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はぐれ三人  作者: agdpm0w
第九話 人工天使
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6

黒服はつかんだ赤ん坊を乱暴に抱えて、仲間とともに跳んだ。冷たい手が赤ん坊の目を覆う。

暴れるが、押さえつけられて動けない。天使であっても小さな体は抵抗する術をもたなかった。

やがて風を切る音が止み、黒服が手をどけた。戻ってきた赤ん坊の視界にあったのは、窓のない暗い部屋だった。

「成功だ」

「奪ってきたぞ!」

黒服たちが呼びかける。壁に乱雑に埋め込まれた煉瓦に、その声が反響すると、同じような黒服の人間たちがどやどやと集まってきた。

「やったか!」

「これが件の救世主様か」

「救ってくださるのだな!」

「救世主様!お願いします」

「我々はどうすればよいのですか」

「浄化はもう始まっているのか」


「待て、騒ぐな。救世主様は突然のことで戸惑っていらっしゃる」

皆を制したのは、赤ん坊を抱えた黒服だった。

「それに、()()()の指示もなしに救世主様をどうこうするわけにはいかない。一旦待機していただく」

「その通りだ」

「そうだな」

彼は仲間の同意を受け、強い力で赤ん坊を拘束したまま、背後の扉を開けた。

同じような壁で囲まれた小さな部屋。中央に天井から吊られた金属の籠がある。

黒服は赤ん坊を籠に押し込み、錠をおろした。

「さあ、()()()のもとへ」

「ようやく歴史が変わるのだ」

小部屋の入り口に見張りを一人立たせ、黒服たちは去っていく。


赤ん坊はあたりを見回す。

やがてその眼が壁の一点をきっと睨んだ。そこには、煉瓦の隙間からわずかに突き出た木の根があった。

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