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会社を出ると山本の運転する車が停まっていた。俺は素早く乗ると山本が状況を説明しだした。
そういやもう薄暗いな。向こうにつけば完全に夜だな。
「今現在現場には三班と二班が到着しています。一斑は覆面車でこの車の周りを走っています。」
「そうか。」
俺たちは緊張した面持ちで状況を把握していった。
「調査していたやつから報告です。」
「言え。」
あいつか。
「台湾マフィアと繋がっていたようです。椿さんは罠の餌兼取引アイテムってとこらしいですね。ヤクの密売者の元は粗方捕まえました。ただ、一人だけ逃してしまったとか。」
「聖か。」
「そうです。」
ちっ、取引アイテムか。
ハッ!趣味が悪いな。恐らく、おまけの様なもんだろうな。
「着きました。」
車が徐々にスピードを落とし停まる。相変わらずこいつの運転は上手いな。周りにどんどん部下の車が停まっていく。俺の部下達は優秀だからな。誰もかれもが落ち着いている。だが、俺は嫌な予感がした。背中をぬるりとしたものが通り過ぎて落ち着かない。気味が悪い。
「行くぞ。指示通りにしろ。」
俺は全員に小声で指示をした。部下たちは静かに頷き行動に移す。やはり、あの気味の悪い予感が拭えない。
********
倉庫の入り口付近では大門の部下が見張りに立っているがありゃ雑魚だな。俺は暗い中ハンドサインで見張りを倒すように指示を出す。すると、向こう側から二班が出てきた。声を出させずに仕留めると中を覗く。気絶した見張りは部下がどこかに連れて行った。
夜でも俺の部下は優秀だな。
中は映画に出て来そうな雰囲気の倉庫で相変わらずベタなことをするやつだなと思った。だから、行動が解りやすすぎて筒抜けなのにな。
ん?あぁ、どうやらお客さんはとっくに来ていたようだ。大門もな。役者はとっくに揃ってるってか?
「~~。」
「~~~~~~~~」
遠くて何を言っているのかわからんな。というか、椿はどこだ?取引アイテムのおまけだと思っていたんだがな。
「~~~~~~~~~~~~~」
「~~~~。」
ん?台湾マフィアの方がなんか叫んでるな。揉めてんのか?なんだ?大門の様子が……
修が訝しんでいると大門とその部下たち全員が崩れ落ちた。台湾マフィアはこの状況に混乱しているようだ。
「~~~~~!」
「~!」
何か大声で指示を出しているな。逃がすかよ。日本で好き勝手やりやがって。とっちめてやる。それにしても、大門達は何を誰に?されたん、だ?
すると、毛穴がぶわっと開き俺は一気に血の気が引いた。俺の部下たちは膝から崩れ落ちたり気絶しているやつもいるな。
修はどこからか溢れ出てきた威圧を受け堪えるのに必死だ。なんとか動ける眼球だけを動かしてあたりを見渡す。
どこだ!何者だ!
ふっと威圧が一瞬のうちに消えた。
そう思えた。
ドゴーーーーーーン!!!!!
倉庫の屋根から黒い巨大な何かが落ちてきた。いや、着地した。
俺は本能からくる怯えと恐怖に抗えなかった。何だあの、化け物は。黒い、……狼?
