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結局修って呼ばせられなかったな。有耶無耶にされてしまったが、断らないってことは案外脈ありってか?
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ピンポーン
来たか。
「行ってきます。そうだ。番犬としてクロを呼んどこうかな。で、遊び相手に黒狼に擬態させた久遠も呼んどこうか。サモン」
その場に青い魔方陣が現れごちゃごちゃ古代文字が書かれた魔方陣から大きな黒狼のクロとスライムの久遠がでてきた。
「家の番をお願いね。ご飯はアイテムボックスから勝手にとって食べていいよ。紅茶も入れとくから。あと、クロは子犬に久遠もクロの子犬に擬態して。じゃあ、行ってきます。」
「キャン!」
「キャン!」
縮んだクロと擬態した久遠に見送られて家を出る。あの触り心地はたまらん。黒狼の子供ってめっちゃ可愛いんだよな~。
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ガラガラ カシャン カチャリ
あまり意味のない鍵を閉めた私は家のインターホンの前に立つ右目に黒い渋い眼帯をした社長と同い年ぐらいのクールなイケメンを発見した。髪の毛は黒髪短髪褐色の肌で異世界では違和感はないが日本では珍しがられるような感じだ。まぁ、想像していたよりもなんか執事って感じがするな。側近じゃなくてな。格好も執事よりだし。キャラやばくね?この会社。ん?側近?も、もしや!
「あの、」
「おはようございます。」
「あ、おはようございます。あの、山本さんですか?」
「はい。山本と申します。」
山本だと?家の中の久遠が少し敵視している。というよりライバルってとこか?格好良いな。だが、それは見た目だけだ。中身が伴わなければ意味がない!久遠!負けるな!
「何か?」
「いえ、行きましょう。」
「こちらへ。」
山本はスマートにベンツのドアを開けてくれた。車じゃなくてベンツって敢えて言うよ。高い車だからな。久遠もできるんだからな!嘗めるなよ!
こうして私は自分で自覚していながら心の中で一人相撲をしていた。
「遅い。」
「いえいえ、すぐに出ました。」
社長がそう言ってくるが私は否定する。だって、事実だからな。
「で、毎日何時ごろに来るおつもりですか?」
「そうだな、8時ぐらいでいいだろう。」
その基準何?オサム基準ですか?わけわからんなその基準は。あぁ、もう自分でも何言ってんのかわかんなくなってきたじゃねぇか。お前、人の頭をバグらせる電波か何か出してんじゃねぇの?まぁ、戦闘だったら誰より冷静に速く戦える自信はあるけどな。出ないと死ぬからな。
「わかりました。」
「…」
「…」
「…」
そこからはやっぱり無言で会社まで誰も喋らなかった。てか、社長さ後部座席におったのビビったぜ。
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私たちは車を降りた後会社に入って何故か給湯室に一緒に向かっている。そして、私は頭の中で暇つぶしの解析を行っていた。
山本さんは無口キャラか。うちはクールキャラでも溺愛キャラだけどね。山本さんは多分わかりにくい愛情表現をやりそうだな。久遠は顔は無表情だけど、行動で示す派だからな。結局格好良いんだよ。
「椿。」
「何ですか?」
ちっ、こっちは解析をしてるってのに。
「お前やたらと山本を気にしているようだが、好きなのか?」
「いえ、家族に山本がいたので。」
「いた?ってことはもう居なくなったのか?彼氏か?」
「違います。彼氏ならばきちんと彼氏と明言しています。うちのは家族です。それと過去形なのは名前を改名したからです。」
「何という名前なんだ?」
「久遠です。」
「男か?」
「いえ、女と男の中間です。」
「…」
あ、これだと久遠がオカマかオナベになるな。誤解を生んだな、こりゃ。まぁ、久遠は興味のないことはとことん無視するからな。別にいいか。
「まぁ、その、なんだ?人の趣味にとやかく言うつもりはないからな。すまんな。」
「いえ、大丈夫です。家族がいればうちは大丈夫なので。」
「家族ということはほかにもいるのか?」
「まぁ、私と久遠を除けば4匹います。」
「何だと?」
「さて、話はここまでにしてください。社長お仕事頑張って下さい。では。」
「おい!」
後ろでぎゃーすか言っているのを無視して私は給湯室に入る。今度物置に色々設置してもらおうかな。給湯室に窓はないから、暗いし、電気代もかかるからな。後でどっかから椅子を持ってこよ。
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給湯室に入るとカバーのついたむき出しのスマホと説明書が置いてあった。説明書は山本さんがこのスマホの用途と使い方をわかりやすく解説されたものとスマホについている本来の説明書の2つだ。
「なんと、山本さんはすごい人が多いのかな?」
全国の山本さんはこの考えが傍迷惑だろう。
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早速スマホを見るとLIMEにメッセージが入っていた。社員さんの代表の方が一気に送ってくれている。今から行けばいいのか。コーヒーは結構かかりそうだな。食器棚にはワンフロアずつ分けてくれて、皆無地の白い陶器のマグカップに自分の名前が入っているやつでとてもわかりやすくて助かるが何だこれは?そして、結構甘党が多いな。っていうか、コーヒーメーカーが数が増えてるし、しかもワンフロアずつに3つずつ設置しろとな。………今日は大変そうだな。
