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ごちゃまぜヒーロー  作者: がっかり亭
ごちゃまぜヒロイン編
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27/61

選ばれすぎし者・前

 ピロピロピロ……と、耳に鳴り響く電子音。


 ああ、朝か。

 日曜日だし、もう一眠り……


「って違う!?」


 鳴っているのはめざまし時計じゃない。

 携帯電話のめざまし機能でもない。


 拳闘魔法少女マジキュア、その変身アイテムであるマジカルホルン。

 ベッドのサイドチェストの上に置かれた携帯電話の隣にあるそれは、見た目は少しデコったクリアパールのスマホにしか見えない。


 それを寝ぼけ眼で、手に取る。

 マジカルホルンは、癒しの角笛が生まれ変わった姿であり、闇の住人であるヤミニストたちの出現に応じて警報を鳴らす……んだけど――


「っ(・)て(・)違(・)う(・)!?」(2回目)


 手に取ったマジカルホルンは、鳴っていなかった。


「こっち!?」


 あわてて、その隣に置いてある桜色のスマホのようなものを手に取る。

 これは幽玄の力を宿した携帯電話・アステリフォン。


 アステリフォンは幽玄怪盗アルセリオンに変身するための必須アイテムであり、大富豪・座(ざ)王院(おういん)典(てん)膳(ぜん)の妄執が籠った特殊な美術品の接近を検知し、鳴り出す仕組みになっている。


 んだけど――


「っ(・)て(・)違(・)う(・)!?」(3回目)


 鳴っているのはアステリフォンじゃない。


「こっちか!」


 次に掴んだのは更にその隣にあった黒くて分厚いスマホ。

 これはスマートデッキと言い、アルカナコレクター・カディンギルに変身するためのアイテムだ。


 スマホ機能だけではなく、カードケースとしての機能もあり、背面にカードを保持できる。そのぶん、スマホというより昔の電子手帳のように分厚い。

 そして本体はカードを差し込むことができる構造になっており、特殊なアルカナカードを差し込む事で能力を発揮するのだ。


 と同時に、アルカナを管理する“愚者”のヤツとの通信ができ、時折連絡が入るようになっている。


「もう何! こんな朝っぱらから!」


 スマートデッキを手に取ると、それに叫ぶように話しかける。

 するとアラームは止まり、変わって少年の声が響いてきた。


「やあ、おはよう。マシロ」


 声とともに、携帯から道化師のような恰好の少年の姿が映し出された。

 さながら、懐中電灯から小人が飛び出してきているかのよう。


「おはようじゃないよ……で、何かあったの?」

「転生者――つまりはアルカナ使いが近くにいるみたいだよ」

「そう……」


 驚くほどじゃない。

 スマートデッキが鳴り出すと言うのはそういうことだ。

 わかりきった事だし、なら、やることは一つ。


「じゃあ、行く」


 スマートデッキの背面、カードケース部分から“正義”のタロットを引き抜くと、そのまま本体下部のスロットに差し込んだ。


「ロード・ジャスティス!!」

「OK! ナウローディン!!」


 スマートデッキが妙にDJチックな音声を放つと、その画面から光があふれだした。

 光は形を成していき、歯車となる。


 歯車は進んで組み合わさると、それが多層を成し、時計の文字盤となる。

 時計の針は逆方向に猛烈な勢いで回転、魂の時間を巻き戻す。

 すると、魂から前世の宿業が解き放たれる。


 アルカナコレクターとして戦い続けた前世の記憶の断片と力が励起し、魂のエネルギーが物質化。

 そうして生まれた魂の衣・アルカナクロスを纏う事により、アルカナコレクター・カディンギルへと変身する。


 鮮やかな青が目を引くセーラー服に真っ赤なバラの花をちりばめ、ヴェネチアのカーニバルを思わせる銀の仮面が目元を覆った。

 黒髪の上に乗っている羽根帽子に、右手にはレイピア、腰には天秤。


 アルカナコレクター・カディンギル、またの名をセーラー服美少女処刑人と呼ぶ――呼ばれたくないけど、“愚者”のヤツがそう呼んでいる。

 畳の自室にそんな姿で立っているのは異様な光景かもしれない。かもしれなくない。異様だ。


「敵はどっち?」


 左手のスマートデッキに宿る“愚者”に話しかけた。


「西側、そこの窓から見て、正面だね。まっすぐ先にアルカナ反応だ」

「……妙に具体的ね」

「簡単さ。こっちの出方を伺ってるんだろう。電柱の上で止まってるからね」

「……待ち伏せって事? できればもっと早く教えてほしかったけど」

「キミが早く出ないからじゃないか」

「こっちにも事情があるの」


 言って、大きくため息をつく。


「……ふぅ、こんなことになるとは……」


 自分の事だし、経緯は当然、知っている。

 だけど、なんでそうなったかは、よく考えてみればわからない。

 とんでもない偶然が、重なってこんなことになってしまった。


 そうだ。

 あれはそもそも――

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