6. 利権の無価値化(グラナート家の中核ビジネス)
翌朝、テリーはハインツ公爵家の収入源をシステム画面で分析していた。
「シルフィ、このハインツって奴、どうやって稼いでるの?」
「はい、我が主。グラナート公爵家は、王都の全家庭・全施設にひかれている『魔力水道(生活魔力を供給する魔法の配管網)』の利権を独占しています。王都の住民は、毎月公爵家に莫大な『魔力使用料(基本料金)』を支払わねばならず、これが彼らの絶対的な財源です」
「なるほどね。前世でいうインフラの殿様商売か。料金を払えない貧民層は、濁った泥水をすするしかない、と」
テリーは不敵に笑った。
「前世のIT業界ではさ、既存のバカ高い有料サービスを潰す一番の方法は【圧倒的に高品質な上位互換を、完全無料でリリースすること(オープンソース化)】なんだよね。……よし、我が家のバックアップルートを使うぞ」
テリーは、カンストした自身の空間・創造魔術を使い、あらかじめ王都の地下に仕込んでいた転送陣を起動。そこから、王都の貧民街や大通りなど数十箇所に、小さな『白い石碑』を地面からニョキニョキと生え上がらせた。
それは、テリーが3分で構築した【大気中の魔力を自動で超高純度に精製し、周囲に無限かつ無料で、綺麗な水と生活魔力を供給する『永久式魔力供給フリースポット(神の泉)』】だった。
事前にテリーからの合図を受け取っていた闇商人や零細商人が、一斉に王都中でビラを配る。
『朗報! グラナート公爵家の高い魔力水はもう不要! 誰でも無料で使える、超高品質な魔力の泉が街中に開放されました!』




