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英雄になんて絶対ならない! ――神々の過保護な結界で、戦うことすら許されない最強の引きこもりライフ。  作者: とで
第七章:激震する絶対領域、天災古竜の襲撃と「半径5メートル」の死守
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9. 陥落する竜王、プライドの完全崩壊と「もこもこ」の洗礼

「な、ななな……何だこれはぁぁぁぁぁぁっ!?」



幼女は勢いよく立ち上がり、どんぶりを凝視した。



(中略)



一瞬で一杯を平らげ、どんぶりを差し出す幼女。



「おかわりだ! おかわりを要求するぞ人間!」


「あ、自分で片付けない奴にはやらない」


「片付ける! 我が洗う! だからもう一杯くれー!」



さらに、食後にテリーが「これ着とけ。風邪ひくぞ」と投げ渡したキラーウール製の【もこもこパジャマ(ピンク・キッズサイズ)】を着用した瞬間、彼女の運命は完全に決した。



「ふ、ふにゃぁぁ……何だこの、身体を優しく包み込む至高の柔らかさは……。我が根城の金銀財宝の山より、遥かに心地よいぞ……」



ぶかぶかのピンクのもこもこに包まれ、ソファにもちっと埋もれてすっかり骨抜きになったちんまりとした竜王の姿がそこにあった。



翌朝。テリーのセーフハウスのソファには、ピンクのもこもこパジャマを着てだらしなくお腹を出して爆睡している赤い角の少女――『ルビィ』と名付けられた竜王の姿があった。


庭の修繕は、ルビィが「お詫び」として自らの莫大な魔力を大地に還元することで一瞬で元通り(というか、前より肥沃な土壌)に再生されエクレアの家庭菜園も復活していた。



一方、その頃。


国境周辺で待機していたバルドゥール帝国の作戦本部ではレイやガザが深刻な表情で錯綜する情報(ログ)を睨みつけていた。



「総監……! 迷いの森で発生した大焔竜と『謎の超越者テリー』の戦闘データの解析が完了しました。信じられないことに……大焔竜は、テリーと相打ち、あるいは奴を巻き込んで【相殺消滅】した可能性が極めて高いです!」



レイが興奮気味に報告する。


テリーは、ルビィを家に引き入れる際、周囲への情報漏洩を防ぐため戦闘の最終局面の魔力ログを偽装し、外部からは「両者ともに消滅した」ように見える高度な「情報遮断カモフラージュ(ステルス・パッチ)」を敷いていたのだ。そのため、帝国には「テリーがルビィをペットにしている」という真実は完全に隠蔽されていた。


ガザは隻眼を鋭く光らせた。



「……消滅した、だと? 莫迦を言うな。あの怪物が、トカゲ一匹と相打ちになるはずがない。これは奴が『死を偽装』し、歴史の表舞台から完全に姿を消すための高等な情報戦だ! 奴は今、我々の監視の目を盗み、王国のどこかで次の『世界再編』の牙を研いでいるに違いない!」


「では、王国侵攻計画は……?」


「継続だ! 奴が潜伏しているであろう王国を武力で制圧し、焦土の中から奴の身柄を炙り出し我が帝国の軍門に降らせる! 世界の覇権はまだ我が手の中にあるぞ!」



帝国の武力強奪計画は、テリーの完璧すぎる情報隠蔽のせいでより深い「勘違いの泥沼」へと突き進んでいく。


そんな国家の動揺など露知らず、テリーの家では、新入り美少女ルビィを加えたさらに賑やかで「絶対に動かない」最高のスローライフが今日もダラダラと続いていくのだった。

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