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プロフィティエスヒストリー  作者: Seydlitz
第三章 学園都市ラディオス
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第三十二話 救出

「ユイ!」


レイが勢いよく横転した車のドアを開ける。

すると、奥の方に気絶したユイの姿があった。


「良かった…。みんな!ユイいたよ!」


レイの嬉しそうな大声がみんなの耳に届く。

ユイはレイに抱き上げられ車外に出されると、望夢に背負われる形となった。


ユイの救出に一安心した雰囲気の中、アイは一人奇妙な気持ちになっていた。

おそらくユイは敵の指揮官級の者とともに移送されていたはず。

それならば最低でも数両、護衛車か何かがいるはずだ。

だが周りを見渡しても人影どころか動くものは何もない。


その時、アイの頭に激痛が走る。


『シズカの頭が狙撃される』


アイはとっさにシズカに飛びかかり押し倒す。

その一瞬あと、先程までシズカの頭があったところを銃弾が通っていった。


「あ、未来変えられるんだ」

「な、何があったんですか!?」


シズカはパニックに陥りかけるが、それをアイは静止させる。


「説明はあと!キドセンに戻って!」


アイの掛け声で皆戦車へと走っていく。(キドセンは機動戦闘車の略称)

そのすぐ後ろを銃弾の雨が追いかけてきた。


「よっしゃ来たな、掴まれ!」


一番最初についた望夢が戦車から身を乗り出して手を出す。

アイはその手に掴まり、身体を戦車の中に滑り込ませる。

他のみんなは戦車砲塔上部へと乗り込んだ。


「ソウくん!アブレシブ・フィールド展開!あと早く発進して!」

「オッケイ!」


そうして聡太はシールドのスイッチを入れ、アクセルを全力で踏みつける。

車体全体が青いシールドに覆われ、濃い土煙を巻き上げて発進していった。


「うへ〜、慌ただしかったねぇ」


節子が背もたれに寄りかかってそうつぶやいた瞬間、車体全体が大きな揺れに襲われた。


「うひゃあ!今度は何!?」


シートベルトをせずにいたせいで節子は席から吹き飛ばされる。


「後方5時と7時の方向に敵戦車二両!ユイさん取り返しに来たみたいだ」


聡太が操縦席にある車外カメラの後方画面を見ながら言った。

それに合わせ望夢が砲塔の隙間から後方を確認するが、なるほど、聡太の言うとおりだった。


「仕方ねぇな。全車戦闘準備!敵戦車を突破しこのまま撤退する!」


 *  *  *


キドセンは廃墟となった市街地を全速で駆け抜けていく。

後方からは二両の戦車が猛烈な土煙を巻き上げながら追いかけてくる。

キドセンは全速で走りながらも砲塔を敵戦車へ向ける。


「砲手、7時の方向、敵戦車、対榴、狙え!」

「照準よろし、弾込め完了!」

「撃てぇ!」


キドセンの105mmライフル砲から発射された砲弾は一直線に敵戦車へと向かっていく。

だが、入射角が浅く、軽い金属音と火花を散らして弾かれてしまった。


「あちゃ〜弾かれちゃった」

「第二射発射用意!」


だがその間に敵戦車の砲塔がこちらに向かって動いて来る。


『敵砲弾がキドセンの右後輪を直撃する』


「ソウくん!左にハンドル切って!」


アイの大声とほぼ同時に轟音が響く。

だが、敵砲弾は聡太が素早くハンドルを左へ切ったことにより、キドセンにはギリギリ当たらずに道路へと着弾した。

しかし、それでも衝撃は車内へと響き、車体も大きく跳ね上がってしまう。


「もう!今日ちょっと揺れすぎ!」


