32話 試練
はじめまして、大森林聡史です。
魔物に追われる王女と、彼女を守ると決めた剣士の物語です。
よければお付き合いください。
試練を受けるのは、アリスとクリスで、その間、ミネルバとグレイは物理の連携攻撃の特訓を始めた。
魔法陣が二つに分かれ、アリスとクリスがそれぞれ別の空間へ吸い込まれていく。
「アリス! 気をつけてね……!」
「姫様も……無理しないでください……!」
ミネルバがルナ・スピアを構え、グレイに向き直る。
「さあ……私達もやるぞ。姫様とアリスに負けられない」
グレイがドラゴンバスターを回転させ、鋭い眼光を向ける。
「ああ。師匠に教わった『双竜撃』……二人でならば出来る⋯!」
二人の武器が火花を散らし、特訓が始まる。
一方、魔法空間でクリスが聖なる炎を放ち、更に青白く輝く炎へと変化する。
「これが……『セイント・フレア』の真の力……!」
アリスが、汗だくになり魔力を高め、全身が白い魔力のオーラに包まれ、頭上に杖を振り上げ、空の彼方に魔力を放出した。
空に無数の輝く星が現れ、徐々に大きくなり、流星となって降り注ぐ。
「『スターダスト・ミーティア』……降臨せよ……!」
四つの場所で、運命の鍛錬が同時進行する。
アリスとクリスの試練は続き、ミネルバとグレイは、突きの連携攻撃、双竜撃を訓練している。
練習場でミネルバとグレイが息を合わせ、槍と剣が螺旋状に絡み合う。
「……行くぞ……!」
「『双竜撃』……!」
轟音と共に標的の岩が粉々に砕け散る。
「……ふう……これで……技は完成だ」
ミネルバが汗を拭いながら、不満そうに呟く。
「威力は抜群だが……直線攻撃過ぎる……隙も大きいな……」
「そうだな⋯使い所を考えなければな⋯」
グレイとミネルバが、頭を抱えていると、魔法空間から眩い光が漏れ始める。
「……っ! 二人の魔力が……!」
グレイが急いで駆け寄り、光の中を覗き込む。
「クリス……アリス……大丈夫か……!?」
光が収まり、二人の姿が浮かび上がる──その目は新たな決意に輝いていた。
眩い光の中から、クリスが真っ先に歩み出る。
「……大丈夫よ。むしろ……最高の調子」
彼女の手から、今までより純度の高い聖なる炎がゆらめく。
続いてアリスがよろめきながらも笑顔を見せる。
「はぁ……はぁ……でも……『スターダスト・ミーティア』……成功しました……!」
ミネルバが驚いたように妹の肩を抱く。
「アリス……無理しないでね……?」
アリスが姉に微笑んだ。
グレイがクリスの新たな炎を見つめ、深く頷く。
「……これで……龍神の鎧への道も……」
エルガメラが突然四人の背後から声をかける。
「では、そなた達の力試させてもらおうか⋯召喚魔法⋯エルブレス!」
エルガメラが、口から大量の煙を吐き出し、煙が黒く渦巻き、中から実態が無い邪悪なヘルゴーストと、無数のミニソルジャーが召喚された。
大賢者エルブレスとは、実は召喚魔法の名前で、目の前のエルガメラこそが大賢者であった。
「さぁ、この魔物達を見事退けてみよ! 今までのお前達では倒せまいが、アリスとクリスの修行が上手く行っておればあるいは⋯」
早速、訓練の成果を試される時が来た。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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