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ごちゃまぜヒーロー  作者: がっかり亭
ごちゃまぜヒロイン編
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43/58

そんな! 親友がライバル!?・2

「……っ!」


 残像を残しながら、火矢をかわし、バブイールに突っ込む。

 彼女の二撃目より、私の体当たりの方が早い!


「甘い甘い」


 肩から突っ込んだ私だったけど、バブイールは笑う。

 その体が、燃え上がった。


「!?」


「シャマシュの火!!」


 炎の衣は、彼女を守る鎧といったところね……!


「ふふ、その程度で私を傷つけることはできないよ」

「だから何!!」


 そんなこと、関係ない。


「ちょっ、あんた……!?」


 私は焼かれるのにも構わず、そのまま押し当てた肩を起点に彼女を一気に押し込む。


「ああああああああああああ!!」


 ラグビーのスクラムのように、全体重を込めて突っ込んでいく。

 屋上でそんなことをやれば当然――


「なに考えてんの!!」


 落下防止の金網にぶつかるがそんなことは関係ない。

 更にそのまま力を込めて押し付ける。

 カディンギルの膂力は、男性プロレスラーの力を優に超える。


「あんたまさか……!!」


 こっちだって熱くてたまらない。

 アルカナの加護ある服はともかく、髪が焦げ始めている。

 時間をかけるつもりもない!


「うああああああああああああ!!!」


 燃え盛るバブイールごと金網に体当たり!

 金網をブチ破る!

 勢いそのままに3階ぶんの高さから落下していく。


「炎よ(ギル・ギル)!!」


 炎が膨れ上がる。

 マジキュアの持つ温かい太陽の力とは根源的に異なる、焼き尽くすための力。


「ぐうっ!」


 流石にその焦熱には耐えられない。

 バブイールを放すと、マアトの羽根の力を全開。

 肉体を限界まで軽くし浮遊する私は、羽根のように風にあおられて校庭方向へ飛ばされていく。


 一方、バブイールは火の玉となって浮遊していた。

 まるで小さな太陽だ。

 その太陽から、次々と火矢が襲ってくる。


「くっ!」


 浮遊を解除!

 別に重さで落下速度が変わるわけじゃないけど、軽くなると風に飛ばされて空中戦には全く向かない。

 カディンギルはアルセリオンと違って能動的な飛行能力が無いのがつらい。


 頭を下にして一気に落下、地面につくと同時に、豹のように真横に跳ねて矢をかわす。

 一瞬前まで自分がいた位置に矢が次々突き立っていくのには肝が冷える。


 ……にしてもまずい。

 カディンギルはどう見ても近接型。

 でも、相手は弓で遠距離、近づけば炎を纏ってガード。


「相性が悪すぎる……!」

「そうかい? さっきの体当たりの時に剣を刺していればキミの勝ちだっただろう?」

「!?」


 唐突に目の前に現れたのは、小さな道化師。

 リカちゃん人形のようなサイズのそいつはもちろん、“愚者”だ。


「なに? 呼んでないんだけど」

「別に呼ばれなくったって来るさ。僕は案内役だからね」

「あなたに案内してもらうことなんてない」


「キミの剣はね、他(・)の(・)ア(・)ル(・)カ(・)ナ(・)の(・)力(・)を(・)イ(・)ン(・)ス(・)ト(・)ー(・)ル(・)す(・)る(・)こ(・)と(・)が(・)で(・)き(・)る(・)ん(・)だ(・)よ(・)」


「は!?」


 完全に、初耳だった。


「そんなの聞いてない」

「だから説明に来てあげたんじゃないか」


 にたにたと笑う“愚者”。


「くっ!」


 腹は立つけど、こんなヤツに長々関わってる場合じゃない。

 小さな太陽になったバブイールからの矢は降り注ぎ続けているんだ。

 かわしながら、腰のスマートデッキに手を伸ばす。


 私が回収したアルカナは“隠者”のみ。

 “隠者”の能力は、錬成。

 二つのものを融合させる力――


「……って、それじゃ意味ないじゃない!」


 剣に別のアルカナ合体させる“正義”の能力と、二つのものを合体させる“隠者”の能力じゃ、結局何も変わってない。


「そんなことはないさ、工夫次第で何とでもなる。例えば、そこに刺さってる矢とかね」

「え?」


 まさか――


 “隠者”をスマートデッキから引き抜き、剣に触れさせる。

 すると、すぅと吸い込まれていく。


 次に、地面に突き立った矢を引き抜いて剣にあてると――


「!?」


 剣の切っ先に、炎が灯る。


「剣が矢の形になるのかと」

「本来、“太陽”を読み込ませないと使えない炎の力を、相手の攻撃から断片的に得る。まぁかなりの裏技と言えるだろうね」

「どっちにしろ、ホンモノに効きそうにないのだけど」


 炎を纏っている相手に炎が効くなんてことはないだろう。


「あっはっは、運がないよね。まぁ、そこまでは面倒みきれないさ」


 不愉快な笑い声だけ残し、1人でさっさと消えていく“愚者”。

 いつかぶっとばす。


「……結局、打つ手はなしか」


 さっきの体当たりの時も、正直めちゃくちゃ熱かったし、さらに温度を上げている今、とても突っ込むわけにはいかない。


 あー、もう!

 マジキュアに変身できれば、太陽の力で炎なんかへっちゃらなのに!


 ……ん、太陽の力?

 確かにバブイールは太陽の力を持っているんだから、熱くないんだろう。


 じゃあ、私が灯したこの炎は?


 指で触れてみると、まったく熱さを感じなかった。


「……そうか!!」


 私は迷わず、炎(・)の(・)剣(・)で(・)自(・)分(・)の(・)服(・)を(・)切(・)り(・)つ(・)け(・)た(・)。


 すると、炎が服に広がっていく。

 あっという間に火だるまになるが、熱さは感じない。

 これなら――


「はあああああああああああああっ!!」


 脚に全力をつぎ込んで飛び上がる。


「なっ……!?」


 バブイールは咄嗟に炎を全開にし、それを私に浴びせてくるが、体を覆う同質の炎がそれを打ち消す。


「炎は炎で燃やせない!!」


 そのままの勢いでバブイールに突っ込む。

 今から矢をつがえても間に合わない!


 正義の剣を翻し、突然の攻撃に無防備なバブイールに向けて振り下ろ――


『ダメーっ!!』

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