節子の悲鳴が車内に響き渡る。


「そんなこと言ってる場合じゃねぇ!二射目は!?」

「もう装填終わってるよ」

「ならさっさと言え!発射用意!目標は7時のやつと変わらん。だが次は一歩手前を狙え」

「おけ」


そう言って節子は照準を微調整する。


「照準よろし!」

「よし、撃てぇ!」


再びキドセンより砲弾が発射される。

砲弾は狙い通り敵戦車直前に着弾し、そこにできた穴に嵌ってしまう。


「よし!アイ!とどめを刺せ!」


アイは天窓から身を乗り出すと、ドラグノフを構え、嵌っている敵戦車を狙う。

引き金を引くと同時に、通常の銃火器からは想像もできないほどのマズルフラッシュを放って銃弾が発射される。

その銃弾は軽々と音速を超え、半分融解しながら敵戦車の砲塔関節部へと飛び込むと同時に弾薬庫へ侵入。爆散させた。


「なんちゅう威力してんだよ…」


下から望夢の呆れた声が聞こえてくる。

それもそうだろう、なにせマッハ11もの猛スピードだ。

特殊加工された銃弾でもなければ簡単に摩擦熱で融解してしまう。

辺りへの被害も甚大だ。

衝撃はアイの寵愛でなんとかいなしてもあたりの建物の壁にヒビが入っている。

その銃の威力はもはやレールガンと言っても刺し違えないものだった。


「これで残り一両!行けるよ!」


しかし、その時アイの頭に流れた未来はその希望を打ち砕くものだった。


『前方に待ち伏せていた戦車が一両出てくる』


「ソウくん思いっきりハンドル切って!どっちでもいいから!」


そうして右に思い切りハンドルを切った結果、時速102kmもの速度で走っていたキドセンは大きく傾く。

だがギリギリのところで曲がり切り、横道にそれることができた。

しかし一歩早く敵戦車が出現。

それと同時に放たれた砲弾はキドセンのシールドを一発で臨界まで持っていってしまった。


 *  *  *


「ちょっと横道にそれたのまずくない?」


節子が顎に手を当てながら言ってくる。

だが彼女の言うとおりだ。

今走っている横道は一台通るのがギリギリと言ったほどの幅しか無い。

もしここに砲弾を撃ち込まれたら避けることもできずに臨界に持っていかれたシールドを貫通し、最悪撃破されかねない。


「節子、仰角は何度まで上げられる?」

「18度だよ」

「大して上がんねえな」

「しょうがないよ、戦車だもん」


望夢は少し考える仕草をしたあと、アイの方を向いて聞いてきた。


「さっきの砲撃なのか?もう一回できるか?」

「できるけど…。あれができるのは一日3回までってことは覚えといてよ」


そう言ってアイは再び天窓を開けると、建物の壁ドラグノフの照準を合わせる。

一瞬おいたあとに轟音が響き渡り、破壊された壁の瓦礫がキドセンの通ってきた道を塞いだ。

これならば敵戦車が入ってきたとしても通ることはできないし、砲弾が貫通することもないだろう。

退路は断たれたが…。


「できたよ〜」


しかし、砲塔横を見ると耳をふさいだアケミたちの姿が目に入った。


「あ、大丈夫?」

「なんとかねぇ〜。取り敢えず逃げることに専念してよ。わたし達はシールドでどうにかなるからさ」


そう言って優しく微笑む。

アイも微笑み返そうとしたが、また頭に痛みが走った。


『道の出口にさっきの戦車が道を塞ぎ、撃ってくる』


「望夢!さっきの戦車が道塞いでる!」


その言葉に望夢は一瞬戸惑うが、すぐに立て直し的確に指示をする。


「聡太、残りのシールドを前方に集中させてアクセル全開にしろ。節子、砲弾装填。使用弾は成形炸薬弾に変更。アイ、俺の合図でレイの寵愛を使え。なにせこれでだめだったら終わりなんだからな。出し惜しみすんなよ?」


