正体不明! 摩天楼に消えた宝石・3
草木も寝静まる……ほどではない夜。
私は、スカイロウビルから離れた林の中にいた。
ちょっと反則だけど、侵入する方法を閃いたからだ。
アルセリオンの幽玄七つ道具では、スカイロウビルに侵入できない。
じゃあ、アルセリオン以外なら?
そう、だから反則。
私は、マジホワイトへと変身した。
マジキュアの力なら空を飛ぶことが出来る
足場に「マジカルサンフラウア」のひまわりを生み、それを蹴って跳ね上がると、まるで多段ロケットのように繰り返して一気に加速。
あっという間に、空を駆け上がる。
スカイロウタワーをゆうに超える高さまで到達することに成功した。
そして、上空で変身を解除。
「ひうっ!」
強制スカイダイビング状態で落ちていく中、今度はアルセリオンに変身。
我ながら、すごい綱渡り。
下を見なかったからできたことだと思う。
さっき一度見たらチビりそうだったけど、慣れたら大丈夫だった。
人間、何でも慣れね。
震える手でアステリフォンをタップ、幽玄七つ道具、叛逆の翼を解放する。
袖が広がり、グライダー状になると、真下からの風を受けて体が一気に持ち上がる。
そこで慌てずに、スカイロウを目定め、飛んでいく。
スカイロウは地上の警備こそ厳重なものの、空からの侵入はさほど警戒されていないようだ。
遠くで、パトカーのパトランプが赤くチカチカ光っていて、この距離からだとミニカーのオモチャみたいで可愛い。
そんなパトカーがスカイロウを囲んでいるけど、当然、屋上にパトカーはない。
かと言って、警備が無いわけではないだろう。
夜に空から人間大のものが飛んできたとして、遠くからなら気づかないだろうけど、近づけば当然バレる。
そこで幽玄七つ道具、黄昏の外套の出番だ。
姿を自在に消せるこのアイテムさえあれば、するりと侵入できるってわけね。
……ただ問題は、この外套、姿が消せる代わりに、私からも外の景色が見えなくなる。
光を屈折させて透明化してるんだとは思うんだけど、そんなとこだけ科学的なのか。
そこはこう、魔法的な力で何とかならないのかと。
とにかく、ギリギリまで接近してから、使わないといけない。
まずは幽玄七つ道具、錯視の靴をタップ。
これで私は壁や天井を歩けるようになる。
ここでよーくビルを見定める。
七つ道具でこそないけど、アルセリオンへの変身で身体能力自体、向上する。
だから視力も上がり、まだ遠くからでもビルの屋上がよく見えた。
どこかいい着地点は……と。
ちょうど目に入ったのが、屋上出入口。
小屋くらいのサイズで、屋上の水タンク群の横に建っている。
着地点は、あそこにしよう。
仮にスカッてもタンクには着地できる。
目標も決まったし、黄昏の外套をタップ。
一枚透明な衣が体を覆う感覚と共に、視界が消える。
私は、鷹が獲物を捕らえるときのように、両手を滑空の状態に保ったまま、両足を突き出した。
滑空する感覚はそのままに、やがて何かにぶつかる衝撃。
足の裏が錯視の靴の効果で壁にくっつき、着地成功。
そこで外套を解除してみると、脚がくっついているのは、壁は壁でも屋上出入口ではなく、ビルの壁面だった。
どうやら風にあおられたのか、思ったより下に着地していたらしい。
これが窓だったら警備バリバリの中、超絶悪目立ちしてただろうから、不幸中の幸いか。
むしろ、これがベストだったかも。
というのも、窓の縁から、警備状況を見ながら登れるからだ。
……でも、おかしい。




