7. 奇跡の変貌、天災古竜から「幼き竜娘」へ
死の恐怖が限界に達した瞬間、大焔竜は生き残るための「唯一の生存本能」を発動させた。古竜にのみ許された、残存する全魔力を消費して自らの肉体を最小かつ最も効率的な形態へと最適化する究極の術式――【人化の法】。
まばゆい紅蓮の光が巨体を包み込み急速に縮んでいく。
テリーがめんどくさそうに目を細めると、光が収まったクレーターの中心に一人の少女が横たわっていた。
「……は、はぁ……はぁ……うぅ……」
**年齢は10歳前後ほど。**焦げ茶色のツインテールに、頭頂部から生えた2本の小さな赤い角。背中にはパタパタと動く小さな竜の翼があり、衣服の代わりに元の鱗が変化したようなぶかぶかの紅いドレスを身にまとっている。その顔立ちは、妖艶さなど微塵もない、**くりくりとした大きな瞳の「世間知らずな幼女」**であった。
「……ま、待て……! 我の負けだ! 完全に屈服する! だから、その不吉な消滅魔術を消してくれ……!」
幼女(大焔竜)は、短い手足をバタつかせ、半べそをかきながら命乞いをした。
テリーは消滅コードを消し懐から通信魔導端末を取り出すと、画面を操作して【魔導返金術式】を実行し、コプ・デ・リーアのキャンセル手続きをしながらボソリと言った。
「はぁ? 人間(子供)になったところで、俺のビールとアイスは戻らないんだけど。どうすんのこれ」
「う……それは……うぇぇん!」
世界の天災が、ただの「お説教されて泣き出した迷子」のようになっていた。