聡太が思い切りアクセルを踏みつけることでキドセンは一気に速度を上げた。

その反動でみんな背もたれに押し付けられたが、それでも速度は上がり続ける。

通常の16式機動戦闘車ならば最高時速は100kmほどだが、こちらは空の技術を使っているため最高時速は170kmにまで上がっている。

重量26tもの鉄の塊がそれほどの速度で激突すれば、いくら戦車でもひしゃげることは間違いない。

もちろんこちらもそれなりの被害を被るだろうが…。


「前方に敵戦車!ほんとに出てきた!」

「うろたえるな!このまま突っ込め!」


敵は砲弾を撃ってくるが、前方に集中展開したシールドがその砲弾を弾く。

これによりシールドは使用不能となった。

しかし、敵の第二射よりも先にキドセンが戦車へと大きな金切り音とともに激突した。

互いの戦車の破片が道路上へと散乱する。

敵戦車はキドセンに激突されたことにより横の装甲が大きくひん曲がり、道路を挟んで反対の建物へと吹き飛ばされていく。

だが砲塔は無事らしく、再び動き出した。


「遅い!撃てぇ!」


望夢の合図とともに炸薬弾が砲塔から発射される。

あまりの轟音と熱により車内にもその衝撃波と熱波が伝わってきた。

炸薬弾は側面装甲を貫き、戦闘室を吹き飛ばした。

そのまま反対側の装甲を突き破ると、車外へ飛び出した弾体が地面で炸裂する。

その爆発により、戦車は爆散し細かな破片だけとなって宙を舞う。

そして爆発によって起こった煙の中をキドセンは走り去っていった。


 *  *  *


キドセンは敵戦車2両を撃破したあと、タナヴィー校舎へと向かっていた。


「う〜ん…。流石に激突したときのダメージが大きいなぁ」

「やっぱり?」


アイと聡太は運転席でキドセンの状況確認をしている。

どうやら聡太の言う通り、戦車への激突によりフロントが大破し左第一タイヤもパンクしてしまったらしい。

それにもともと戦闘準備が整っていなかったのもあり、残り弾数も3発しか残っていない有様だった。

それにユイも起きないと来たら次は何をすればいいのかがわからなくなってくる。


「取り敢えず校舎前に敵が張ってるのは間違いねぇ。なんせ敵の頭を拘束も何もしなかったかんな。それの対処法を考えなきゃならんわけだ」


望夢が戦車長席からかがみながら言ってくる。

彼の言う通り敵隊長を拘束すること無くここまで逃げてきてしまった。

もし本当に校舎前に張られれば、戦闘力が半分以下となった今でどこまで戦うことができるか…。


「パリロイアのミサイルで一発じゃん」

「言っちゃった…」


だが、それを望夢は止める。

「たしかに節子の言う通りミサイルで一発やれば問題は解決する。だが今あのミサイルには何が積まれている?」


望夢のその問いにみんなが少し考える。

すると聡太が運転しながらもゆっくりと答えた。


「崩壊弾頭だね。あれを人に撃つのはどうかと思うよ」

「ねぇアイちゃん。その崩壊弾頭ってどんなやつなの?」

「よくわからないんだけど、なんか分子どうしの結合をあ〜だこ〜だするって言ってたよ」

「そのあ〜だこ〜だを知りたいんだけど」


節子は不機嫌そうな顔をアイに見せるが、アイにはそれ以上の答えを持っていない。


「だから詳しく知らないんだって。崩壊っていうから分子どうしの結合を外すのかなにかするんじゃない?」


そう答えるしか無かった。

望むがそれを見て大きくため息を吐くと、一旦場を閉めようとする。


「取り敢えず、あれを使うっていうのは結構まずいってことだ」

「でもそれ以外になんか方法ある?海から超重核子砲撃っちゃう?」

