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8. グラナート公爵家の瓦解:第2段階「私兵団の離反」

経済的な柱を失ったグラナート家のドミノ倒しは、止まらない。



「おい! 今月の給与はどうなった!」



グラナート公爵家が抱える、数千人の私兵団の宿舎で、怒号が巻き起こっていた。魔力水道の収入が途絶えたため、ハインツは彼らへの給与を支払えなくなっていたのだ。



「公爵閣下! 私兵団の団長より、即座に給与が支払われない場合、今すぐ武装を解除し、職務を放棄するとの通達が!」


「ふ、ふざけるな! 黙って戦え! 街の無料の泉をすべて破壊して回るのだ!」



ハインツは狂ったように叫んだが、その命令を下すための「近衛兵」すらも、すでに武器を置いて荷物をまとめ始めていた。なぜなら彼らの家族も、街の『無料の泉』の恩恵を受け、グラナート家の支配から解放されていたからだ。


そこへ、追い打ちをかけるように、屋敷の正面玄関にドサドサと「大きな黒い塊」が投げ込まれた。

ハインツが怯えながら窓から見下ろすと、そこには、ボコボコにされて気絶した暗殺ギルド『黒い牙』の幹部たちの山と、一枚の紙切れが残されていた。



『夜間突入における時間外労働、および我が家の敷地内への不法侵入につき、違約金として金貨1億枚を請求する。 テリー』


「ひっ、ひぃぃぃ……! 暗殺ギルドが、一晩で壊滅したというのか!? あの平民一人の手によって……!?」



ハインツは、自分がどれほど恐ろしい「怪物」の尻尾を踏んでしまったのかを、ここでようやく、骨の髄まで理解した。

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