キラキラ☆彡 女子高潜入大決戦!・1
「どうも金剛女子高校にヤミニストが現れたみたいだよ! 早く潜入して解決しようよ!」
早朝から集められた私と潮に、そうラビ太が言ったとき、潮の顔が地獄の責め苦を受けている罪人のように歪んだ。
「そ、そうか……じゃあ、頑張ってな、真白」
「何言ってるんだい! マジキュアは二人そろうことで最大の力を発揮するんだよ! マジファイヤーもいなきゃダメじゃないか! ちゃんと変装するんだよ!」
「ですよねー……」
あ、死んだ魚の目だ。
「……だから、こんなところに集められたのか」
私たちがいるのは、私立金剛女子高校、その正門のそばだ。
早朝ということもあって人の気配はない。
ここは私の麻座利高校と同じく、麻座利市にあるけど、かなりの名門女子高校。
歴史の深さから文武両道を校風としていて、部活動にも力を入れているため、剣道部もかなり強い。
私としては試合に行くこともあるので、そう抵抗はないけど……まぁ、潮はね……。
「……正義のためよ。諦めて」
「う、うん……まぁ、因果応報というか……な」
「……?」
なんだろう、この達観……。
と、そこで潮の腕時計がピロピロと鳴り出した。
「おっと、ちょっとすまん」
「もう、こういう時なんだから切っておきなさいよ」
「あ、いや……電話だ。少し抜ける」
「へぇ、スマートウォッチなの、それ?」
「みたいなもんだ」
レトロな四角い時計を手にこそこそ離れていく潮。
たしかにマジカルホルンと併用するなら、スマートウォッチはいいかもね。
私も4つも携帯あって大変だし、自分用の1つは時計型のほうが便利かもしれない。
でも、なんだろ潮、妙にこそこそして。
……もしかして彼女からの電話とか?
潮のくせに生意気……なんて年上に言ったらさすがに失礼か。
耳をそばだててみると、すこしだけ会話が聞こえてきた。
「……しかに……近くにはい……緊急じゃないん……ったら、すも……適任……」
……全然わからない。
少なくとも彼女との会話ではなさそうだけど……やっぱり聞き耳はやめておこう。
ひとしきり通話したあと、何事もなかったかのようにこちらとの会話に戻った潮は呆れ顔で呟いた。
「……でも、オレの体格だと女装したところでムリがあるだろ。捕まるぞ」
それは、そうよね。
潮、細マッチョっていうんだっけ、けっこう筋肉あるし。
「大丈夫だよ! このマジュキュアコスメを使えば!」
ラビ太が口から、真珠貝のようなものを吐き出す。
それはパカっと開くと、中には鏡やファンデーション、メイクブラシらしきものが見えた。
化粧用のコンパクトらしい。
……子供番組の新商品感すごい。
「このマジキュアコスメで、メイクアップすれば体型だってアジャストできるよ!」
「うさんくさい勧誘広告みたいな言い方じゃねえか!」
ぶつくさ言いながらも、潮はブラシを手に取った。
なんというか、こういうとこ素直なんだよね、潮。
嫌がる割に、すぐ受け入れるというか……。
「うおっ、手が勝手に……!?」
筆が空中を滑る。
その軌跡が虹色に光り、リボンのように潮を包んでいく。
極彩色のリボンがきゅっとすぼまると、メイクアップは完了していた。
「へぇ、いいじゃない」
潮の姿はセーラー服ながら、変質者のような異質さはなく、むしろ女子にしては高い身長が、スマートささえ見せる。筋肉が引き絞られて全体的に元より細くなっているけど、海外モデルのようなスタイリッシュな印象を与えていた。
顔に関しても宝塚の男役のような、男性的ではあるんだけど、女性でもあるような、不思議な印象。
「あなた、きっと後輩女子にモテるタイプの美人よ」
「……勘弁してくれ……」
目に見えてしなびた姿。
きっと、学内でこんな美人がこうやってしなしなしてたら、心配したファンに取り囲まれちゃうんじゃないかな。
それはそれとして、私もマジキュアコスメで制服に変身。
……滅茶苦茶便利これ……。
普段から使えたら、登校も外出も超絶ラクじゃない……。
いや、私用はしないけどさ……。
便利……これ、こっちの世界でも開発して……。




