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人間から嫌われている私は、魔族に愛される魔女だったらしい  作者: シン
第二章~魔族 VS 勇者~

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勇者、奮闘

《ステラ目線》

 紺色の魔族と灰色の魔族は、傷だらけのライアンさんとカイルさんを乱暴に放り投げた。

 二人とも意識を失っているらしく、地面に倒れたままぴくりとも動かない。


 バルドはそれを見て、一瞬体が硬直したように見えた。


(酷い……ライアンさんも、カイルさんも……痛々しい)


 今すぐにでも、痛む体を引きずって治療しに行きたいのに、白い魔族がすぐ近くにいるせいで、身動きが取れない。


 バルドも同じようなもどかしさを感じているのか、怒りに満ちた目を再び魔王へ向けた。


「魔族め――!」


 バルドは思いきり地面を蹴り、魔王へ斬りかかった。

 しかしその剣はやはり結界によって止められ、びくともしない。


 それでもバルドは引かず、剣を握る手に力を込めた。


「魔族など、この世に存在してはいけない!この僕が魔族を滅ぼしてくれる!」


 怒鳴りながら、何度も剣を振り下ろす。

 だが魔王はただ冷たく、暴れるバルドを見下ろしていた。


 だが――


 徐々にバルドの剣が光を帯び始める。


「……これは――」


 魔王が呟いた瞬間、結界にひびが入った。


「はあああああああ!」


 バルドが剣を振り下ろすと、光を帯びた風が吹き荒れ、結界を打ち砕いた。


 魔王は即座に風の刃を放ち、それを相殺する。

 しかし完全には打ち消しきれず、余波が二人を襲った。


「ガハッ!」


 バルドは吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。

 一方の魔王はその場に立ったままだが、袖が裂け、腕から血が流れていた。


 魔王はその血に触れ、静かに呟く。


「……これが、勇者の剣か」


 バルドはすぐ立ち上がり、剣を構え直した。


「魔王!僕はここでお前を倒してみせる!」


 その言葉に、魔王はしばらく沈黙した後――


「……ふふ、ふははははは!」


 笑い出した。


「おもしろい!初めて“いい狩り”ができそうだ!」


 赤い瞳を狂気に光らせ、魔王は黒い剣を魔法で作り出す。


「せいぜい俺を楽しませろ、人間の勇者」


 ――――――――――――


 激しい攻防が続く。


 バルドは素早く攻撃を繰り出すが、魔王はそれを受け止める。

 しかし完全ではなく、何度も服が切り裂かれていく。


 そのたびに、私は息を飲んだ。


 一方、周囲の魔族たちはどこか楽しそうに見ている。


「どうした、勇者の力はこんなものか!」


「うるさい!」


 バルドの呼吸が荒くなる。

 明らかに消耗している。


 だが魔王は一歩も動いていない。


「動きが鈍ってきたな。そろそろ限界ではないか」


「それでも――お前を倒すまでやめない!」


 再び光の刃が放たれる。


 だが今度は完全に相殺され、黒い風がバルドへ襲いかかった。


(ダメ!まともに受けたら死んじゃう――)


 その瞬間――


 カシャン


 バルドの前に何重もの結界が展開された。

 それらは砕けながらも威力を削ぎ、攻撃を防いだ。


(結界!?)


 視線を向けると――


 ライアンさんが、かすかに指を上げていた。


「ライアンさん……!」


 しかし次の瞬間、灰色の魔族に頭を掴まれ、地面に叩きつけられた。


「おいおい、野暮なことすんなよ」


「犬、力を加減しなさい。人間はすぐ死んでしまいますから」


「へいへい」


 そのやり取りを見て、バルドは叫んだ。


「仲間を放せ!」


 光の刃を放つが、紺色の魔族の結界に防がれる。

 だがその結界も砕けた。


(間違いない……バルドは勇者の力を使いこなしてきてる)


 それでも状況は絶望的だった。


 魔王は余裕を崩さず、他の魔族も無傷。


「よそ見とは余裕だな」


 魔王が剣に魔力を込める。


 バルドも応じるように光を強めた。


「ああ、僕はお前を倒し、魔族を滅ぼし……ディアナ様を救い出す!」


 ――その瞬間。


 空気が凍りついた。


「ディアナ……だと?」


 魔王の声が低く落ちる。


「貴様らの目的は……ディアナを連れ戻すことか」


「そうだ!」


 バルドは即答した。


「やはりディアナ様お前たちに捉えられていたのだな。返してもらう!」


 だが魔王は――


「人間が勝手に捨てたくせに……今さら返せだと?」


 剣を消し、手に膨大な魔力を集める。


「ディアナはもう、俺のものだ!誰一人とも奪わせない!」


 空間が歪むほどの魔力。


(死ぬ――)


 誰もがそう感じた。


「魔王様、鎮まりください!」


「おい魔王、落ち着けって!」


「これは……まずいね」


 誰の声も届かない。


「俺からディアナを奪う者は、誰一人逃がさない!」


 魔力が限界まで膨れ上がる。


 ――その時。


 パタン


「テオ様!」


 扉が開いた。


 その瞬間、魔力が霧散する。


 魔王は震える声で呟いた。


「――ディアナ」

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