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2. 万が一のための「物流インフラ構築」

ローゼンバーグ伯爵という最高のクライアントを得たテリーだったが、元システムエンジニアとしての悪癖――すなわち「常に最悪のシステム障害リスクを想定しバックアップ(冗長化)を組んでおく」という性分が疼いていた。



「なぁシルフィ。今はリサの窓口や、ローゼンバーグ伯爵の正規ルートがあるからいいけどさ。もし王都の誰かが血迷って、俺の流通網サプライチェーンを物理的、あるいは法的に遮断してきたら、俺の買い出しライフが詰むだろ?」


「確かに、人間の強欲には限りがございませんからね、我が主。対策をお考えで?」


「ああ。働きたくないからこそ、いざって時に一歩も動かずに王都の市場をコントロールできる『隠しバックアップルート』を構築しておく」



テリーは、前世の「分散型ネットワーク」の知識と、自身のカンストした時空間魔術を組み合わせとんでもないインフラを作り上げた。

王都の貧民街の廃屋や放棄された地下水道の隠れ家など人の目の届かない複数の座標に【魔力を流し込むだけで、こちらの倉庫から直接現物を転送・投下できる『一方通行の自動空間転送陣』】を密かに直結・設置したのだ。


さらに、かつてボルドー商会に虐げられていた零細の商人群や王都の裏流通を握る独自の「闇商人」たちに対し、リサを介して「こちらが指定したタイミングで、特定の場所に現れた物資を即座に市場へ流せば、莫大な手数料をやる」という、自動執行型の匿名契約をあらかじめ結んでおいた。



「よし、これで王都の物流がいつバグっても、俺の部屋からボタン一つで市場に物資を強制供給できるシステムが完成した。まぁ、使う機会なんて来ないのが一番だけどな」

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