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巨大女戦士の冒険  作者: ranranslime
幕間 小休止
73/95

閑話  跨がれた人と橋の夢 (挿絵あり)

ズゥン……ズゥン……。


昼下がりの山道。

陽射しがまぶしく、小さな木製の荷車を引いた商人風の男が、汗を拭いながら坂を登っていた。


「ふぃ〜……もうすぐ峠かねぇ……」


そのときだった。


ズゥン……ッ!!


地面がわずかに揺れ、空気に重みが走った。

鳥たちが一斉に飛び立つ。


「……ん?」


男は振り返った。が、何も見えない。


いや、影だ。

巨大な影が、自分の足元まで覆っている。


「は……?」


ゆっくりと上を見上げた。

視界いっぱいに金色の髪と太陽を背負う輪郭――

そこには、巨人の女戦士リアーネが、まさに自分の真上を通過しようとしていた。


気づけば、男は彼女の両脚のあいだにいた。


ドゥゥゥン……!


彼女の右足が前方の地面に沈み込む。

荷車の木材が軋み、鳥肌が立つような音が大地を這う。


「ヒ、ヒィィィィィッ!!」


男は反射的にしゃがみ込み、頭を抱えた。


リアーネは……気づいていたのか、いなかったのか。

そのまま何事もなかったかのように歩き去っていく。


ズゥン……ズゥン……


あとに残ったのは、へたり込んだ男と、そよ風だけだった。


「お、おおお……で、でっかかったぁ……」


*


その夜。


林の外れ、草原の中。リアーネは横たわって眠っていた。

星空の下、彼女の身体は木々のあいだを滑るように沈み込み、静かに草を押し潰している。


――夢を見ていた。


夢の中のリアーネは、立派な石造りの橋を前にしていた。


「ふぅ……さすがに今日は歩きすぎたわね」


誰もいない広い橋の中央。

彼女は思わず、そこに腰を下ろした。


ミシ……ミシミシ……ミシッ……


「……え?」


バキバキバキッッッ!!


石が割れ、欄干が飛び、橋の中央部が――崩れ落ちた。


「また壊したああああああ!!」


悲鳴とともに目が覚めた。


「……はっ!」


周囲は静か。夜風が心地よい。

けれど足元では、実際に小さな岩盤が割れていた。


「……またって、自分で言っちゃったわね」


タイミングよく、カイがそばに現れた。


「リアーネさん? 何かあった?」


「夢を見てたの。橋の上に座ったら……崩れたのよ」


リアーネは少しだけ遠くを見る目で、ため息を吐いた。


「まあ、現実じゃないってわかってるけど……もう、感覚がね」


カイは小さく笑って答える。


「リアーネさんが座ったら……橋もびっくりしますよ、きっと」


「私は座っただけよ? ほんとに、それだけなんだから」


ふっと口元をゆるめ、リアーネは寝返りを打つ。


静かに押し潰された草の下で、またひとつ石がぱきりと割れた音がした。

イメージ図


跨ぐシーン

挿絵(By みてみん)


石橋のシーン

挿絵(By みてみん)

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