「ガルルルルルルゥ」
喉を鳴らして台湾マフィアを威圧している。絶妙なプレッシャーに台湾マフィアのやつらも俺らも気絶できない。意地のワリィやつだな、おい。
すると、追加で何かが開いた穴から降りてきた。
それは、場違いに神秘的な金色の髪の毛のワンピースを着た少女だった。物騒な妖しげな光を放つ日本刀を持っていなければ。黒い大狼は「ガルルゥ」と先ほどより明らかに高く喉を鳴らして少女に頭を擦り付けた。どうやら、あの黒狼は少女が飼い主のようだ。
「~~~~。」
声は聞こえないが聞いたことのある声だったが、何故か印象に残らない。台湾マフィア共と何かを話すと少女は黒狼の背中に乗ってあの穴から出て行ってしまった。すると、倉庫の穴がみるみる元に戻っていった。
俺たちは総じて思った。
一体あれは何だったのか。と。
夢見心地な気分はガコンという音とともに消えていった。
「社長!」
椿だ。椿はどうやらこちらから見ると死角の場所で倒れていたようだ。
「椿!」
「どうしたんですか?」
「どうしたんじゃないだろう!」
「え、何かあったんですか?あれ?ここどこですか?あ、人が倒れていますよ?救急車は呼ばなくてもいいんですか?」
「お前、いつ目覚めた?」
「え、さっきですが?」
「縄とかは?お前、絶対縛られていただろう?」
椿は一瞬で何言ってんだこいつみたいな顔をする。
「あぁ、そんなの関節を外せば一発に決まっているじゃないですか。護身術を習っているって言ったじゃないですか。」
「そ、そうか?取り敢えずお前は家に帰れ。あそこに倒れている奴らは気にするな。というか、忘れろ。」
「はぁ。」
部下たちは無事なものから既に行動を始めている。台湾マフィアの奴らと大門の奴らも拘束している最中だ。山本は椿を送ろうとするが
「あ、カバンが!あれにはスマホが入っているんです。それと今晩の晩御飯のお金が。」
椿が申し訳なさそうに言う。眉尻を下げてこちらを見上げる椿は無意識なのだろうがなかなかにあざとい。普段は地味なくせにな。何故か山本も珍しくたじろいている。
「わかりました。取り敢えずゆかりに行きましょう。あそこで待機をしていましょう。社長があとで持ってきてくれますよ。」
「え、でも。」
「行きましょう。ついでに晩御飯も食べましょう。一応居酒屋ですからね。」
「え、居酒屋?でも、この間は焼き肉屋って。」
「だー!さっさと行け!」
つい口を出してしまった。あいつは何でこんなところで強情なんだ!
「焼き肉屋兼居酒屋でいいじゃないですか。」
「そうですね。美味しければそれでいいですよね。」
「はい。行きましょう。」
山本。あいつ面倒でもうごり押ししてるな。
「じゃあ、お先に失礼します。」
「おう。またあとでな。」
椿は綺麗な洗礼されたお辞儀をこちらにすると山本に連れていかれた。
「はぁ~。」
俺はまだ目覚めていない大門と自分の部下を起こしに行った。
「今日は何の日だったかな?」
俺はあの非現実的な出来事を受け止めきれない。いや、認めれないというか、夢だったんじゃないかっていまだに思う。もしかしたらあのぬるりとした嫌な予感はこれだったのかもな。俺らに被害はないし、寧ろメリットだらけで………
何だ?やっぱり違和感が拭えないな。あの黒狼はなんだったのか。地球上にあんな生物がいるわけがない。まだニホンオオカミが生きていたというほうが現実味がある。それにあの少女。白すぎる陶器のような肌に神秘的なストレートの金色の髪の毛。中世の仮面舞踏会で使われるようなシンプルな仮面をつけていた。その仮面の隙間から見えた妖し気に光った金色の瞳。後ろで控える黒狼の瞳と同じだ。人間の瞳ではなかった。見惚れていたといえばいいのか?それに、あの黒狼以上の化け物にみえる。それに、
目が合ったような気がしたのは気のせいか?
いやいや、何を細かく評価しているんだ。俺はヨーロッパの詩人なんかじゃねぇ。それにしてはやけにロマンチストな表現の仕方だけどな。
「はぁ~、俺は何度溜息をつけばいいんだ?今度お祓いか何かすればいいのか?取り敢えず実家の神棚に毎日拝んどこ。あんなのに縁があるとか、俺はいつ死んでも可笑しくねぇな。ははは。」
取り敢えず、椿と一緒に飯食うか。
俺は暗い中に浮かぶ欠けた月を見上げてそう思った。
杜撰な表現が多いかもです。




