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これで真面目な人という印象をつけられたかな。
私は印象を大事にするということを異世界で学んできた。もう暴力に頼らない。でないと周りの人が私とお友達になってくれないから。悲しい現実だったよ。人ごみの中に突入するとモーゼの様に道ができるからね。無表情を貫いていたけど結構ショックだよ。会えば「ひぃ!」「きゃー!」とか警備隊がめっちゃ出張ってくるからね。仕事増やしてごめんね。でも、警備隊も「ひぃ!」だったけどな。
そんな椿は早速目立って逆に怪しまれているのを全く知らない。知らないって幸せだね。
椿は家でダラダラしながらそういえばサモンできたなーと呑気に考えていた。
「今度クロも呼ぼっかな。」
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「おはようございます。」
「「「「「「押忍、おはようございます!」」」」」」
朝から暑苦しい挨拶が返ってくる。田中さんおっさんにキラキラは似合わないよ。今度から蒼汰さんって呼んでみようかな?え、勿論揶揄う為にでしょ?
「おはようございます!町田さん!」
「おはようございます。」
「そうだ、今日若から集会するらしいんでここで待機です。」
「そうですか。わかりました。荷物は?」
「あぁ、持ってても構わないとのことで。」
「そうですか。置き場所がないと困りますよね。掃除しましょうか?」
「そうですね。俺の机を片付けて置きやす!」
「ありがとうございます。」
「町田さん、俺に敬語を使わねぇでくだせぇ。」
「いいえ、これでいいんです。」
「わかりやした。」
社長が来たようだ。一気に静まったからな。
「おはようございます。」
「おはよう。」
朝から爽やかスマイルを出してくる社長が眩しい。ん?ちょっと体力消費してるな。ジョギングかなんかしてきたか?まぁ、私もしてきたけど。ジョギングというより全力疾走で富士山を登って来たがな。しかも正規ルートじゃない登り方で。一応光魔法で誰からも見えないようにしてきたから大丈夫。
「注目。今日はいくつかのお願いと命令を言いに来たよ。で、物を丁寧に扱うように。トイレとかね。あと、吸い殻を社内で捨てないように。社内で吸わない。吸いたければ屋上で吸ってください。あと、各自町田さんの紅茶かコーヒーが飲みたかったらコップを持ってくること。一応麦茶とか普通にあるからね。これらをお願い。命令は女を連れてこないように。社員とお客さん以外の女の人を連れてきたら罰を与えるからね。気を付けてね。以上です。さぁ、解散だよ。今日もお仕事頑張ってね。じゃあね。」
社長は手をひらひらしながら退室した。
女の話で反応した奴が数名いた。次やったらチクりな。やらなさそうだけどな。雰囲気的に。社長に会釈をして送り出す。多分あの社長は猫を被っていて、本性は違うってか。まぁ、当たり前だな。多分この場には私がいるからだろう。それを社員は重々承知しているし、社員の前でお客さんが来たときはあんな感じなんだろうな。
「町田さん。」
「何ですか?」
「お仕事頑張ってくだせぇ。」
「はい。頑張ってきます。」
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おっさんに頑張ってって誰得?おっさんが好きな人には得だろうけど、ここにはいないしあの人はあんまり格好良くない。うん。山本さんの方が格好良い。
私は給湯室に行くと紙が置いてあった。何だろうと思い見ると社長室に来いだとよ。何でさっき言わなかったんだ?
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コンコン
「町田です。」
「入れ。」
「失礼します。」
急に素になったけど大丈夫なのか?え、私って警戒対象じゃねぇの?無防備過ぎね?
