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ごちゃまぜヒーロー  作者: がっかり亭
ごちゃまぜヒーロー編
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13/63

ヒーローはつらいよ・3

「ここならいいでしょ?」


 怪人女に連れてこられたのは、町外れの廃工場。

 不況のあおりなのか、手つかずのまま、ほこりの堆積する薄暗い廃墟だ。

 何らかの金属加工に使うらしい機器には、蜘蛛の巣が張っている。ガラスというガラスは割れ、工場の周囲もススキが伸び放題である。

 無論、他に人影はない。


「一つだけ聞かせろ」

「何だ」

「なぜ人をさらう?」

「くくく……なぁにそんな事?」


 笑いながら女の姿がモザイクタイルのように変化していく。

 それは、人型のトカゲ……いや、カメレオンだった。

 てらてらと光る鱗に覆われた肌が艶めかしくすらある。

 半球状の目は、ともすれば愛嬌(あいきょう)があるようで、しかし、殺意を孕んでいた。


「ワタシはカメレサンダー。見ての通りステルス能力を持つ高性能怪人」

「それでさらったのか……道理で証拠が残らないわけだ。だが、答えにはなってないな」

「せっかちな男は嫌われるわよ」


 ぺろりと、長い舌を蠱惑的に動かす。


「簡単よ。組織のための奴隷にするの。働きバチは多いに越したことはないじゃない?」

「そんな事だろうと思ったよ」


 このバカどもがよくやる手だ。

 そして、オレのホッパーイヤーにはわずかな気配が届いてきていた。

 どうやら物陰に配下を隠しているらしいな。

 この数……地下にアジトがあると見ていいだろう。

 あいつらホントどこにでもアジト作るな。

 白アリかよ。


 なら、さらわれた人もここにいるかもしれない。


「時間が惜しい。とっとと始めるぞ……変……身!」


 おなじみの変身ポーズを決め、仮面ホッパーの姿となる。

 その間、僅か1ミリ秒に過ぎない。相手には攻撃のヒマもないわけだ。


「バカめ。かかれっ!」


 現れる全身タイツの戦闘員たち。


「ポィー!」


 出てきた所に正拳突きをお見舞いする。

 もぐらたたきの様にあっさり倒され吹っ飛んでいく戦闘員たち。

 違法な薬物などで常人より遙かに強化された戦闘員であっても、改造人間とは比ぶるべくもない。

 一〇人あまりをあっさり片づける事に成功した。

 が、気づけばカメレサンダーの姿がない。


「フフフ……今頃気づいたようね」


 カメレサンダーの声がどこからともなく聞こえてくる。

 どうやら、アジトの音響設備を使っているようだ。

 そうでなければホッパーイヤーで居場所はすぐわかるし、奴らもそこまで馬鹿じゃない。


「ワタシがどこにいるかわかるかしら?」


 なるほど、擬態能力で風景にとけ込んでいるらしい。

 だが……。

 オレのギガントアイからすれば、丸見えだった。

 ギガントアイには透視能力のみならず、熱視認能力もある。

 サーモグラフ状の視界には、壁にはりつく赤い熱源がはっきり写っていた。


「……」 


 づかづかと歩いて近づき……


「えい」


 ぽかりと頭を殴る。


「ぎゃっ!?」


 まさか攻撃を受けるとは思っていなかったのか、間抜けな声とともにカメレサンダーが姿を現した。

 周囲の風景に合わせて色を変えていた表皮の細胞が、驚きを映したようにちかちかと点滅する。


「ば、ばかな!?」

「悪い」


 もうそうとしか言えん。

 気の毒だが、悪である以上このまま倒させてもらう。


「ちょっ、ちょっとまっ……」

「ホッパーキイャアーーー!」


 ……結局、カメレサンダーはろくな攻撃もできず――


「こんなの認めないーーーーーっ!?」


 悲しい断末魔と共に爆死した。

 あまりにも虚しい勝利だ。

 勝ってこんなに気が重くなるなんて……。


 なんだろうな……。

 これで誘拐された人たちも助かる。

 ……なのに、なんだこの釈然としない気持ちは?

 結局、地下のアジトから誘拐されていた人たちも無事、助け出したわけだが……。


「……はぁ」


 ゴリュウジャーの基地へ帰ることを考えると、更に気が重くなる……。

 それならいっそ――

 ……って逃げるわけにはいかねえよなあ……。

 気は重いが、オレは基地へと帰った。

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