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ごちゃまぜヒーロー  作者: がっかり亭
ごちゃまぜヒロイン編
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59/59

それぞれの事情

 エネルギーを全開!

 高エネルギーマジカル荷電粒子をフル生成!!

 爪を掴んだ掌に収束する!!


「マジカルレールガン!!!」


 その破壊エネルギーを、零距離でぶっ放す!!!

 瞬間、強烈な閃光。

 そして一瞬遅れて、爆音と物凄い衝撃が解き放たれた。


 無色透明の爆風に吹き飛ばされ、私の体は床面をバウンドして打ち上がった。

 肺の中の空気が一瞬で逃げていく。

 気絶しそうな衝撃でも、それゆえの激痛が意識を失うことを許さない。

 リ・ガもそれをまともに受けて右手ごと爪を粉砕されながら吹っ飛んでいく。


「ぎいぃっ!!」


 残る左手を床に突き立て、耐えるリ・ガ。

 その体を覆っていた闇も炎も消え失せ、骨格が完全に露わになっていた。


 しかし、その姿は――


「ギギギギ……」


 金属で構成された、骨格の模造。

 あばらから覗く歯車の群れ。

 SF映画にでも出てきそうな、鉄の骸骨。


「な、なにその姿……」

「見たな」


 鋼の髑髏(どくろ)が体を引き起こしながら、睨みつけてくる。

 動くたびに関節から蒸気が噴き出し、


「これが私の正体。かつて秘密結社によって生み出された改(・)造(・)人(・)間(・)。その成れの果てだ」

「は……?」

「何だと!?」


 カタカタと金属髑髏が笑う。

 その揺れに合わせて砕けた右手が巻き戻し映像のように元に戻っていく。


「組織は滅び、残された私の怨嗟が地獄と繋がった。ジゴクバーン様から得た闇の力をこの体に纏い、私は大幹部リ・ガとなったのだ。ゆえに、貴様らでは私に勝てない。私には二つの力があるのだ! 機械と魔の融合! かかかかかかかか!!!」

「くっ……」


 こちらは立ち上がるのがやっとだっていうのに、リ・ガは再び闇と青い炎を纏って元に戻ってしまう。

 時間がない……!

 こうしている間にもラビ太が付与してくれた太陽の力は消費され続けている。

 この闇のフィールドそのものが光を蝕むからだ。


 ファイティングポーズをとろうとした私の前に立ったのはファイヤー……潮だった。


「ここは俺に任せてもらおう」

「一人で勝てる相手じゃないでしょ……」

「いいや、コイツは俺が倒すべき相手だ。先に行け」


 潮の眼は、強い意志を浮かべていた。

 私も思わず言葉を失う。


「かかかかかか。貴様一人でどうしようというのだ?」

「よく笑う口だな。リ・ガ……いや、シ(・)ョ(・)ッ(・)ク(・)ネ(・)ス(・)大(・)幹(・)部(・)・髑髏子爵(どくろししゃく)」

「……!」

「……相変わらず仕事が雑なんだよ。1号は……」

「貴様……まさか!!」

「いいからかかって来い!! 他(・)の(・)大(・)幹(・)部(・)と同じところに送ってやる!!」

「きさまああああああああああああああ!!!!!」


 な、なに?

 二人はなにを言ってるの?


「潮……?」

「いいから早く行け!!!」

「う、うん……!」


 潮の勢いに押されて、私は頷いた。

 もはやリ・ガは私なんか眼中にないという様子で何かを喚き散らしており、その脇を簡単に抜けていくことができた。


 ボロボロの体を、倒れこむのすら前進に変えて走る。

 そして、直後、背後ですさまじい爆音が響いたが、私は振り向かなかった。


 全く事情はわからない。

 でも、潮には潮の事情があるんだろう。

 同じように、私には私の事情がある。


 それが、通路を駆ける私の前に現れた。


『……逃げて』


 あのやせぎすの少年が、闇の中に浮かんでいた。

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