お、紅茶の人も何人かいるな。
行くか。
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「入りまーす。」
「町田さん!」
「おはようございます。」
「おはようごぜえやす!」
「皆さん仕事中なのでお静かに。張り紙をしましょうか?」
「いえ、すいやせん。」
「では、席で待っていてください。」
「押忍。」
田中さんは今日も立派な犬ころおっさんを発動させて挨拶をかましてきた。私はワゴンをダブルで引いてきた。暑苦しいんだよその顔。まぁ、嬉しいけどな。好かれているのは。思わず笑ってしまったのは許してほしい。
「ま、町田さん。」
おっさんが顔を真っ赤にしてるのは誰得だ?私は得してない。
「何ですか?」
「い、いえ、何でもないです。」
「そうですか。」
私は田中さんを無視して(無視できていない)コーヒーメーカーを設置する。袖から久遠の分身を忍ばせてコンセント付近の埃を絡めとってもらう。そして、全て設置し終わると人数分のコーヒーの粉を入れて電源を入れる。待っている間に私は砂糖とミルクの粉と牛乳を注文通り入れていく。異世界スペックのおかげで記憶力が半端ないんだよな。今は便利程度にしか思っていないけど。
すると、一人机から立ってこっちにきた。
「自分で入れますか?」
「へい、やります。」
「どうぞ。」
私はその人、錦戸さんのマグカップを出して他の分を入れていく。近くからコーヒーの香りが漂ってくる。私は電気ポットで沸かしておいたお湯で紅茶を淹れていく。茶葉のダンシングを見て楽しんでいると結構な視線がこっちを向いている。どうしたんだろうか?まぁ、どうでもいいや。私は蒸らした紅茶をいる人のマグカップに注いでお盆に乗せていく。ミルクと砂糖も乗せて持っていく。まだこっちに視線が来るがまじでなんだよ。私はそのまま注文通りにマグカップを置いていき注文通りの好みのミルクと砂糖を入れていく。
「どうぞ。そうだ、朝ご飯は召し上がりましたか?」
「い、いや。」
「朝ご飯は食べないんですか?」
「ま、まぁ。」
「そうですか。」
私はポケットから家に置いてある市販のクッキーが2枚入りの袋を取り出した。
「一緒に食べると美味しいですよ?紅茶は楽しむものですから。」
「じゃ、じゃあ。ください。」
社員さんは私の手からクッキーの袋を両手で受け取り早速開けて食べていた。そして、紅茶を配り終えたころには紅茶を飲んでいる人だけクッキーの袋を持っていた。
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社員の心の中
(俺も欲しかったな)(姐さん…)(俺今度から紅茶にしようかな)(俺も)
(((((俺も)))))
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全フロアで用事を終え、最後の場所。社長室に向かっていた。
そういえば紅茶が欲しいって言ってたな。メモを渡したときはコーヒーつってたのにな。あの冷蔵庫の中のサンドイッチってやっぱり社長のなのか。美味そうだな。にしては量が多いけど。まぁ、いいか。向こうに電気ポットがあるってマニュアルにも書いてあったし、それと茶葉とゴミ入れとティーカップセットをワゴンに乗せていこう。と、私は考えた。
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大正解だったらしいけどな。
「美味いな。」
「ありがとうございます。」
「誰に教えてもらったんだ?」
「現役のプロの方です。」
まさか召喚された隣国の王城のメイド長に潜入の為に指導されたなんて言えねぇ。
「現役?まぁ、どうでもいい。」
だろうな。それでいい。
「おい。」
「はい。」
人を呼ぶ態度じゃねぇな。
「ここに座れ。」
私は社長の正面のソファに座った。
「質問を一つしてもいいですか?」
「何だ?」
「社長はマグカップを持っているのにどうしてティーカップを持って来いと指示されたのでしょうか?」
「それは、」
何だこいつ。さっさと吐けよ。こちとらせっかちな性分なんだよ。
「お前も飲むからだ。今後もこうするからな。」
「どうしてですか?」
「休憩時間だ。」
「そうですか。わかりました。」
「おう。」
社長はサンドイッチをバクバク食べながら返事をした。
こいつ、ツンデレか!
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ブーブー
バイブレーションで自己主張を始めた仕事用のスマホを取り出す。
「でても?」
「出ろ。」
「失礼します。」
私は立とうとしたが、社長が目線で射殺すように止めてきたので座ったまま電話に出た。
「はい。」
『もしもし、町田さんスか?』
「そうですが、この電話には私か出ませんよ。」
『いえいえ、本当かどうかわからないので一応確認をしたわけですよ。』
「そうですか。で、ご用件は?」
『3階の男子便所に来てくれませんかね?ちょっと、困ったことがありまして。』
「原因はわかりませんか?」
『俺らにはちょっと…。』
「わかりました。すぐに向かいます。」
ピ
私は通話を切る。「おかわりは?」「いる。」「渋くなったのでミルクか砂糖を入れてみてください。」という会話をして、ワゴンを押しながら5階の社長室から3階の男子トイレに向かった。




