閑話 巨きな背のとなりで、ふと見上げた午後 (挿絵あり)
草原の風が静かに揺れ、空はどこまでも青かった。
その中央、カイは“彼女のそば”に腰を下ろしていた。
とはいえ、その距離はリアーネの右足の外側、およそ3メートル。
地面に深く沈んだブーツのすぐ隣だった。
● 肩幅 ― 兵が避けた“壁”
彼女が両腕を広げるだけで、馬が6頭並んで通れる幅が生まれる。
肩幅およそ5.5メートル。
その広がりが前線に現れるたび、敵陣はざわついた。
矢が飛び交う戦場でも、真正面から届く前に、斜めに逸れた矢がその肩に当たり、はじき返されたという。
「壁が動いている」と、敵兵が記録を残している。
● 腕と指 ― 一指にて建造物を断つ
草を摘む動作一つで、カイの視界に“影”が走る。
それは、直径29センチの指だった。
長さ117センチ。カイの持つ剣と同じ長さの指が、何気なく風を切る。
かつて彼女は、ゴブリンの投石陣を“デコピン”一発で崩壊させた。
木製の物見台など、軽くはじいただけで空を舞った。
「触れたら壊れる。だから、触らないようにしてるの」
――その呟きを、カイはいまも覚えている。
● 胸囲と顔 ― 静かなる威圧
胸囲およそ10メートル。
ゆったりと呼吸するたびに生まれる空気のうねりが、草を倒し、鳥たちを飛ばす。
顔のサイズは2.2メートル。
人間の背丈よりも大きなその美貌が、真顔で睨むだけで敵兵が後退した。
柔らかな表情の奥に、決して揺るがない“絶対の力”が宿っていた。
● 股下と脚 ― 地を走る裁きの巨脚
股下はおよそ12メートル。太腿の幅は2.9メートル。
この脚が動くだけで、林は薙ぎ払われ、獣道が新たに刻まれる。
かつて、踏み出しただけで30体のゴブリンが一瞬で消えたという。
残されたのは、広がる赤黒い痕と、深くえぐれた土。
――地を震わせ、敵を潰し、誰にも追いつけない速度で進軍する“処刑人”。
● 足と歩幅 ― 地形を塗り替える存在
ブーツの長さは3.4メートル、幅は1.2メートル。
一歩踏み出すたび、地面は沈み、草は根ごと押しつぶされる。
歩幅は11メートル。
かつて彼女が通ったあとの森林には、明確な“道”ができていた。
ある斥候は、こう語った。
「……森に“巨獣の群れ”でも通ったのかと思った。まるで一本道ができていた」
だが、それはただ、ひとりの少女が歩いたあとだった。
● 終わりに
「こんな脚で歩いてりゃ、怖がられるのも無理ないわよね」
リアーネは草原に座り、ほんの少しだけ微笑んだ。
だがその笑みに宿るのは、自嘲ではない。
「それでも前に進む」と決めた者だけが持つ――静かで、強い炎だった




