3. 第二の調査「食のハッキング、究極のスープに隠された『毒性』疑惑」
潜入が不可能と悟ったレイは、次なる作戦として「テリーの嗜好品および食生活」の調査へと切り替えた。
彼らは、テリーが食材調達のために利用している王都の『料理ギルド』から、テリーが試作したという「醤油豚骨ラーメン」のスープのサンプルをギルドマスター・アントニオの目を盗んで奇跡的に一滴だけ採取することに成功した。
帝国の錬金術研究所。最高設備の魔法分析器にかけられたスープの滴を見つめ、主席研究員が狂ったように頭を掻きむしっていた。
「レイ殿……これは、何かの間違いではないか? この液体から検出された魔力濃度は一般的な回復薬の数百倍……いや、災害級魔獣オークキングの骨髄液と、海の覇者クラーケンの魔力があり得ない比率で完全に『分子結合(調和)』している!」
「何だと……!? それは、生物を狂わせる生物兵器か、あるいは精神を支配する秘薬なのか!?」
レイが身を乗り出す。研究員は青ざめた顔で首を横に振った。
「違う、逆だ! 毒性は完全にゼロ、それどころか細胞の活性化と精神の圧倒的なリフレッシュ効果、そして脳内の快楽物質を極限まで分泌させる成分だけで構成されている! 我が帝国の戦士たちにこれを一口すすらせるだけであらゆる恐怖心が消え去り士気が限界突破するだろう。テリーという男、日々の食事のレベルで兵の限界値を書き換える『超神水』を自作して摂取しているというのか……!」
研究員は恐怖のあまりスープの残りを一気に飲み干し「美味すぎる……これが世界の真理か……」と涙を流して気絶した。レイはテリーの食生活を「自己肉体強化のための魔導錬金術」と誤認した。




