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四度目の「拒絶」と神々の絶対的強制

四度目。白き神殿に引き戻された彼の魂は、度重なる強制転生と自死の負荷により、パキパキと不穏な音を立てていた。



「……危険です。魂の純度が『危険領域』に達しています。次、彼が魂を自傷すれば、適合者としての資格を失い、完全に消滅します」



運命の神の重々しい報告に、神々の間に張り詰めた緊迫感が走った。


神々は、眼前の折れぬ魂をただ見つめるしかなかった。そこにあるのは傲慢な神への怒りなどではない。ただ純粋に、これ以上一秒たりとも自分の存在を搾取されたくないという、絶対的な拒絶の意志だった。



「……それほどまでに、生に拒否感を持つというのか」



至高の女神が悲痛に満ちた声を漏らす。しかし、その後に続いた運命の神の言葉は、神殿の温度を氷点下へと引き下げた。



「しかし……彼を転生させ、この世界の楔としなければ、『アレ』を制御することができなくなる。世界の裏側に蠢く、理から外れたあの深淵が完全に目覚めれば、この時空のすべてが崩壊するのだ……」



神々がそこまでして彼に固執する真の理由。それは単なる魔王討伐などではなく、世界の存続そのものを揺るがす、さらに巨大で禍々しい『何か』の存在だった。だが、彼の魂が消滅すれば、その制御の術すら完全に失われる。主客は完全に転倒していた。神々は、この折れぬ人間に「救世主になれ」と強要することをついに断念せざるを得なかった。



「……認めよう。人間よ、お前の不屈の意志を」



至高の女神が、悔しさを滲ませながらも神々しい声を響かせる。



「もはやお主に戦うことは求めぬ。世界の楔として、ただその世界に『存在』しているだけで良い。だが、これ以上の自死は許さぬ。生を完全に強制保障する」



神、女神、魔神――。

三柱の上位存在は、彼らの持つ最高峰の権能を、彼を縛り、守るためだけに一斉に注ぎ込み始めた。



「我が『運命の神』の祝福を与える! 君の運命を他者が操作することを遮断し平穏への障害を自動で排除する!」


「私は『至高の女神』の祝福を! 脳内システムを拡張し、世界最高峰の魔力を与えよう!」


「俺からは『魔神』の祝福だ! 君の敷地をあらゆる外敵から護る【絶対多層次元結界】を与える!」



神々は、彼に二度と自殺の隙を与えないよう世界の根源たる『古代精霊』や神の眷属である『神獣』たちを直接召喚し、監視役兼生きた絶対防壁として彼の周囲に配置することを決定した。



「これよりお主を誰の手も届かぬ森の奥へ送る。そこですべての干渉を断ちただ生きるが良い」



神々が総出で祈るように空間に巨大な転移門を開いた。

彼の魂は、ありとあらゆる最上位の祝福でギラギラと輝きながら、完全なる強制力をもって異世界の地へと送り出されようとした。


だが、その決定を聞いた彼の顔が恐怖と絶望に歪んだ。



「待て……! ふざけるな! 生きることを強制保障するだと!? 誰も干渉しない森の奥だろうが、神のシステムで管理されて、死ぬことすら許されずに生き続けろというのか!」



それは、前世の地獄をさらに永遠にしたような究極の監禁契約だった。死ぬことすら許されず、神々の世界の都合のために「ただ存在し続けろ」という命令。これこそが、彼にとっての絶対的な搾取であり、終わりのない絶望の檻だった。



「嫌だ! 降ろせ! 俺を消滅させろ! 誰の道具にもならない、誰のシステムにも組み込まれないと言ったはずだ! 解放しろ!!」



彼は自らの魂を引き裂くように暴れ狂ったように拒絶の叫びを上げた。システムを強制停止させようと精神の全力を絞り出し魂のコアを自ら砕こうと必死に抵抗する。


しかし、神々が総出で紡ぎ出した『強制保障』の呪縛は、あまりにも強大すぎた。

彼がどれだけ魂を傷つけようとしても、至高の女神の祝福が瞬時にそれを修復し魔神の結界が彼の自傷行為を物理的に遮断する。どれだけ叫んでも、どれだけ呪詛を吐いても、その絶対的な力の前には羽虫の羽ばたきほどの意味もなさなかった。



「無駄だ、人間よ。君の意志がどれほど強固であれ、世界の理そのものを覆すことはできぬ。生きるのだ、我らのために」



神々の冷酷な宣告とともに、転移門の光が彼を完全に包み込む。

彼は光の奔流の中で、涙を流さんばかりに歯噛みし、自分の無力さに絶望しながら、ただただ必死にその手を伸ばし、拒絶を叫び続けた。



「神どもォォォォ!! 覚えてろよ……! 俺は絶対に、お前たちの思い通りにはなってやらないからな……!!」



しかし、その悲痛な叫びも虚しく、彼の身体は完全なる強制力をもって、異世界の地へと叩き落とされた。

神々をその執念で屈服させ、結果として「絶対に誰の傘下にも入らず、自分のためだけに生きる」という絶対の環境(檻)を与えられた最強の引きこもり魔導師が、こうして深い絶望と共に誕生したのだった。

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