永遠のヒーロー
数日後、コーヒーショップ・フジマツ。
オレは、一人ここ最近の出来事を振り返っていた。
宇宙大怪獣ヱゐモセズは、散った。
しばらくは残った細胞が怪獣化するだろうから、ギガントマンとして戦うこともあるだろう。
あの後、ゴリュウジャーの仲間たちは、オレに何も聞いてこなかった。
状況証拠は完全に一つの答えを指し示していたが、何もなかったかのように振る舞う。
まだジャフウスイは健在だ。
だが、負ける気などしなかった。
この仲間たちがいるなら、負ける道理なんてどこにもない。
そして、仮面ホッパー一号。
彼はRE:ショックネスのスイス支部に不穏な動きがあると言い、また旅立った。
日本はオレにまた任されたことになるが、それも少し嬉しい。
いいさ。
この日本、RE:ショックネスからオレが守ってみせる。
「……そうだな」
コーヒーショップ・フジマツを出て、ひとりごちる。
完全に腹は決まった。
これから先、どんな敵が来ようが、どんなヒーローを押し付けられようが、最後まで戦って戦って戦い抜いてやる。
そんな理不尽、オレがブチ砕いてやる!
「どんな敵だろうがかかってきやがれ!」
と、その時――
「キミはボクが見えるのかい?」
ねずみにしては大きな、白い小動物がオレを見上げていた。
な、なんだこれ。
一度も見た事がない生き物だ。
しかも喋ったよな?
もしかしてジャフウスイの風水獣か?
「お前、いったい何なんだ!」
「やっぱりボクが見えるんだね」
ねずみもどきは、にこりと笑った。
「じゃあ魔法少女になってよ!」
「は?」
魔法少女?
何言ってるんだコイツ。
いや――
自分はこんなこと何度も味わったじゃないか。
ある!
あるんだそういう事は!
とにかく、まずはオレが男だと伝えないとまずい……!
「オレはおと……」
「ピュアフルパワー! フィーリング!」
「え?」
小動物が輝きだす。
その光の粒子がオレを包み、服が弾けて消える。
「は? おい……」
直後、服はフリルやリボンが満載された真っ赤な衣装、男性には決して許されぬおぞましき何かに姿を変えていた。
「おめでとう! これでキミも魔法少女マジキュアの一員だよ!」
「ちょっ……ふざけ……え?」
小動物に正拳突きをぶちこもうとしたその瞬間、オレの肩を誰かが叩いた。
「私はマジホワイト、よろしくね!」
誰だてめえ!
いや、名乗ってはいるが!
オレと同じようにフリルやリボンが満載された純白の衣装に身を包む、ポニーテールの少女。
「あなたは赤いからマジレッ……」
「それだけはやめてくれ」
ゴリュウジャーのDNAが絶対にそれを拒否しろと言う。
「じゃあ、マジファイヤーね」
屈託なく、一切の穢れなく言うマジホワイト。
……何となく悟った。
ああ、オレはもう逃げられないんだと。
小動物はともかく、この子に「ふざけんな知るかバカ」とは言えない。
「さぁ、これから一緒に人の心の闇を育てるアナザーワールドの住人・ヤミニストと戦っていきましょう!」
また増えたー!
また敵組織ふえたー!
「じゃあ、まずは手始めにフランソワ女子高校に潜入ね! あそこに今、闇の力が高まっているの!」
「ぶふぉ!?」
「やっぱヒーローはこりごりだー!」
*
だが、彼は知らなかった。
彼の実の父は、元は天使だったが堕天した魔王である!
魔界の勢力は、魔界のプリンスとして、彼を狙っていた!
ちなみに彼の母は、甲賀のくノ一である!
この後、彼女が持つ巻物をめぐり伊賀の忍からも狙われることになるけど、頑張れ!
あと、前世からの宿業により、天界を巻き込むバトルが約束されているぞ!
頑張れ! 超頑張れ!




