尾で救出されたり、落とした書類を集めてもらった等の理由らしい。それでも数人いるのは可笑しいが。
そして、クロの信奉者達は知らず知らずのうちになんかモフモフした気持ちいのがあるなーと思って仕事中に無意識に触っていたところクロのだと気づき土下座をすると顔をベロンと舐められた後に「くぅーん」という必殺技をかまされて信奉者にという謎の理由だったりした。けど、クロを信奉者達はメスだと勘違いしている。あいつ、男の娘じゃねぇだろうな。
最後にニホンザル(仮)のマリアはいつの間にかたっかそうなリボンを首に緩く巻いている。因みに営業から帰ってきた人が買ってきたらしい。で、筆頭は遺書の人である。実家の神社で猿を祀っていて、最近両親と離縁になっていたが、マリアのことを親に報告することで和解し、益々マリアを拝んでいる。というか、これは私も嬉しい。こいつは、マリアにお供え物として饅頭だ。高くて美味しい果物をくれるので私は黙認する理由としてこいつを放置した。
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それから一週間が経ち月曜日に社長よりも朝早くに出社した椿一行は玄関で雪子達に頭を下げて挨拶をする強面の社員たちを見ていた。
そして、社員達から預けられる犬達。流石に猫は無理だ。が、犬の散歩に行くのも面倒なのは確かだ。クロは顔がキラキラしている。数匹しか預けられていないが、それでも糞尿の世話は面倒だ。全部久遠が回収してくれるが。社長はその糞尿はどこに行っているのか知らないのだろう。魔法を交えて誤魔化した甲斐があったもんだ。そして、チワワ等の小型犬しかこないのも私は不服だ。私はクロの様に大きな犬が好きなのだ。最初はギャンギャン吠えていた五月蝿い犬達もクロの少しの威圧交じりのひと吠えで失禁しながらも必死に服従のポーズをとった犬達はあっという間に静かになった。勿論社外の近所の社長の買った新しい土地で行った。そして、その土地の維持という仕事が増やされた。まぁ、いいけど。隠れて久遠が雑草を食べてくれているから。それと、猫草を生やした土地を二分の一半分はドッグランだ。ここ一週間でやったにしては重労働過ぎる。その時、どうして私は戦闘系の従魔しか増やさなかったのか凄く後悔した。そして、私の苦労のおかげで雪子にも配下ができた。猫草ゾーンにはここ等一帯の野良は勿論飼い猫までもが集会として利用している。そして、ここは隠れた猫の集会場所として裏の世界のご近所さん達がちょこちょこやってくる。噂早いなと思った瞬間でもある。また、雪子達の刷り込みのおかげで私を頂点にしたヒエラルキーが完成した。どの配下も私には必ず従う。従わなかったら雪子達の御仕置が待っているからな。そして、その雪子達に恐れられている場面を目撃した配下たちはビビった。そして、ちびった。
こうして、あと二日で社員旅行という日まで迫っていた。
猫草の生態などは全部雪子が覚えて環境調整等を椿が担当する形でやっている。雪子さんまじ便利。




