9. グラナート公爵家の瓦解:第3段階「薔薇の伯爵の法的チェックメイト」
グラナート家が経済的にも軍味的にも完全に麻痺したその瞬間を、ローゼンバーグ伯爵が見逃すはずがなかった。
伯爵は、テリーからあらかじめ知らされていた「ハインツの資産状況」を元に、温めていた「本手」を繰り出した。
「ハインツ・フォン・グラナート公爵。これ以上の醜態は、王国の恥だな」
中央議事堂の扉が開き、ローゼンバーグ伯爵が、王都近衛騎士団とギルドの重鎮たちを率いて堂々と突入してきた。その手には、ハインツがこれまで行ってきた「違法な暗殺ギルドの雇用」、そして「国家インフラであるポーション流通の不当な妨害」に関する、完璧な証拠書類の束が握られていた。
「ハインツ公爵。君の資産は、市場を混乱させた罪によって議会により全面的に『凍結』された。私兵も失い、財産も失った君に、もはや公爵の地位を名乗る資格はない。……連れて行け」
「ま、待て! 私は国王の従兄弟だぞ! 平民一人をどうしようが私の勝手だろ!」
ハインツの狂ったような叫びは、近衛兵たちによって無残に遮られ、彼はそのまま地下の罪人牢へと引きずられていった。
王都を揺るがした巨大な権力構造の崩壊。しかしその実態は、一人の「働きたくない男」が、自分の大豆とスパイスの購入ルートを守るために、部屋のソファから一歩も動かずにシステム(魔法陣)のフリースポットを公開しただけの、あまりにも圧倒的な「オープンソースの勝利」であった。