「どうした?」
「いえ、このメモが置いてあったので。」
「あぁ、そうだな。山本に置いてもらったな。」
「え!」
「どうした?」
「山本さんって」
「俺の側近だ。」
「そうですか。」
「山本がどうした。」
「いえ、何でもないです。」
どうしよう。近くに山本がいたらうちの山本さんと対抗しなくちゃいけなくなる。あとで山本さんに聞いてみないとな。うちの山本の方が格好良いけどな。相手にならんが、名前変えよっかな。
「気になるが、そういえば俺の喋りについては何も言わないのか?驚いてもいなかったが、知っていたのか?」
「いえ、猫を被っていたのは知っています。喋りを変えていたのも。ですが、実際に喋っているところを今回初めて聞きました。」
「どうしてわかったかも聞きたいが、聞いても多分勘とかだろうな。」
「で、今回は何の用ですか?」
「あぁ、そこのワゴンに必要なものを全部用意しておいた。もってけ。」
「ありがとうございます。今度コーヒーの淹れ方を学んでおきますね。」
「あ、あぁ。」
「失礼します。」
頼んだものが来たのは嬉しいが、嬉しくて笑ったのがそんなに駄目だったのか?なんだあの狼狽え様は。私の笑顔が不細工だったのか!怪獣かよ、私は。
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山本さん(仮)を召喚してお喋りティータイム。
「山本さん。社長の側近の人が山本さんって言うんだって。」
「ぴぃ!」
山本さんは「何!」って格好良く反応した。私は茶葉をポットに入れてダンシングを楽しんでみている。
「どうする?名前変える?」
「ぴ。」
変えるらしい。何にしようか。私は考えながら紅茶を蒸らし、紅茶を最高の時間に淹れる。うん。いい匂いだ。私は家から山本さん(仮)のコップも持ってきてある。二つのコップに私は紅茶を淹れた。山本さんに出すと山本さんはちゃんと飲んでくれる。茶葉も食べてくれて助かる。
「どうしよう。男の子の名前か、女の子の名前か。どっちにする?」
「ぴぃ~。」
「男の子?」
「ぴ!」
「え、男の子でいいの?」
「ぴ!」
「わかった。ちょっと待っててね。」
渋いのもいいけど、爽やかイケメン系だから、爽やかな名前にしないとな。翔太、蒼汰あかん。そ、から始まったらあかんな。久遠かな。なんかそんなイメージがあるわ。被らないように祈っとこ。
「久遠ね。久遠。」
「ぴぃ!」
「格好良いな。うん。久遠が格好良い。」
「ぴ。」
「美味しい?紅茶。」
「ぴぃ!」
「よかった。あ、久遠戻って人来る。」
「ぴ。」
こっちにくる生体反応があったからな。誰だ?これは不便だな。魔力ならわかるんだけど。紅茶をコップにまた注ぎ飲んで待つ。すると、社長が来た。何で社長なんだ?そう心の中で訝しみながら対応する。
「どうしたんですか?」
「いや、コーヒーを淹れてもらおうとな。」
「わかりました。」
私は開けたばかりの新品のコーヒーメーカーに粉を入れ電源を入れる。
「んー、こっちにいちいち来るのが面倒だな。携帯で呼び出すか。おい。」
「はい。あと、町田です。おいではありません。」
「じゃあ、椿。携帯番号を教えろ。」
「それは業務命令ですか?」
「あぁ、あとこれコップな。」
私はコップを受け取った。はいいが、携帯なー。
「すみません。携帯を持っていないので無理です。明日契約しに行きます。」
「は?本当か?断る口実で嘘を言っているんじゃないだろうな?今月の給料をかけられるか?」
「はい、かけられます。本当に持っていません。」
これが、本当なんだよな。異世界から帰ってきたばっかで家電しかないんだよな。気付くのが遅すぎたって感じだがな。
「わかった。じゃあ、今日俺名義で契約しに行こう。」
「は?」
「今日の仕事が終わったら社長室に来い。業務命令だからな。」
「え。」
「業務命令だ。」
「……はい。」
コーヒーができたのでコップに注ぐ。
「コーヒー飲みたい奴聞いてきたから。来い。紙コップも持っていくぞ。ワゴンに乗せてこい。」
「は、はい!」
つい焦ったが、どうなんだ?自分の会社の社長名義のプライベート兼仕事用の携帯って。
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「失礼します。」
社長が無言で入ったあのフロアでは厳つい社員が数名立っていた。追加で準備してよかった。
「全員コーヒーですか?」
「「「「押忍」」」」
てか何で社長さっさと行かねぇの?仕事は?そんな思いを抱きながらコーヒーを淹れていく。
「どうぞ。砂糖とミルクいる人は?」
私の質問に答えた人の分だけ入れていく。一人殆どミルクで甘々なコーヒーとは言えないようなのを持って行ったけど人の好みはとやかく言わない主義だから大丈夫だ。
「紅茶もありますんで、言ってくださいね。メモか何かに書いてくれると助かります。失礼しました。」
社長も何故か一緒に退室する。
「お仕事は?」
「やっている。」
「そうですか。」
何だろうか?私の監視?いや、私の仕事ぶりを見るとかか?ま、いいか。




