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31話 大賢者エルブレス

はじめまして、大森林聡史です。

魔物に追われる王女と、彼女を守ると決めた剣士の物語です。

よければお付き合いください。

 中央の塔の扉の前に立った。

 扉は、魔法のカラクリでできていて、グレイとミネルバは、ちんぷんかんぷんだが、クリスとアリスは扉のカラクリを見つめる。

 魔法の紋章が刻まれた巨大な扉の前で、クリスが真剣な表情で紋章を観察する。


「これは……古代ルナ語の暗号ね。『心清き者だけが通ることを許される』って書いてあるわ」


 アリスが杖を握りしめ、興奮した様子で近づく。


「わあっ! 私、この解読法ならお師匠様から教わったことが……!」


 ミネルバとグレイがきょとんとした顔で二人を見つめている。


「……で? どうやって開けるんだ?」


 クリスがアリスと目を合わせ、小さく頷く。


「私たちの魔法の力で……試してみるわ」


 アリスの解錠の魔法であるアンロックに、クリスが聖なる魔法を重ね合わせる事にし、アリスの杖から紺色の魔法陣が広がり、クリスの手からは純白の光が渦巻く。


「『アンロック』……!」

「『セイント・ブレッシング』……!」


 二つの魔法が融合し、扉の紋章が金色に輝き始める。

 グレイとミネルバが、思わず目を細めた。


「……開く……!」


 重厚な扉がゆっくりと開き、冷たい空気が流れ出る。


「中は……誰もいないみたい……」


 アリスが不安げに、クリスの袖を掴み、四人は一斉に息を飲む。


「……いや……待て……」


 部屋の奥から、ゆっくりと影が立ち上がる。


「ようこそ……ルナの王女よ……」


 奥にぶっ恰好な亀がいる。


「あなたが、大賢者エルブレス様ですか?」


 クリスが尋ねると、亀は首を横に振った。


「エルブレス様は、お出かけ中じゃ。ワシは弟子のエルガメラ」


 亀はぶっ恰好だが⋯グレイは只者ではない気配を感じ取った。

 亀の甲羅に刻まれた古びた魔法紋章が微かに光るのを見て、グレイが身構える。


「……その紋章……伝説の『亀仙法』か……」


 エルガメラがゆっくりと目を開き、深い声で話し始める。


「ふむ……よく知っておる。剣聖ヨーバの弟子ならではの眼力じゃ」


 クリスが驚いた表情でグレイを見つめ、アリスが小さく息を飲む。


「えっ……? グレイ……この方は……?」


 エルガメラが前足で床を叩くと、突然部屋が魔法陣に包まれる。


「では……試練を始めようかのう」

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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