お誘い
「お誘いと言うか、お願い」
「何々? 何でも言って良いよ?!」
これは誰なのだろうとランはアイリに視線を合わせようとしたが、アイリは口を尖らせて玄関先の二人をジッと見詰めている。
「うち、明日誕生日なんよ」
「ええっ! そうなの?!」
「うん。だから、明日はエディ君と一緒にいたかと」
「もちろん!!!」
大切な日に一緒に居たいと言われた事でエディはおおいに喜んで食い気味にそう答えた。
「ありがとう、一日中、一緒におってくれると?」
「うんうんうん!!」
首がもげるのではと思うくらいエディが全力で頷いて肯定する。
「じゃっ、じゃぁうち、これから仕事やけん、また明日!」
「あっ! 明日、どこに行けば良い?!」
「そっ……そうやったね、メインストリートの仕掛け時計の前はどう?」
「分かった! 時間は?! 今の時期日の出は五時くらいだと思うけど五時で良いかな?!」
「じゅっ……十時くらいにしようか。お店とか開いてなかやろし」
「そうだね! それじゃ明日!」
「うん、明日」
そう言って行ってしまったコーニコの背中を見送った後で振り向いたエディの顔は、だらしなく緩んでいた。
「えへへっ……!」
どうやら何か言葉が欲しい様である。
「よし、では行くか」
「そうね」
「今の聞いてた?!」
腰を上げた二人に噛み付く様にエディが喚く。
「冗談だ。帰って来れる保証もない。良いだろう」
そう言ってランがうっすら笑った。冗談も言える質だった様だ。
「馬鹿言え! 俺は生きて帰る。そしてコーニコちゃんと結婚するんだ」
「今のセリフめっちゃ死にそう」
「死なねーよっ!!」
「ま、良いわ! あんた達と違ってあたしは色々整理する事もあるし、出発は明後日ね」
ひらりとアイリが出て行く。
「では俺も適当なところで過ごそう」
大きな一歩でランも出て行く。
エディは一人きりになった部屋で枕に飛び付き、ゴロゴロとのたうち回った。
これから過酷な仕事が待っているのかも知れない。だが、明日はコーニコとデートだ。




