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ダンジョン配信者スレイヤー、配信妨害していたらダンジョン攻略ギルドで最上級攻略者に推薦されてしまう……  作者: ナナシリア


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第5話 天晴

 "神威"を使っては勝てない。

 目の前の相手には完全に読まれて、打撃を与える前に斬られることは想像に易い。


 何度目かわからない踏み込み。さほど魔力を込めずともよい。


「また、それか」


 体勢を低くして詰める。今度はぎりぎりまで攻撃は出さない。相手が剣を振るまで。


 目の前の相手は、隙を見せないためになかなか剣を振らない。


 彼は、懐に俺を招き入れた状態で逆手に持ち換え、鉛直下向きに必中の刺し攻撃を試みた。


 回避不可能。ならば速度で上回る。


 コンマ数秒の差。


 先に相手に到達したのは――。


 タックル。反動で一気にバックステップを踏む。


「刺される直前じゃねえか」


「タックルか……良い」


 彼はにやりと笑って手のひらをおもむろにこちらに向ける。


 高速の炎が、迫る。


 退路はない。


「魔拳流"独坐敬亭山ヒトリケイテイザンニザス"」


 咄嗟に、今後数分の魔力不使用の制約を結び、全身の魔力を濃く纏う。


 飛躍的に上昇した固有能力耐性によって、彼の炎は毛先と皮膚の表面をわずかに焦がして消える。


「何をした? 火傷が浅すぎる……」


「そりゃあもう、魔拳流最強の技よ」


 これは冗談であり、冗談ではない。


 即死級の攻撃でも、固有能力によるものであれば一発は無理やり耐えることが可能。それは特定の相手への刺さりが凄まじいものだった。


 だが欠点がある。"神威カムイ"は決め技のため、「今後数分の魔力不使用」が実際の悪影響となることは多くない。それに対して、"独坐敬亭山ヒトリケイテイザンニザス"は先がつながらないと意味がない。


「局所的に纏っていた魔力が消えたようだ。魔力不使用を条件に発動したといったところか」


「魔力検知もお手の物かよ……」


 能動的なリスクを背負うことなく、手の内がバレていく。


 それが意味するのは、手の内を明かしたことによる強化が不可能になったということ。


「早めに勝負を決めるのがいいか。手は抜かないぞ」


 一歩目――速い!


 横薙ぎ払いの斬撃を、咄嗟に土下座回避。


 防御のためには、後方にある剣を回収したい。鉛直下向きの突き刺しは、後転で回避。もう一撃を、城本〇リニック回避。


 あと少し、手を伸ばしたら剣に届くが――手首を狙っていることを確認して引っ込める。剣を先に拾われるとまずい。


 空いた足で相手の足を蹴り、数秒の怯みを見逃さずに剣を回収。これで、剣撃を剣で受けることができる。回避に頼らずともよくなった。


「ははっ、惨めだ。だが、やるな」


 一撃――防いだと思ったら二撃目。横にステップを踏んでかわすが、わずかに刃が掠る。


「この戦い初の出血かな」


「俺は無傷だぞ」


 お互い正面に向き直る。


 俺の右側には壁。右回避はもう使えない。


 耐えろ、耐えろ――!


「そろそろ、魔力が戻るか?」


 にやりと笑みを浮かべる、目の前の男。


「ああ」


 返事は一言で十分。


 戦いの火蓋を切った初撃と同じように、剣を後ろに構えて踏み込み。


 彼の目前一メートルで、投擲。


「なっ……!」


 自身の剣で何とかそれを弾くが――。


「隙だ」


 右拳の初撃がヒット。突き飛ばして距離をとる。間髪入れず、二発目は相手の腕に。剣は吹き飛ばされる。


 彼の体躯は少しずつ後ろに吹き飛ばされ、衝撃で行動が著しく弱体化。防ごうとする前に次の打撃が彼を襲う。


 俺はずっと距離を詰めながら打撃。最終的に彼は壁を背にして殴られ続けるサンドバッグに。


「魔拳流奥義"八百万神やおよろずのかみ"。俺のことを舐めて、初撃を許したのが敗因だ。……お前、名前は?」


「言わない」


「……やっぱりお前が、最強だ」


 普段なら直接命を奪うことはない。


 しかし、今回は例外だ。彼の実力は未知数で、もっと手数が多い可能性もあるし、そもそも今回勝てたのも偶然だ。


 復讐の可能性も考慮すると、彼を生かしておくのは怖すぎる。


 迅速に配信を切り、先ほど床に捨てた剣で首と心臓を確実に潰す。


「……ふう」


 危ない危ない危ない危ない。死ぬところだった。


 "独坐敬亭山"が遅れていたら。あの剣が刺されていたら。どちらのパターンにしろ、俺の勝ちはなかっただろう。


 そして、危ないのはもう一つ。配信に暴力描写がめちゃくちゃ載ってしまったこと。


 BANのリスクが、飛躍的に上昇する。


 配信に関してはリスクを背負ったところで効果が上がったりはしないので、リスクは本当にただのリスクである。


「コメ欄見るか……」


 本来ダンジョンは危険の巣窟であるが、さっき殺した彼が強火で炙ってくれたおかげで敵がほとんど見当たらない。魔力も感じられないのでほとんど安全だ。


【めちゃくちゃ接戦で笑う】

【ガチで惜しかった、死んでくれると思ったのに】

【危なかったからか今回はお得意の説教なかったな】

【そら説教なんてしてたら負けるからな】

【ぎりぎりの戦いなのにカメラ無事なのやらせか?】

【暴力的すぎるからBAN確】


 やらせじゃない。信じてほしい。こっちは命を懸けてるんだ……。


「なんでこんなにアンチばっかりなんだ……」


「当然のことじゃないですか、自分の言動見直してみてくださいよ……」

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