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プロフィティエスヒストリー  作者: Seydlitz
第一章 第三次世界大戦
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第八話 艦内見学


アイは今父に連れられ戦艦ムサシの艦橋、ではなく総合作戦司令部にいる。

部屋の照明は落とされ、アイたちの下には縦7m横4mの巨大なスクリーンがあり、そこに戦艦ムサシの巨大な艦体がイメージ図として浮かび上がっている。

そしてアイの隣には長い白髪と細い目をした女性が立っていた。


「紹介しようか。こいつはムサシ、この艦のまあ人格みたいなものだ」

「じんかく?おふねがこころをもってるってこと?」

「あー、まあ、うん、そうだな、説明が難しいな…」

父は頭を掻きながらウンウンと唸っている。

「お母さんがお船だってことはアイも知っているだろ?そんな感じだ。正確には結構違うんだが…」

更に頭を掻きながら父は苦し紛れに言った。

それを見ながらムサシと呼ばれた女性は軽く喉を鳴らして話し始めた。


「私達は空の艦隊と呼ばれる艦隊型自立戦闘システムであり、あなた達が住む地球の兄弟星、空球にて製造されたわ。その見た目は世界の軍艦に酷似した姿をしているけれどその戦闘能力は人類が作り得た艦艇を遥かに凌駕しているの。貴方を吹き飛ばした『アストラルリンクシステム』もその一例ね」


「へぇ…」

アイはいきなり難しい単語の羅列を聞いて頭が飽和しそうになった。

それでもまだムサシは続ける。


「そしてその空の艦隊はそれぞれに『オリジナルコア』と呼ばれるコンピュータが搭載されているの、これが貴方の父が言った『人格』そのものね。そしてそのコアを中心にしてアルカノイドで人間の姿を模倣したもの、これが『ヒューマンモデル』と呼ばれるものになるわ。でもこの身体は仮のもので本体はこの艦体に当たるわ。ちなみに貴方のお母さんは『パーソナルモデル』というの。難しいことは貴方のお父さんに聞いてちょうだい」


ムサシはゆっくりと息を吐いて父の方を見る。

「へぇ……」

アイは軽くめまいがしてきそうだった。

いきなりの情報量に頭がパニックに陥っている。

「あー、まあわかりやすく言うと空の艦隊ってのは空球のすごい技術で作られたもので、コイツらはこの艦が人の形をしているだけってことだ」

「わかんない…」

わかりやすく言われたらしいが少女には難しすぎた。

「ま、この先何かでわかるさ」

そう言って父は手を頭の後ろで手を組み、目を閉じた。


 *  *  *


アイの下のスクリーンにはたくさんの数字や文字が映し出されている。

その内容を大まかに説明しよう


「戦艦ムサシ」

正式名称 ヤマト型戦艦二番艦改キイ(漢字で紀伊) 通称ムサシ

所属 空の艦隊特別機動部隊海神の艦隊群旗艦兼空の艦隊副総旗艦


・基準排水量 79000t

・満載排水量 100000t

・全長 273M

・全幅 42M

・速力 47kt (87,04km/h)

・主機 重核子超戦艦型エンジン 一六機

・乗員 五七〇名

・武装

 ・主砲 45口径51cm連装重核子ビーム砲三機六門

 ・副砲 60口径20.5cm三連装重核子ビーム砲二機六門

 ・高角砲 65口径10cm連装パルスレーザー砲八機

 ・魚雷 45cm水圧式魚雷発射管十二機

     60cm崩壊式魚雷発射管十機

 ・ミサイル 大陸間弾道崩壊式ミサイル発射管二十四機

       対艦崩壊式ミサイル発射管七十五機

       対潜崩壊式ミサイル 二十二機

       迎撃ミサイル 三十五機

 ・浮遊式超重核子砲ユニット 十四機

 ・極式超重核子砲 一機

・防御

 ・時空間接続式防御転移システム(アストラルリンクシステム)

 ・強制砥粒装甲アブレシブ・フィールド

・その他 戦術システム、艦載機六機搭載


「わかんない…」

アイは短く言った

「まあしょうがないわな。アイ、外に出ようか。実物を見たほうがいい」

そう言って父はアイを手招きしながら総合作戦司令部を出ていった。


 *  *  *


父の後について甲板に出た。

日の暮れてきた海の上では海風が心地よく吹いている。

そしてその海の上に見渡す限りの大艦隊が広がっていた。


アイたちの前にはちょうど目の前に一機の高角砲が鎮座していた。

「これもおっきい!」

「ああ、65口径10cm連装砲だな。これで飛行機を落っことすんだ。動かしてみるか?」

「いいの!?」

そういい終わるやいなやアイは高角砲の席に座る。

席の周りにはハンドルやペダル、そして引き金がついていた。

「別に弾は出たりしないから隙に動かしてみな」

そう言われ、アイはハンドルを回したり照準器を覗いてみたりした。

しかしペダルには足が届かなかったのが少女にとっては残念だった。


そんな中、海を挟んだ隣の船から地面が割れるのではないかとおもうほどの轟音が聞こえてきた。

「な、何!?」

アイは必死で父の足にしがみつく。

「心配するな、あっちの船で射撃訓練でもしてるんだろう。たしか今回はシャルだったかな」

「しゃる?」

「ああ、大戦艦シャルンホルストのことさ。あの船だ…」

言い終わる前にまた轟音がした。

耳を貫通するようなその音は普通は聞くことのない異質な音な気がした。

「まあいいさ、次は艦橋でも言ってみようか」

「かんきょう?」

「艦長さんがいるところさ」


 *  *  *


アイは艦橋の窓から外を見る。

「ムサシの艦橋はアイちゃんがいた甲板から二七Mぐらいのところにあるんだ。高いだろう?」

後ろからカスケードが話しかけてくる。

「うん!すごいけしききれい!」

アイは満面の笑顔で答える。

その時電子音がなった。

《シャルンホルストよりムサシへ。現時刻をもって主砲射撃訓練を終了します》

アイは呆然とした顔をしている。

「ああ、ごめんよ。驚かせちゃったね」

そしてさらに窓の外から甲高いエンジン音が聞こえてきた。

「もうやだ〜!」

アイはすっかり怖くなってしまったらしく近くにいた母の足にしがみついている。

「はははっ。エクスの娘でもあれは怖いわな」

ディルが笑いながら言う。

「こわくないもん!つかれただけだもん!」

アイはしっかりと足を掴んだまま頬を膨らませて言う。

それを遠くから青い髪をした女性がアイを見て笑っている。

「まあしょうがないな、今日はここまでにしようか」

父はそう言って手を上げた。


窓の外では三機の戦闘機が空を駆けている。

海の上ではたくさんの船が身を休ませている。


アイは今から20年後、また同じ時間に同じ場所で景色を見ることになる


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