「それだったら学校ごと吹っ飛んじゃうでしょ。撃ったこと無いけど」


そこまで話したところで一同は困り果てた顔になってしまう。

確かに撃てば一発で決着がつくだろう。

だがその先にある問題が色々と出てくる。


アケミの話だとシタデルというのはアヴァン帝国学園の傀儡校。

変ないちゃもんを付けられればそのまま武力行使で校区全体が侵略されるのは間違いないのだろう。

すでにかなり戦ったあととはいえ、できればこれ以上内にも外にも被害を出さずに穏便に行きたいところだが…。


「まだ校舎前に張っているのがわかったわけじゃないでしょ?取り敢えず近くまで行って様子を見るとしようよ」


天窓からアケミが顔を出していってくる。

隙間からレイたちの頷く姿も見えた。


「ていうか確か、いくら戦闘状態に陥ったとしても敵校舎の占領やそれに準ずる行為は連邦生徒事務局による全体条約で禁止されていましたよね?」

「え、そうなの?」

「はい。このラディオスには生徒事務局が掲げている『全体条約』なるものがあるんですが、その中に『校区同士の戦闘における基本法』があり、そこに記されていたはずです」


初耳の情報に車内の五人は目を見合わせる。

たしかにいい情報ではあるが、それと同時に厄介な情報でもあった。


校舎前での張り込みだったが、可能なのであれば変なリスクを追うことなくほぼ確実にアイ達を待ち伏せることを予測できた。

だがそのような法があるのであれば、敵の行動を読むのが極端に難しくなってしまう。

つまり今この瞬間に奇襲を受ける可能性が大幅に上がってしまったのだ。


「聡太、レーダーしっかり見とけよ。いつ奇襲受けてもおかしくなくなったぞ」


望夢の声が重く車内に伝わっていく。


アイは未来感知ではないもっと別の胸騒ぎを覚えていた。


アイの未来感知にはもう一つの形がある。

それは夢の中で遠くの未来を断片的に見ることだ。

最も最近見た夢に今の状況がよく似ていた。

まるで、明子さんがなくなったあのときのように。


その時レーダーの片隅に、一瞬だけ高速で移動する物体に誰も気づくことはなかった。


 *  *  *


車内にいきなり警報音が鳴り響く。


「なになになに!?」


節子が席から飛び出して音の出所を探す。


『不明移動物体が本車両に接近中。不明移動物体が本車両に接近中。回避不能距離まで残り7秒。6、5、』


「聡太!全力でアクセルを踏み込め!」

「わかった!」


聡太がアクセルを全力で踏みつけると、キドセンはエンジンから爆音を鳴らしながら急激に加速し始める。

車体は加速の衝撃により左右に蛇行しながら進んでいく。

あまりに急な加速だったためにレイたちも捕まるだけでもきついだろうが、我慢してもらう他無い。


『不明移動物体着弾まで残り3、弾着します』


その機械音声と同時にキドセンの後方から強力な閃光が走る。

そして一瞬あとに強烈な爆風が襲ってきた。

爆風は建物をなぎ倒しながらキドセンを飲み込んでいく。


衝撃で車体は大きく傾き、パンクしていた左前輪が悲鳴を上げる。

聡太は暴れるハンドルを必死で抑え込み、ブレーキをめいいっぱい踏み込む。


「く…。止まってくれ」


聡太の念が通じたのか、キドセンは横転寸前まで傾きながらも辛うじて着地することができた。


「何!?ミサイル!?

「全車被害報告!」


節子の悲鳴をよそに望夢の怒鳴り声が車内に響く。


「車体後部がかなりやられてる。エンジンは切り生き残ったけど無理はさせらんないね。前にかしがえったせいでグッチャになってたフロントがもっとやられたし、左前輪は完全にオシャカ、右も後ろ二輪がやられてる」

