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ごちゃまぜヒーロー  作者: がっかり亭
ごちゃまぜヒロイン編
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58/59

大幹部

 そこは、煮えたぎる闇だった。

 呪いをコールタールのように煮詰めた、地獄の顕現。


 奥に道は続いているけど、それは坑道というより、何かの消化器官に近い。

 魔神の内臓を私たちは歩いているのだろう。

 マジキュアの加護によってかろうじて先が見えるが、本来は一切の光を拒否するただの暗黒のはず。

 いまこうしている瞬間も、肌から闇が染み込もうとしてくる。


「これは長居できそうにないな……」

「うん。早く片付けましょう」


 道は迷いようがない。

 不快なほうに走って行けばいいだけだ。


 全速力で突き進む。

 すると、大きく開けた場所に辿り着いた。


「まだ中心には早いと思うんだけど……」

「ああ。中ボスのおでましってわけだ」


 闇の大広間の中心にあったのは、真っ赤な二つの点。


 目だ。

 燃え上がる洞(うろ)だ。

 闇の中にあってもひときわ深い闇。


「これ以上先には進ませんよ」


 言葉そのものに不可視の圧力を感じる。


「大幹部リ・ガ……!」

「ジゴクバーン様の完全復活の邪魔はさせん」


 濃厚な闇の中だからこそ、初めて見えた。


 リ・ガの体は、骸骨だ。

 骨格の上に、闇を纏って人のように見せかけていたんだ。

 まさに地獄から這い出してきた死神。

 落ち窪んだ眼窩の奥で、ちろちろと燃える濁った炎が、こちらを睨みつける。


 以前は指一本動かないと思うほど怖いと思った相手。

 でも。


「お前なんか、怖くない!」


 拳を握って真正面に立つ。


「闇の恐ろしさを理解できぬとは愚かな」

「愚かなのは、そんなものに身を任せて「楽」をしちゃう心のことよ!」


 一気に駆け出す。


「マジカル発勁!!」


 太陽の力を全身に巡らせて、丹田でパワーに練り上げる。

 それを人体へ螺旋状に通し、破壊力と成す!


「はあああああああああああああ!!!」


 下から弧を描いて放った右の裏拳はリ・ガの腕に防がれる。

 だけど、返す刀で左の拳を顔面に叩き込む。

 手ごたえあり!


「バーニング無影脚!!」


 続けざまに、ファイヤーの空中連続蹴りがリ・ガの腹に突き刺さる。

 骨格に纏った闇ごと、太陽の炎が焼き尽くす!


「小賢しい!!」


 骸骨の全身から、青い炎が噴き上がる。

 バーナーのような高熱が放射され、熱と衝撃が噴きつけ、その余波だけで吹っ飛ばされる。


「髄まで焼け果てるがいい!」


 リ・ガの両手が、青く燃えたまま膨れ上がる。

 骨の指先は鋭く膨れ上がり、それはまるで10本の死神の鎌。


「ひるむな! 太陽の加護がある限り、あんな炎には負けない!!」

「うん、わかってる!!」


 私たちは、構わずまた距離を詰める。


「散れ!!!」


 うなりを上げて振り下ろされる5つの鎌。

 5条の斬撃をかいくぐると真下から振り上げられる次なる5条。

 それを、私と潮はお互いの蹴りをぶつけて真横に飛んでかわす。


「なにっ!」

「はっ!」


 私たちは左右の空中にマジカルサンフラウアを生み出し、それを蹴って加速。

 がら空きの両側から拳を叩きこむ。


「があっ!!」


 みしみしと音を立てる死神の頭蓋骨。

 が、その奥で金属の衝撃。


「え?」

「馬鹿め」


 零距離で青い炎が炸裂した。


「きゃああああああ!?」

「うおおおおおおっ!?」


 空爆のような破壊の奔流が、私たちを吹き飛ばした。

 あまりの威力にきりもみしながら宙を舞い、闇の天井にぶつかり、そのまま床に叩きつけられて何度も跳ねる。

 そこを圧し潰すように巨大な爪が迫る。

 立ち上がるどころか息を整える間もなく、その爪を掴んで無理やりギロチンの執行を止める。


「ぎぎぎぎ……」


 とんでもない力で爪を押してくる。

 ごうごうとエンジンのような音を立て、秒ごとにその力が強まってくる。

 青い炎の熱もどんどん高まってマジキュアの加護を焼き尽くしていく……!

 このままじゃ耐えられない……!


「やめろぉっ!!」


 ファイヤーがリ・ガの首を羽交い絞めにしてそれを止めようとした。

 それでも力が全く緩まない。


「愚か者どもめが。大幹部たる私に敵うはずもあるまいが!」


 ファイヤーを振り払い、もう一方の手を私に向ける。

 こうなったらイチかバチか……!!


「うああああああああああああああああ!!!! マジカルハイエナジーチャージドパーティクルズ!!」

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