Act12 輝くエーテル体
今回は短いです。
『今日の先輩、キラキラしてて綺麗ですね!』
『これなら楽勝かもっす!』
これから戦いにいくとは思えない緊張感にかけている後輩に向かって、セツは「気を抜くんじゃない」と釘をさす。
今のセツは魔法少年だ。
エーテル体は本質をあらわす。
漆黒の長い髪に、漆黒の胴衣。鋭い眼差しのむこうの赤い瞳が見える。まるで悪役のような出立ちが、セツの心のままの姿だ。
現実の肉体が成長するにつれ、エーテル体も少しずつ大人びた容貌に変化しているが、男性性の強いセツにとって現実の姿とは大きくかけ離れていた。
(たしかに、今日の僕はいつもとは違う)
「キラキラしている」と魔法少女ユミナが言ったとおり、今のセツは光を纏っている。
まるで月が太陽の光をうけて金色に輝くように、光の粒子がエーテル体の表層から溢れている。
──金色は、アマカゼの色。
セツは、勝手にそう思っていた。
宇宙の漆黒の闇のなか、地球を背負い、セツを背中に庇い、怯むことなく戦う魔法少年の髪の色。
その魂に憧れ、その背中に近づきたくて仕方なかった。今もその想いは変わらない。多分、これからも。
(二度とアマカゼが魔法少年になれなくても、アマカゼの想いは僕が継いでいく……!)
『さあ、いくよ──!』
二人の魔法少年と、一人の魔法少女は飛翔する。
防御壁を擦り抜け、大気圏を軽々と飛び越える。
そこは宇宙だ。
重力も、酸素も、エーテル体には関係ない。
エーテル体は四次元に属する。五次元にアクセスし、四次元に干渉できるエネルギーそのものだ。
エネルギーとは周波数だ。波動ともいう。すべての物質に波動がある。宇宙に在るものすべてだ。
そして魔法少年たちの武器となるのは「想い」からなる波動だ。
(……近い!)
異星人たちの咆哮。
呪いのような重奏が、芯をふるわす。
【──地球人類よ、目醒めヨ!】
背後にいるタツミが軽い口調で言う。
『今日はどっちっすかね……』
『トカゲのほうなら私達だけでもイケそうですけど、ドラゴンのほうだったら』
『それは、僕が相手をする』
セツ達は地球を背負うように立ち、暗闇の先にいる敵を見据えた。




