日々のかけら・3
「……冷静に思い返してみたら、あの時のエニシ怖かったな……」
「……うん、そうだね……」
顛末を思い出し、俯くオレとすもも。
しばらく、げんなりした後、その状態がなんとなく楽しくなってきて、どちらからともなく笑い出していた。
いずれにせよ、任務や訓練の合間の、いい気分転換になった。
そのまま基地へ戻り、解散となった。
「また今度、買い物に付き合ってね」
そう言うすももに、
「買い物? じゃあ次はエニシあたりも呼んで、荷物持ちを増やすか」
と答えたら、何故か怒られた。
楽をするなということだろうか。
ともあれ、終わってみれば楽しい一日だったと思う。
心地よい疲れが眠気を誘う。
そうして一日が終わってゆく。
――後になって考えてみれば。
この日曜日が、オレがゆっくり休みを取ることができた、最後の日だった。
※
時間は少し戻り、同じく日曜の朝。
朝日など差し込まぬ、ジャフウスイのアジト。
その闇の一角に、古びたガス灯で照らされる場所があった。
薄明かりの中、時代物のブラウン管のテレビが、映像を受信している。既に地デジ化は完了しており、いかな理由で受信できているのかは謎だ。
そんなテレビの前に、あぐらをかいて座っているのがサゲール将軍であった。
「出撃もせず、何見てるのよ」
その背に声をかけたのはチョベリバス。声には呆れの色がにじんでいる。
「フッ、見てわからんのか。にっくきゴリュウジャーどもの研究よ」
そうして指し示した画面には、ゴルフの中継が映っていた。
「見よ。この動き、この道具……明らかにゴリュウボールに通じる」
「ん~……まぁ確かに」
「そうであろう。ワシはしばらく研究する。風水的に最も動きやすい日曜早朝が潰れるのは痛いが、やむをえまい」
胸を張ってふんぞり返るサゲール将軍。
「それよりお主は出んのか? 最近あまり出撃しておらんようだが」
「……最近、めっきりあの方に会えなくて……」
「は?」
「ああ……あのお方はいずこ? あのお方に会えないと、なんというかこう、やる気とかそういうのが出なくて、ごろごろしてしまっても、それは愛ゆえに仕方ないわよね……」
陶酔した表情で呟くチョベリバス。
その瞳は、あらぬ方向を見つめていた。
「……ま、まぁ好きにしろ……」
げんなりしつつ、サゲール将軍にはゴルフ視聴に戻る。
食い入るようにテレビを見つつ、駅のホームで傘を振り回すおじさんたちのように、愛刀ジャフウセイバーを振り回す将軍。
風水帝国ジャフウスイ。
人とは異なる理に生きるもの。
今日も今日とて、彼らの理に従い、日々を消費するのであった――




