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第三話:花瓶の中で朽ちゆく花

#犬神家の腐った系譜 #イヤミス #サイコホラー #閲覧注意 #救いのない結末


今夜の京都は、街全体が息を潜めているかのように静まり返っている。私は裏庭で、花が落ちて土の上で茶色く変色し始めた椿の木の下に、犬神朱里を見つけた。


彼女は跪いていた。いつもは清潔な爪の間には、湿った黒い土が詰まっている。彼女の傍らには、動かなくなった一羽の雀が転がっている。


「朱里、何をしているんだ?」私は囁いた。


彼女は振り向かなかった。代わりに、割れたガラスを擦り合わせたような声で、くすくすと笑った。「植えているのよ、江戸兄様。たっぷりとお水をあげれば、明日にはこの鳥さんも綺麗な花を咲かせるでしょう? そうすれば、もう二度と失われることはないわ」


彼女は、母がよく歌っていた子守唄を、楽しげに口ずさみ始めた。朱里はもう、私と同じ世界にはいなかった。


翌日、その狂気はさらに輪郭を鮮明にした。奥座敷で、犬神宗一郎が客を迎えるための飾り人形のように朱里を着飾らせていた。祖父は帯を朱里の腰にあまりにも固く巻きつけたため、彼女は苦しさに顔を青ざめさせていた。


朱里はもう抗わなかった。ただ虚ろな瞳で立ち尽くし、青白い肌に紅を引いたその姿は、まるで能面のように動かない。朱里がその役割の中に閉じこもることで、現実から逃避していることに気づき、私の心は激しく痛んだ。


離れのパビリオンで、龍叔父がカメラのレンズ越しに最新の記録を見せてくれた。明滅するモニターの中で、朱里が鏡に向かって独り言を言いながら、自分を「お母様」と呼んでいる。


「完璧に開花したよ、江戸」龍は、薬品の匂いのする吐息を吐きながら私の耳元で囁いた。「間もなく、その美しさは完全に崩壊する。君だって、彼女が壊れていく姿は見たくないだろう?」


その夜、臨界点は訪れた。朱里の部屋に入ると、彼女は虚空を見つめ、陶器のような冷たさを纏って座っていた。


「江戸兄様」彼女は完全に死んだ瞳で私を見つめた。「私はお母様の磁器人形のように、ずっと変わらないまま、清らかにいられるかしら?」


頭が脈打つほどの、猛烈な悲しみが私を襲った。朱里はもう、以前の彼女ではなかった。彼女は根底から壊されてしまったのだ。


私は彼女の震える冷たい体を抱きしめた。その瞬間、私は決意した。朱里をこの呪われた家の中に置き去りにすることは、あまりにも過酷なことだ。


私は秘密の引き出しの中で、静かに準備を始めた。朱里をこの絶望の中で朽ちさせてはいけない。彼女を最も「清らかな」記憶のまま、永遠に閉じ込めなければならない。


「怖くないよ、朱里」髪を撫でながら私は囁いた。「兄様が連れて行ってあげる。苦しみも、穢れもない場所へ。兄様が、お前を永遠に守ってあげるからね」

「最後までお読みいただきありがとうございます。次回の更新は明日、22:00を予定しております。また明日お会いしましょう!」

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