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ピンポーン
はいはい。行くから待ってろって。
町田椿は昨夜の出来事のことを誰にも聞けないまま風呂に入っていた。風呂から出たときにさっきのインターホンが鳴ったのだ。
暫くするとガラガラっという玄関扉の開いた音がした。
「え。」
開けたの誰?山本さんが開けるわけないし、え、雪子!?何してんの!?
「おや、貴方は。昨晩はとても助かりました。」
え、山本さんと知り合いっすか!?
急いで服を着て髪を魔法で乾かす。洗面所の換気をした椿は玄関の方を覗くと山本さんと雪子が対面しているではないか。
「がう。」
がうじゃないでしょー!
「お待たせしましたー!」
って、横からクーロー!
クロは構ってもらいたくて我慢できずに椿に飛びついた。山本さんがいるので、空気の読める久遠は出てこず、マリアはクロを昨晩の状態にした。椿はそれを見て、更に混乱した。
「え、ちょっ!」
《主、説明します。お静かに。》
《そうじゃないでしょ。お風呂に入っているときに説明してよ。》
《こうしたほうが面白いかと思いまして。》
要らない面白さー。
「山本さん、ちょーっと待っててください。」
「はい、社長にも言っておきます。」
「あ!そうだった。社長がいるんでしたね。じゃあ、うちに上がってください。」
「え、少しの時間で終わるのでは?」
「いえ、状況説明をお願い致します。この子らには聞けないので。あと、会社では内密にお願いします。」
空気の読める山本さんはそれだけで納得したようだ。
「わかりました。若を呼んできます。」
取り敢えずお茶を用意しなければ。気付けば背中にはマリアが張り付いている。
《あるじー、ごめんねー。》
軽っ
「クウウウゥンー」
クロは狼じゃなくなってきたね。最初はあんなに凛々しかったんだけど、雪子に絞られたからな。
「おい、邪魔するぞ。」
「はい。どうぞ。雪子、案内して。」
《了解しました。主。》
「雪子がリビングに案内するんで待っててください。」
「わかった。」
社長いつになく素直ですね。あんなに最初は警戒心があったのに。山本さんが後ろで感動してるよ。
「がう。」
「おー、お前昨日ぶりだな。案内頼むぜ。」
「がう。」
こっちよ。と目線で案内する雪子さんは格好良いですー!(涙目)
でも、ちょっと、説明ほしいかなー。
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リビングに集まった町田家族&雇用主とその部下。
「で、説明お願い致します。」
私は机を挟んでそうお願いした。山本さんはクロの毛並みを堪能している。犬好きなのかな。私は、いつの間にか私の懐に移動したマリアをぶら下げて頭を社長にさげた。
「まぁ、あれだな。」
そう切り出して社長は話し始めた。
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話の途中で雪子から念話でちょこちょこ付け加えられ、山本さんにも付け加えられた説明は何とも言えなかった。
どうして、行っちゃったのー!確かに家に来られるのは困ったけど、もう現在家に上げてしまっているし、外でこんな話できないし、雪子の説明も一応いるし。で、私の頭の中はてんわやんやだった。
「そうですか。説明ありがとうございます。それと、ごちそうさまでした。」
すると、山本さんが口を開いた。
「ゆかりさんが、近いうちにここに押しかけるそうですよ。」
なぬ!
