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英雄になんて絶対ならない! ――神々の過保護な結界で、戦うことすら許されない最強の引きこもりライフ。  作者: とで
第六章:世界を揺るがす「深淵の超越者」、帝国諜報部の絶望的な調査報告書
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6. 第五の調査「接触試行、森の境界線での『遭遇戦』と絶望のパラメータ」

数日後、レイは調査の総仕上げとしてリスクを覚悟の上でテリーに直接「接触」しそのプレッシャーを肌で測ることを決意した。テリーが、週に一度の『コープデリ(Coop Deli)』の定期配達を受け取るため、めずらしく一人で結界の外(森の境界線)へ出てくるという情報を掴んだのだ。


木曜日の午前。木々の間からいつも通りのダルそうな黒のスウェット姿で段ボール箱を抱えて歩くテリーが現れた。


レイは意を決し、草むらから姿を現してテリーの前に立ち塞がった。



「――動くな、魔導師テリー。私はバルドゥール帝国の――」



言いかけたレイの言葉は、テリーの「視線」が交錯した瞬間、喉の奥へ完全に氷結した。


テリーは、迫り来る帝国の精鋭工作員を見ても、眉一つ動かさなかった。ただ、一刻も早く部屋に戻ってアイスを食べたいという『強烈なめんどくささ』から、無意識のうちに周囲の空間の魔力密度を通常の数万倍に跳ね上げてしまっていたのだ。


レイの視界が真っ赤に染まる。彼の本能が、大音量の警報を脳内で鳴り響かせていた。


(バ、バグだ……! 奴の周囲の空間だけ、存在の『次元』が違う! 立ち並ぶ魔力の数値が、帝国の測定器の限界値を遥かに突破オーバーフローして計測不能を示している! 私が指一本でも動かした瞬間、私の存在そのものが歴史から『デリート(消去)』される……!!)



「……あのさ、そこ退いてくれる? 配達のアイス溶けるんだけど。じゃ」



テリーは死んだ魚の目でボソリと言うとレイの横をすり抜けて歩いていった。レイは恐怖のあまり一歩も動けずただその背中を見送るしかなかった。



「あ、圧倒的すぎる……。戦うなど正気の沙汰ではない。奴は『歩く終末兵器』だ……」

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