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英雄になんて絶対ならない! ――神々の過保護な結界で、戦うことすら許されない最強の引きこもりライフ。  作者: とで
第六章:世界を揺るがす「深淵の超越者」、帝国諜報部の絶望的な調査報告書
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10. 最終結論、他国へフィードバックされた「恐怖の武力強奪計画」

帝国王宮。再び開催された緊急国家会議の場はお通夜のような静まり返った空気に包まれていた。

帰還したクリスティア皇女、そしてレイが提示した最終報告書のタイトルはこれまでの帝国の外交ドクトリンを根本から覆すあまりにも危険なものだった。



【最重要危険個体『テリー』に関する最終結論、および今後の戦略】



クリスティアは、眼に狂気の炎を宿らせながら皇帝に進言した。



「陛下……テリーという男には、既存のあらゆる交渉材料が通用しません。奴は、国家や権力という概念そのものを『無駄な労働』と切り捨てる、真の虚無の化身です。言葉で動かすことは100%不可能です」


「では、どうするのだ!? 奴を放置すればいつ世界のバランスが崩れるか分からんのだぞ!」

皇帝が声を荒らげる。その時、諜報部総監ガザが冷酷な笑みを浮かべて立ち上がった。


「……ならば、力で搦め捕るまで。奴はあの『半径5メートル』の空間に異常な執着を見せています。ならば奴の周囲にある王国を、あるいはこの大陸そのものを我が帝国の圧倒的な武力によって完全に蹂躙し焼き尽くせばどうなるか」



ガザは世界地図の、テリーのセーフハウスの周辺を赤いナイフで突き刺した。



「すべての環境を破壊し奴を孤立させる。そして、奴の『半径5メートル』の平穏を保つための条件として、我が帝国の軍門に降らせるのです。奴を『手に入れる』ためなら、王国の一つや二つ跡形もなく消し飛ばしてもお釣りが来ます。陛下、直ちに大軍勢の編成を。我々の武力をもって世界を塗り替えあの最強の頭脳を強奪するのです……!」



皇帝バルドゥール三世の目がギラリと光った。



「……面白い。直ちに全軍に通達せよ。王国侵攻の準備を開始せよ。ターゲットは王国ではない、あの森に潜む『黒髪の魔導師』だ!」



こうして、テリーがただ「家から一歩も出ずにゴロゴロしたい」という執念を貫いた結果、隣国バルドゥール帝国は「言葉が通じないなら世界を滅ぼしてでも力ずくで手に入れる」という最悪の武力強奪計画を画策し始めるのだった。


当の本人は、そんな滅亡のカウントダウンなど露知らず、シルフィが作った特製もこもこクッションに埋もれながら「あー、今日も一歩も動かなかったわ。最高」と、レオのモフモフの腹を枕にして最高に不真面目で平和な眠りにつくのだった。

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