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巨大女戦士の冒険  作者: ranranslime
幕間 小休止
74/95

閑話 女騎士レイナ式・鍛錬指南 (挿絵あり)

昼の陽が静かに草原を照らしていた。


リアーネは少し距離をとり、肩越しにレイナへ視線を向ける。


「お願いしてもいいかしら。私が相手だと、ちょっと規格が違いすぎるから」


レイナは無言でうなずき、腰の木剣を引き抜いた。


「いい判断。彼が鍛えられれば、戦場での幅が広がるわ」


カイはその様子を見て、思わず背筋を伸ばした。


レイナの身長は230センチ。対するカイは170センチ。

その頭は、彼女の腰と胸の中間あたりに位置していた。


見上げるたび、しなやかな身体と、鋭くも澄んだ瞳が彼を正面から射抜く。


「……よろしくお願いします」


レイナは短く返す。


「こちらこそ。では、私に“触れる”まで攻撃してみなさい」



カイが踏み込んだ。


木剣を低く構え、一気に間合いを詰める。

だが――次の瞬間、レイナの姿が視界から消えた。


「……っ!」


風が動いた直後、肩に軽い衝撃。

振り返れば、レイナが背後に立っていた。木剣の切っ先で、彼の肩を静かに叩いている。


「一手。もう一度」


カイは唇を噛み、再び構え直す。


何度目かの挑戦の末、ようやく数合の打ち合いが成立し始めた。

それでも、レイナは表情を崩さず、すべての打ち込みを無駄なくいなす。


「体格差に惑わされないこと。あなたは、私よりもっと大きな相手と――すでに並んで戦っているはず」


「リアーネさんは……別格です。でも、だからこそ負けられないんです」


「その意志、見せて」


今度は、レイナが動いた。


一閃。重さを殺した精密な一撃が、カイの木剣を打ち払う。

カイはとっさに身体をひねり、転がるように地を滑ってかわす。


手のひらが擦りむけても、すぐに剣を拾い直す。

汗が視界を滲ませたが、それでも、彼は前を見据え続けた。


「……根性はあるわね」



次に移ったのは、組み手の鍛錬。


互いの手のひらを押し合わせ、体重と筋力のぶつかり合い。


カイは全身の力を込めて押すが――

レイナは、片手だけでそれを受け止めていた。しかも、ほとんど体重を乗せていない。


「っ……く……っ」


額に浮かぶ汗。首筋が震える。

それでも踏ん張っていたが――


「……君の今の力では、Cランク。私はSランク」


淡々とした声とともに、レイナがわずかに体を前へ乗せた。


その瞬間、地面が軋むような圧がカイにのしかかり――

膝が、思わず沈みかけた。


「この差を埋めるには、技と工夫。そして、鍛錬」


痛みではない。

ただ、自分の足りなさが明確すぎて、悔しかった。


それでも、カイは視線を逸らさなかった。



夕方。

訓練を終え、カイは地面に片膝をついて息を整えていた。

肩が上下し、濡れた前髪が頬に貼り付いている。


レイナは静かに木剣を収め、無言のまま手を差し出す。


カイがその手を掴むと、彼女は軽々と彼を引き起こした。


「よくやったわ。あなたは、もっと強くなれる。――リアーネの隣に立つには、それくらいでなければ」


カイは目を伏せてから、小さく笑った。


「……はい」


遠くの木陰では、リアーネが静かにその様子を見守っていた。

その大きな瞳に浮かんだのは、わずかな安堵と――どこか誇らしげな光。


(がんばったわね、カイ)


草の匂いを運ぶ風が、訓練の余韻をやさしくなぞっていった。

身長差イメージ

挿絵(By みてみん)

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