「この子たちが気になるとかで。まず、貴方の正体にもですが。」
「あぁ、この黒豹が雪子でこの中で一番の年長です。で、山本さんの触っている子がクロです。で、この私にしがみついているのがマリアです。」
本当はあと二匹いるけど、紹介できるわけがないだろう。キッチンで既に久遠は腕に回収済みだが。権三郎は異世界でグースカ寝ているだろう。
「二匹とも名前逆じゃねぇの?」
「いえ、雪子は雪が好きなので、いいんです。クロはー」
どうしよう。本当は見た目だけど、多分店に行ったときマリアが幻覚魔法で真っ白な毛で目が黒い狼にしたんだろうな。だって、あの現場でクロは大注目だったからな。
「クロは、まぁ、反対にしてみたら面白いだろうなー。って感じです。」
いや、白かったらシロってつけるわ。絶対に。
「そうか。色々聞きたいが、あ、そうだそうだ。」
「ん?何ですか?」
「いや、お前憶えているか?」
「何をですか?」
「じゃあ、これは憶えているか。ガチンコ男たちの拳熱い大会?」
「何どや顔で言っているんですか。ガチンコ熱い男の拳大会ですよ。」
「そうだったか?まぁ、いいや。で、それを開催するために社員旅行に再来週行くことになった。」
「え、なんですかそれ。」
まじで憶えてねぇ。
《主面白そうではないですか?》
《マリアもやるー。》
《いや、あんたらは駄目だよ。二次災害の方が酷いからな。》
《観戦するだけではだめですか?》
《え、ペット可なのかな?》
雪子は私にもたれかかって、きりっとしている言葉とは裏腹に甘えてくる。その雪子は頭を撫でると気持ちいいツボでもないのにゴロゴロ喉を鳴らしている。デカい猫だな。
「すみません。雪子たちも見たいと言っているのですが、国内ですよね?」
「いいのですか?」
山本さんが聞いてきた。そうだな。さっき玄関でバレたくないと明言はしていないが、そんなことを仄めかす様な言ってたもんな。まぁ、絶対ではないからな。
「いいんじゃないですか?もう、昨晩の件でなんかバレていますし。」
社長たちもあんまり聞いてこないのが助かってるし。大体部下が猛獣を飼っていたら普通解雇したがるもんな。
「社長。」
「移動するときはどうするんだ?」
「軽トラでも借りればいいんじゃないですか?」
「そうだな。でも、急に社員旅行にペットを連れてくるとなればな。しかも、デカいし。皆吃驚するだろうなー。」
社長、困ってるみたいな喋り方をしていますが、口元が何故かにやついてるぜ。
「じゃあ、私だけ社員旅行なしですか?」
「いや、こうしよう。」
社長は何か悪だくみをしたガキ大将のような笑みを浮かべた。
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社長の案は大して変わらないように感じた。それが、今日か再来週かの違いだけで。
私が会社に入るとざわめいた。
でしょうね。猛獣を連れているんだからな。
「ま、町田さん。お、おおおおおはようごぜえやす。」
「おはようございます。」
「きょ、きょきょきょきょ今日は遅かったですね。」
「あとで社長からこの子達を紹介するので集まっていてください。」
「そ、そうなんですかい。」
「では。」
「あっ。」
蛮勇な田中さんは私に聞きたそうにしながらも聞かないでくれた。
そう、社長の出した案とは会社をペット連れ可にしたのだ。うちの家は強力な結界を代わりに張ったので侵入を許可したもの以外入れなくした。悪意あるものはもれなくはじき出されるようにしている。
町田椿一行のメンバーは、密かに忍ぶ久遠、マリア、雪子、白いクロ、椿だ。また権三郎を仲間外れにしているが、わざとじゃないぞ。そして、何故雪子はそんなに誇らし気なんだ。クロ私のうしろにいろ。廊下が一気に狭くなるだろうが。マリアは、私の背中か前にしがみついといて。それか、クロを見張っといて。あの子が一番ふらふらしてるから。
そして、町田椿一行は給湯室のとなりの物置に向かった。というか、改名して『町田室』と付けたそうだ。変な名前つけるな。いや、決して町田という名前が変なわけじゃないからな。部屋につける名前じゃないという話だ。
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一行は『町田室』に到着すると、部屋に入っていった。クロはギリだったけどな。
「はぁー。これ、いつか絶対にバレるパターンだ。しかも、フラグみたいなのが既にたってたよね?早くない?」
《主お仕事は?》
「そうだね。仕事しなくちゃ。雪子はワゴン運んでくれる?」
《はい。》
「で、マリアは砂糖とか入れてくれない?スマホに書いてあるから。それを雪子が見て暗記して、雪子が指示して。クロはー、私についてくるだけでいいから。あと、毛が抜けないように調整してね。」
《りょーかいしました。あるじ。》
《はい。行ってきます。》
「行ってらっしゃい。」
『町田室』からでた雪子とマリアはワゴンを運びに行ったようだ。
《そういえば、主。》
《ん?何?》
《このワゴンはどこに運べばいいのですか?》
《ワゴンに〇Fって書いてあるでしょ?》
《あぁ、これは3Fと書いてあります。》
《うん。それは、三階って意味。で、今私たちがいる階が三階でそれをさっき通った部屋に持っていって。》
《お手数をおかけして申し訳ございません。》
《いいよいいよー。》
《では、行ってまいります。》
《行ってらっしゃーい。》
雪子の気配が部屋の扉の前を通っていくのがわかる。無事に行ったようだ。驚くだろうな。
「よし。私も行くか。」
「ガウ。」
「クロー、私たちは二階に行くよ。」
「ガウ。」
私は部屋を出て給湯室に向かい水を入れたやかんをいくつか用意した。
なんか、怒涛の展開




