そんな! 親友がライバル!?・1
陽山小春。
中学時代の親友。
あの宇宙怪獣の襲来があるまでは、毎週のようにうちに遊びに来て、時には泊って行って……
しかし、いま、私の前に、敵として立ちはだかっている。
「貴方……まさか、アルカナコレクター……なの?」
「白々しい。わざわざうちの制服まで用意して潜入までしておいて」
「ち、ちがっ……」
まずい。
とんでもなく誤解されている。
でも、マジキュアの話はするわけにはいかない。
「まぁ、どうでもいいけど。狙ったのは私が先だしね」
にやりと笑うと、その体が宙に浮かぶタロットから放たれた炎に包まれた。
「!?」
「ロード・ザ・サン!!」
「OK! ナウローディン!!」
炎が彼女の背中に吸い込まれていく。
おそらくは、腰にポシェットでもつけていて、そこにスマートデッキが入っているのだろう。
吸い込まれた炎は、今度は蝶の羽根のように大きく背中で展開、そのまま制服を焼き払うように形を乗っ取り、アルカナコレクターとしての姿へと変えていく。
まるで三銃士の世界の服装のように、大きな黒い帽子に赤に金糸の上着を、コルセットで引き絞り、下はキュロットスカートになっている。
弓はそのままだが、つがえられた矢に真っ赤な炎が灯っていた。
「XIX 太陽のアルカナコレクター! バブイール」
バブイール?
いや、それより、太陽のアルカナ……?
「まさか……!?」
「この間は、あくまで偵察。だけど、今日は違う」
そうだ、あの時、アルカナ使いの気配を察知して、外を見てみたけど、そこには誰もいなかった。
ただ太陽があるだけだった……!
太陽のアルカナを持つ彼女は、太陽の輝きに同化して姿を消していたんだ……!
つまり、彼女はとっくに私を倒すつもりで……
「なん……で? なんで貴方と戦わないといけないの!?」
「うっさい。それがアルカナ使いでしょ。あんたの魂をヘシ折ってアルカナをもらうから」
炎の矢が放たれる。
咄嗟にかわしたそれは、そのまま宙に炎の轍を生み出した。
まずい。
ここで戦うと、倒れている眼鏡の子を巻き込んでしまう。
迷ってるヒマはない。小春はもう次の矢をつがえている。
「くっ……やるしか、ない!」
“正義”のアルカナを引き抜き、スマートデッキに挿しこむ!
「ロード・ジャスティス!!」
「OK! ナウローディン!!」
一瞬にしてアルカナコレクター・カディンギルの姿へと変身。
正面に伸ばした両手を、まるで見えない鞘でもあるかのように軽く握って大きく開く。
すると、金に煌めく一振りの剣が現れる。
正義を司る女神、ギリシアのテミス、あるいはアストライアー、ローマのユースティティア、もしくはエジプトのマアト。
それらを複合した、裁きの剣と天秤、罪の重さを量る羽根、それがこの正義のアルカナの力。
……と言っても、天秤は戦闘には使えないのでまず出現させない。
羽根は、帽子に刺さっているものがそれで、マアトの羽根。
この羽根をつけた私は、文字通り羽根のように軽やかに舞うことができる。
小春――バブイールの矢を避けるために、羽根の力は必須だ。
やるしかないから行くしかない。
私は一気に距離をつめる。
「へぇ、やる気? どっちでもいいけど! 黄金なりし青銅!!」
クロスボウにつがえられた矢の先端が金色に燃え上がる。
突っ込む私目掛けて放たれる火の矢!




