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ごちゃまぜヒーロー  作者: がっかり亭
ごちゃまぜヒロイン編
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31/61

アルカナコレクター・2

「ようこそ、“アルカナコレクター・カディンギル”!!」


 加えてどこからか“愚者”の声と拍手が響いてきた。

 “愚者”の姿は、もう見えない。


 瞬間、モノクロの世界を、胸から溢れ出した色が彩った。

 セーラー服の青が翻り、その背中側に広がる襟がまるで気流を生み出したかのように、私の体は舞い上がった。

 そこに飛んできた剣が世界を切り裂き、この手の中に収まる。


 気づくと、元の世界、公園のそばに私はいた。

 正確には、その上空まで飛び上がっていたのだ。

 真下では、あのトラックが通過していた。


 きっと、轢かれたと思った瞬間、私はあの世界に飛ばされ、全く時間が経過していなかったんだと思う。

 そして無意識に舞い上がったことで、トラックを飛び越えたのだ。


 眼下に、止まったトラックから運転手が出てきたのが見えた。

 どうやら、私をハネたと思ったらしい。

 きょろきょろとトラックの周りを調べ、何もないのを確認して去っていった。


「良かった……のかな?」


 そのまま、ゆっくり滑空して地上に降りていく。

 その中でもはっきり感じるのは、全身に満ち溢れる鋭さ。

 腕を振れば、たやすく空気を切り裂くスピードを生み出せるだろう。

 

 あまりにも急な出来事だったけど、これが私が初めてカディンギルになった瞬間だった。


「おっとすまない」

「!?」


 腰のあたりから声がして、ギョッとする。

 慌てて腰を見るとスマートデッキがホルダーに収納されていて、そこから投影された“愚者”が喋っていたのだ。


「さっき相手は近くにいないと言ったが、ど(・)う(・)や(・)ら(・)違(・)っ(・)た(・)ら(・)し(・)い(・)」

「は?」

「“隠者”のアルカナ使いエテメンアンキだ。“隠者”の気配はほとんど掴めない」

「ちょ、ちょっと、じゃあどうすれば」

「ボクは基本的には中立だよ。さすがに成りたてのキミが不意打ちされるはフェアじゃないから、サービスで教えてあげただけ。あとは自分で頑張りなよ」


 言うやいなや、“愚者”は消えてしまった。

 エテメンアンキとの戦いは、正直詳しくは語りたくない。


 結論から言えば、私は勝った。


 彼は、私をアルカナ使いに成りたてだと侮っていた……。

 でも、マジキュアとしてすでにいくつも死闘を超えてきた経験は、相手のそれを上回っていたんだ。


 ……だから、追い詰められた彼は卑怯な手ばかり使ってきた。

 命こそ奪っていないけど、彼はもう表舞台には戻ってこれないと思う。

 卑劣な彼に、ふさわしい報いだと今でも思っているけれど、気持ちは良くない。


 ……とにかく。

 私は、すっきりしない気持ちのまま、寮に戻ることにした。

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