「幸いにも砲塔は大丈夫みたい。あとレイちゃんたちも」


レイたちが無事だという報告がみんなの心を一旦落ち着かせる。

だが状況は最悪だ。

もともとやられ気味だった車体がほぼ戦闘不能な状況まで持っていかれてしまった。

砲塔が動くため最低限の抵抗はできるかもしれないが、離脱することは至難の業だろう。


しかし、それとともにアイを驚かせたのが「未来感知が反応しなかった」ということだ。


今まで戦闘の中で肝心なときに未来を教えてくれていた寵愛が初めて反応しなかった。

いや、初めてではない。

ユイに首を絞められたときも、そこにユイがいるなど教えてくれなかった。

もしかすると今まで運が良かっただけで、本来ランダムなのかもしれない。


だが、そんな考えも再度鳴り始めた警報に上書きされてしまった。


『前方300より不明車両3台確認。そのほか25名近い人を感知』


音声の言う通り、重いエンジン音が車内に伝わってくる。

5人全員が運転席にある車外カメラに釘付けになる。

外の4人も砲塔後ろに隠れながら様子をうかがっているようだ。


「こりゃ大所帯でまぁ…」

「節子、右に砲塔少し右に動かしとけ」


聡太のつぶやきの通り、画面内には3両の戦車と10人ほどの兵士が並んでいた。

戦車はまるでドイツのタイガーⅠ戦車を彷彿とさせる姿をしており、兵士たちもまたMP40そっくりの軽機関銃のような銃をこちらに向けて構えている。


『タナヴィー高等学校の諸君。こちらはスカリフ校区シタデル高等学園である。

貴隊は現在、完全に包囲されている。

車両は大破。シールド機能は消失。機動力も喪失済み。

これ以上の抵抗は無意味である。

よって、ここに降伏を勧告する。

搭乗員全員は武器を捨て、両手を頭の上に上げた状態で車両より降車せよ。

なお、抵抗行為、逃走行為、通信行為、または武器の保持を確認した場合は、これを敵対意思とみなし、直ちに攻撃を開始する。

繰り返す。

武器を捨て、降車せよ。』

一拍置いて、通信機から再び声が響く。

『また、貴隊が保有する情報端末一基の引き渡しを要求する。

対象を無傷で引き渡した場合、残る生徒については連邦条約に基づき捕虜として扱うことを保証する。

要求を拒否した場合は、本車両を敵性目標と認定し、搭乗員ごと撃破する。

回答まで三十秒。

諸君の賢明な判断を期待する』

「だそうだけど?」

「なら答えは決まってんな。アイ、もう一回例のやつできるか?」

「明日学校休んでいいなら」


アイの返答に望夢は満足そうに頷く。


「返答用意だ。砲手、目標右翼敵戦車、徹甲弾!」

「発射用意完了!

「撃てぇ!」


キドセンの砲塔から猛烈なマズルフラッシュとともにマッハ4にも迫る速度で敵戦車へと突っ込んでいく。

その速さは人間には到底反応すること叶わず、発生した衝撃波によって隊列は崩壊、吹き飛ばされていった兵士、戦車に激突した兵士の数はしれない。

戦車のフロントに着弾した砲弾はそのままの勢いで車内へ侵入。

機材をことごとくえぐりながら戦闘室を粉砕、その奥にあった弾薬庫を直撃し、次の瞬間敵戦車は木っ端微塵に爆散した。


「聡太!全力後退!」


聡太はバックギアを入れると思い切りアクセルを踏み込む。

瀕死のエンジンに無理をさせるが、そんなこともお構いなしに踏み続ける。


「煙幕弾発射!」


望夢がそう叫ぶが、それと同時に激しい衝撃がキドセンを襲った。


「なんだ!」

「敵戦車が撃ってきてる!なんか弾けたけど二射目は無理だよ!」


節子が叫ぶ。

そんな時、天窓が開き、2日ぶりに聞き慣れた声が聞こえてきた。


「アイ!あたしのとっておきを使うから炸薬弾装填しといて!」

「ユイ先輩!?」

「お前に使わなかった最後の煙幕弾。これには少し細工がしてあってね、中に対象の粉塵が入ってるのよ。そんな煙幕の中に炸薬弾を撃ち込んだらどうなるか、わかるわね?」


アイは力強く頷く。

それを見てユイも満足そうに頷いて天窓を閉めた。


「節子、聞いてたね?」

「もう装填済み♪」


節子は指を振りながら席に寄りかかっていた。


「よし、反撃開始だ!」


 望夢の声が力強く車内に響いていった。

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